ISO9001に基づく内部監査実施においてなぜチェックリストが必要か?

ISO9001に基づく内部監査実施においてなぜチェックリストが必要か? ISO9001

ISO9001では、規格要求事項のなかで内部監査の実施を必須としており、組織はあらかじめ定めた間隔で内部監査を実施し、その実施した結果の記録を残す必要があります。

内部監査では、品質マネジメントシステム(QMS)がISO9001規格要求事項、顧客要求事項そして法的要求事項に適合しているか、また組織が規定した要求事項を順守しているかの適合性を内部監査員が監査します。また、品質マネジメントシステムを実施した結果、顧客要求事項を満たした製品およびサービスが提供できているか、その有効性も同時に監査する必要があります。内部監査員は、被監査部署に対して適合性及び有効性の検証を、決められた時間内で行わなければなりません。1部署の内部監査実施時間としては2時間前後であるのが一般的なので、すべての要求事項に対しての適合性と有効性を確認するのは不可能です。よって内部監査実施前に、トップマネジメント及び品質管理責任者の方針をもとに監査すべきポイントを絞り込む必要があり、その絞り込みを実現するためにチェックリストが必須になるのです。

それでは、内部監査のために準備するチェックリストとはどのようなものでしょうか。

この記事では、内部監査用チェックリストに関する内容として以下の項目を解説しています。

  • チェックリストの重要性
  • チェックリスト作成及び見直しの流れ
  • チェックリストの具体的事例

内部監査用のチェックリストをどのように作成してよいか悩んでいる方はぜひこの記事をご覧ください。

なおISO9001内部監査の具体的な進め方については、関連記事としてISO9001内部監査の進め方‐現場の内部監査員から見た重要ポイントにまとめていますので、こちらを参考にしてください。

チェックリストの重要性

先に述べたように、内部監査の実施はISO9001要求となっており、内部監査実施のなかにはISO9001規格要求事項の適合性の検証が要求されています。よって内部監査員は、被監査部署の内部監査実施中に、活動内容がISO9001規格要求事項に適合しているかをチェックしなければなりません。なお、内部監査員はISO9001規格要求事項を学んでいるはずですが、規格要求事項が何を求めており、組織がそれをどのように反映しているかを全て理解できている方はわずかだと思います。そのために、ISO9001規格要求事項にそった形で作成するチェックリストが必要となります。

チェックリストがありそれを利用することにより、内部監査員はISO9001規格要求事項の適合性をチェックすることができます。そして、内部監査員ごとの監査実施ばらつきを抑えることが可能となります。

それでは、内部監査用チェックリストを作成することがいかに重要かを具体的に見ていきましょう。

内部監査員のチェック項目整理

内部監査用チェックリストが存在すると、内部監査員は監査実施前にISO9001規格要求事項を改めて復習でき、ISO9001規格要求事項にそって組織の品質マネジメントシステムがどのように構成されているかを理解することができます。

また、ISO事務局が中心となり内部監査実施前に内部監査員を招集し事前確認会を開催している会社が多いと思いますが、そのときに、チェックリストを用いて以下を整理することにより、内部監査員がチェックすべきポイントを確認することができます。

  • 必ずチェックすべきISO9001規格要求事項
  • トップマネジメント及び品質管理責任者方針を受けて内部監査でチェックすべき項目
  • 担当する被監査部署の文書とISO9001規格要求事項との繋がり

内部監査の準備

内部監査員は、内部監査事前確認会で整理した確認すべき項目をもとに、具体的にチェックする内容をチェックリストで整理します。一般的には、1部署の内部監査に対して主任監査員1名と監査員1~2名を配置しますので、対応する監査メンバーで話し合い、チェックリストのどの部分に着目し監査するか、具体的にリストに記載しながら整理していきましょう。

一方、被監査部署も、内部監査実施前にチェックリストをもとにISO9001規格要求事項及び組織の決めた要求事項にそって活動できているかを事前確認することができます。

