ISO規格要求で求められる目標及びその管理について具体事例を交えて解説

ISO規格要求で求められる目標及びその管理について具体事例を交えて解説 ISO全般

ISOでは規格要求事項で、目標を立てそれを達成するための計画策定を行うように求めています。そもそも、目標を立てるというのはどのようなことをいうのでしょうか?

目標とは、行動を進めるにあたって実現・達成をめざす基準のことをいいます。つまり、目標を立てるというのは、行動を進めるにあたっての達成基準を明確にすることです。

ISOの考えとしては、組織がマネジメントシステム(MS)の継続的改善を進め、つねに成長し続けることで健全な企業体質を維持していけるとの概念に基づいたものとなっています。継続的改善は改善活動の達成すべき基準を明確にしその基準達成に向けて活動を進めていくことであり、これが目標を立て活動をするということになります。

このように考えていくと、目標を立てることが組織にとっていかに重要なミッションであるということが分かるかと思います。

この記事では、ISO規格要求事項が求める目標及びそれを達成するための計画策定,、そして具体事例を含めて以下の4つのポイントでまとめています。

  • ISO規格要求事項が求める目標とはなにか
  • 目標を達成するための計画策定での重要事項とはなにか
  • ISO9001に基づく品質目標の具体例
  • ISO14001に基づく環境目標の具体例

目標をどのように設定し、達成に向けてどのように活動すべきか悩んでいる方はぜひこの記事を参考にしてください。

ISO規格要求事項が求める目標とは?

ISO規格要求事項が求める目標

ISO9001とISO14001では、目標を設定し管理することを規格要求事項で求めています。ISO審査では、認証取得時でも維持、更新時でも目標の管理については必ずチェックされます。

マネジメントシステムに関連する組織では、マネジメントシステムを確立、実施、維持、改善するために目標を設定する必要があります。規格要求事項では、関連するすべての階層で目標を確立することとなっているので、組織内の階層である部門、部、課、係単位での目標設定が必要です。ISO9001ではプロセス設定の要求もあるため、プロセス目標も立てる必要があります。

それでは、目標を設定するにあたり守るべき事項としてどのようなことがあるのでしょうか。

これから、規格要求事項を踏まえ守るべき事項をみていきましょう。

方針との整合性

企業は、マネジメントシステムを改善しつづけることで、維持発展しなければなりません。そのために、トップマネジメントが会社の向かうべき方向性を踏まえた会社方針を提示しております。

組織は、方針に示された組織の意図及び方向付けに基づいて目標を設定する必要があります。

方針を受けて部門の目指すべき目標を設定し、その部門目標を受けてその下の階層である部、課、係単位の目標値を紐づけていくことで一貫性も持たせることが大切です。

測定可能であること

目標を達成しているか否かを判断するためには、可能な限り測定できる指標にするのが望ましいとしています。定量的な数値目標で設定しておくと達成しているかどうかを判断しやすいので、定量的な目標を推奨しておりますが、全ての目標を数値化するというのは難しいので、数値化できない場合には定性的な方法で管理してもよいとなっています。

監視すること

監視するというのは、各階層で設けた目標達成の進捗状況を確認し、活動状態を確定することをいいます。目標設定した活動に対して定期的に監視しておかなければ、向かうべき道から外れていくこともあります。責任者のほうで月単位などで定期的に進捗を確認したうえで、最終的に目標達成できるようサポートや修正指示などを行うことが大切です。

チーム内での情報伝達

伝達すること

目標を達成するために、組織内の各担当者は目標に紐づいた業務で決められたことを実行しなければなりません。担当者に確実に業務を遂行してもらうために、目標をしっかりと理解してもらい、担当者の業務が目標に対しどのように結びつくのかを認識してもらうことが重要です。

業務に対し目標があり、その達成に向けて活動することが各担当者のモチベーションアップにもつながります。目標をしっかりと伝達し、業務遂行の意義をしっかりと理解させ、目標達成に向けてベクトルを合わせることで、目標達成の道が開かれることでしょう。

必要に応じての更新

目標達成に向けて日々活動していくわけですが、進捗をチェックするとこのままでは目標未達成になると判断される場面が発生します。その時は、目標値の更新も視野に入れ検討する必要があります。ただし、目標値を更新するということは、会社全体の目標に対して影響を及ぼす可能性が高いので慎重に行わなければなりません。

目標の更新については、更新の判断基準、更新責任者、更新方法などを決めておき、そのルールに基づき確実に実行することが大切です。目標を更新する際には、経営層、管理責任者そしてプロセスオーナーに対し、更新の理由と根拠の報告を忘れないようにしましょう。

目標の文書化

目標の設定、目標達成するための実施事項、作成時期、作成責任者、進捗管理、結果の評価方法などの手順を明確にしておく必要があります。この手順については、文書化して誰でも実施できるようにしておかなければなりません。

目標、計画策定、責任者などの情報は、事業計画や中期計画などの資料でまとめられ、進捗管理や結果の評価については、進捗管理表などで記録管理されるかと思います。期ごとの目標関連情報がどのようにまとめられるかも手順書などで明確にしておくとよいでしょう。

目標を達成するための計画策定

Quality Goals

目標を達成するためには、実行する過程の道筋をつけておかなければなりません。つまり、目標達成計画を作成する必要があります。

それでは、目標達成のための計画策定において、どのような事項を網羅しておく必要があるのでしょうか。これから、計画策定に必要となる事項を見ていきましょう。

責任者の決定

目標達成に向けて活動を進めるにあたり、その活動を取りまとめる責任者が必要です。目標達成するための各実施事項は担当者に割り振られるかと思いますが、それら実施事項の進捗を監視し、取りまとめを行いながら目標達成を目指す責任者を決めます。