プロセス及び部署活動進捗チェック

内部監査用チェックリストは、内部監査前後で利用するだけでなく、日々の組織内活動でも有効活用することができます。各部署で行うプロセス及び部署活動がISO9001規格要求事項にそった形で運用できているか、チェックリストを利用すれば確認することが可能です。実活動がうまく進んでいる場合はISO9001規格要求事項にそって運用できていることが多いのですが、問題となるのは不適合が発生した場合の運用です。ISO9001規格要求事項は、不適合が発生した場合には不適合の是正及び有効性確認、そして水平展開を強く要求しています。部署管理者と責任者は、是正が完了し有効性検証及び水平展開を行う際に、ISO規格要求事項にそった運用ができているかをチェックリストで確認するとよいでしょう。ちなみに、不適合発生とは以下の場合をいいます。

  • プロセス目標及び部署品質目標未達成が継続し、期末に目標達成が不可能と判断した場合
  • 担当する部署原因で、製品及びサービスの不適合が発生した場合
  • 部署内作業でルール逸脱が発見された場合

日々の活動段階で、不適合発生時の対応をチェックリストにそって実施しておけば、内部監査のときだけでなく、認証登録機関の審査や顧客監査前に慌ててチェックする必要がなくなりますので、部署管理者や責任者は日々の活動でチェックリストを有効活用してください。

チェックリスト作成及び見直しの流れ

内部監査用チェックリストの作成がいかに重要かを前項で述べました。

それでは、内部監査に利用するチェックリストは具体的にどのように作成すればよいのでしょうか。これから、チェックリスト作成時にどのような項目を挙げる必要があるか、そしてチェックリスト見直しはどのタイミングで行うのかを具体的に見ていきます。

ISO9001規格要求事項への適合

内部監査用チェックリスト作成時の重要ポイントは、まずは組織の品質マネジメントシステム活動がISO9001規格要求事項にそっているかをチェックできるものにしなければなりません。なお、規格要求事項をそのまま記載するだけでは理解しにくい箇所があるので、組織内で理解できる言葉に変えてチェックリストを作成する必要があります。そのためには、チェックリストのベースをISO事務局が作成するのがよいでしょう。ベースとなるチェックリストを品質管理責任者と部署管理者に確認してもらい、より組織活動に近い表現に変えていきながらチェックリストを完成させるとよいでしょう。

社内ルール実施事項との整合

ISO9001規格要求事項にそってチェックリストを作成したら、次に社内ルールとしての実施事項をリスト内で明確にしていきます。品質マニュアル、そして規定・規則などはISO9001規格要求事項をもとに作成しているはずなので、どの要求事項がどの文書類に記載されているかをリストに記載していきます。なお、文書類を記載しておくだけでは内部監査員の力量次第で確認が不足する場合があります。よって、規定や規則内容を受けてどのような項目を内部監査で確認すればよいかをチェックリストに具体的に記載しておくと、内部監査のばらつきを抑えることが可能となります。

一方で、内部監査の確認事項をチェックリストへ詳細に記載してしまうと、内部監査員がそのことだけをチェックし表面的な監査となってしまい、一歩踏み込んだ内部監査になりにくいとの意見もあります。しかし、内部監査員の力量はさまざまで、初回実施担当もいれば数回の経験者もいる以上、チェックリストには具体的な確認事項を記載しておき、内部監査のばらつきを抑えることが先決かと思います。内部監査実施時の深堀については、ベテランの内部監査員を主任監査員に据え、チェックリスト確認事項をベースにしつつ深堀をしていく形で実施するとよいでしょう。

各監査不適合及び是正事項の反映

内部監査実施のときに、前回までの監査の結果を確認することがISO9001規格要求事項で求められています。よって、内部監査前に実施された前回内部監査、顧客監査及び認証登録機関審査(更新審査、サーベイランス審査)の不適合事項に対する是正処置及び有効性の確認を行わなければなりません。なお、不適合を受けた部署での確認は必須ですが、ISO9001規格要求事項ではその不適合が再発または他のところで発生しないようにするための処置をするとの、いわゆる水平展開も要求しているので、不適合を受けた部署以外でも不適合事項及び是正内容が共有されているかを確認する必要があります。

よって、各監査で発生した不適合及びその是正事項について全部署での対応状況を確認するために、内部監査用のチェックリストに入れ、内部監査時の確認漏れを防止することが大切です。

チェックリストの見直し

内部監査用チェックリストは、1回作成したら半永久的に使用できるわけではありません。必ず見直しを行い、最新版としての管理が必要になります。チェックリスト最新版の維持管理はISO活動を統括しているISO事務局が行うのが一般的です。

それでは、どのタイミングでチェックリストを見直す必要があるのでしょうか。

まずは、ISO9001規格要求事項が改訂された場合です。規格要求事項内容に見直しが入った場合には、確実に見直し事項にそって改訂する必要があります。また、品質に関して組織が適用している法令規制に改訂が入り品質マネジメントシステム改訂が必要となる場合には、チェックリストも見直ししなければなりません。そして、組織が決定したルールの大幅変更があれば、その変更にあわせチェックリストの見直しも検討する必要があります。

また、チェックリストを見直す重要なポイントがもう一つあります。内部監査実施後と認証登録機関審査後の振り返り段階です。各監査後に、チェックリストを有効に活用できたかを、内部監査員そして各部署の管理者や責任者にヒアリングし、改善ポイントがあればそれを参考にチェックリストを見直すと有効活用できるものに仕上がっていきます。

このようにチェックリストを見直していけば、理解しやすく使いやすい最新版のチェックリストを管理できるようになります。

チェックリストの具体的事例

これまで、内部監査用チェックリストの重要性と作成及び見直しの流れを述べてきました。

それでは、チェックリストにはどのような項目を網羅すれば有効なリストとして活用することができるのでしょうか。

具体的には、次の項目を反映すると使いやすいチェックリストになります。

<内部監査前に作成>

  • ISO9001規格要求項番
  • ISO9001規格要求事項
  • 内部監査時に確認する事項(規格要求事項の言葉ではなく、組織の言葉に置き換え記載のこと)
  • 対応している文書類(品質マニュアル,規定,規則など)

<内部監査前後に記載>

  • 内部監査実施時に確認必須記載欄(記載例 ●:確認必須 〇:該当する場合は必須)
  • 内部監査員事前打ち合わせ記載欄(内部監査時に具体的に確認する内容を記載すること)
  • 内部監査判定欄(記載例 〇:適合 △:適合しているがエビデンス不足 ×:不適合)
  • 内部監査コメント欄(内部監査時に気づいたことを記載すること)

図1及び図2にチェックリストの具体的事例を載せておりますので、作成時にはぜひ参考にしてください。

図1 内部監査用チェックリスト事例1
図2 内部監査用チェックリスト事例2

まとめ

この記事では、ISO9001規格要求事項に基づく内部監査実施においての、内部監査用チェックリストの重要性と作成及び見直しの大切さを解説してきました。

ISO9001維持管理していくために内部監査実施が必須ですが、内部監査員の力量は経験年数や習得状況でまちまちであるため、全て内部監査員任せの監査にすると監査実施内容のばらつきを避けることができません。よって、チェックリストを作成し利用することで内部監査のばらつきを抑える必要があるのです。

また、内部監査用のチェックリストとして作成するだけでなく、各部署の品質マネジメントシステムがISO9001規格要求事項に整合しているかをチェックできるリストとして作成すれば、部署管理者や責任者が通常業務確認の際に利用することが可能となります。

内部監査員の意見だけでなく、部署管理者や責任者、そしてトップマネジメントや品質管理責任者の意見を反映することで、品質マネジメントシステムをチェックできる有効なエビデンスとして利用できるようになります。ISO事務局を中心にチェックリストを管理し、内部監査時そして日々の業務遂行時に効果的にチェックできるツールとして有効活用していきましょう。

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