各階層で目標を設定しますので、その階層での役職者が責任者になるのが一般的です。

実施事項の決定

計画を策定するにあたり、まずは目標達成に向けての実施事項を明確にし決定しなければなりません。そして、それらの実施事項をどのようなステップで展開すると目標達成が実現できるかを整理する必要があります。

必要な資源の洗い出し

目標を達成するためには、計画にそった活動を実施していく必要があります。活動を進めるなかでは、資源を必要とする事項が含まれます。資源としては、人、設備、インフラストラクチャーが挙げられますが、いずれにしてもすぐに準備できるものではありません。

よって責任者は、計画の段階で実施事項が決定したら、それぞれの活動に必要となる資源を洗い出し、その段階で経営層に伝えておく必要があります。経営層と、導入可能な資源かどうかを検討したうえで、導入可能な資源との判断になれば、活動実施段階に間に合うように準備を進めます。資源の導入が困難との判断にいたった場合には、現有資源で対応可能な実施事項への見直しが必要となります。

例えば、新システムを導入することで改善目標を達成できる見込みがある場合には、システム導入に向けて経営層と協議します。システム導入の許可がおりれば、システム導入をふまえた実施事項を計画内に入れることができます。しかし許可がおりない場合には、システムなしでも進められる実施事項を検討しなければなりません。

資源導入レベルに合わせた目標値を設定することが非常に重要です。

実施事項の完了時期

まずは事業計画などの方針を受けて、目標達成の完了時期を決定します。目標完了時期を達成するために、各実施事項をいつまでに完了させるのかを決めていきます。

実施事項に対する完了時期の見込みが甘いと、最終的に目標達成することができません。よって、責任者は各実施事項の担当者としっかりと会話し、達成可能な完了時期を決めていくことが大切です。

結果の評価方法

実施事項及び目標の進捗に対する評価方法を決めます。評価方法を決めるというのは、目標に対しての進捗状況を定期的に分析し、その結果を評価する手順を決めることをいいます。分析したのちに最終的に目標を達成できる進捗になっているかどうかを判定し、達成できそうならばそのまま進め、未達成の可能性があれば実施事項を修正するなどの判断が必要となります。

今まで述べてきた、目標を達成するための計画策定事項を図1に示しますので、参考にしてください。

図1.目標を達成するための計画策定事項

ISO9001に基づく品質目標の具体例

ISO9001品質目標の具体例

ISO9001では、品質目標及び目標を達成するための計画策定について、先に述べた項目が要求事項で挙げられています。よって、項目に沿った流れで目標と実施計画を策定し、維持管理しておかなければなりません。

それでは、品質目標とは一般的にどのような内容を設定するものなのでしょうか。

一番重要なのは、顧客満足を得るための品質目標を設定することです。そのためには、QCDSの視点で目標を立てることが大切です。QCDSとは、Quality(品質)、Cost(価格)、Delivery(納期)、Service(サービス)です。

品質視点では、例えば顧客クレーム発生を抑えること、また受入材料や加工品の品質向上のためのメーカーとの改善活動などで目標を設定します。また、顧客からの新規開発要望があればそれに応えることも大きな品質視点での目標になり得ます。

価格視点では、歩留や生産性の向上を目標設定にするのが一般的です。歩留、生産性が向上すれば経費を削減することができるので、その分を顧客価格に反映することができます。なお、歩留と生産性の向上は、品質が上がることにより得られることから品質視点での目標でもあります。

納期視点では、顧客への納期遵守を目標にするのが一番大切です。そのためには、社内生産の進捗管理に目標を持たせるとともに、受入材料や加工品の進捗管理も目標に設定することが重要です。

サービス視点では、製品やサービスを提供したらそれで完了ではなく、その後のアフターフォローの活動を目標にするのがよいでしょう。

このように、顧客満足向上を中心に考えると、多くの会社内外活動を品質目標として設定することができます。

ISO14001に基づく環境目標の具体例

環境目標

ISO14001でも、ISO9001と同様に、環境目標及び目標を達成するための計画策定について、先に述べた項目が要求事項で挙げられています。よって、環境活動に対しても、項目に沿った流れで目標と実施計画を策定し、維持管理しておかなければなりません。

それでは、環境目標とはどのような内容を設定すればよいのでしょうか。

環境関連で一番重要なのは、環境法規制の順守です。環境関連法令については順守すべき基準が設定されていますが、そのギリギリで管理するのではなく、基準値以下での管理値を定め、それを超えない管理を徹底する必要があります。まずは管理値を定め法規制を順守することが第一の環境目標でしょう。

次に、環境影響評価で著しい環境側面を抽出しますが、その維持改善について環境目標を設定することも要求されています。著しい環境側面は環境に負荷を与えうる可能性が高いとして抽出している項目ですので、それを削減するための目標設定を行わなければなりません。

また国際的に、企業活動の使命として二酸化炭素削減を要求されています。この要求を満たすためには、会社で使用する水、電気、ガスを削減すること、そして、会社から排出されるガスや廃棄物を削減する必要があります。これら削減項目に対して環境目標値を定め、管理していかなければなりません。なお、品質目標で挙げた歩留や生産性が向上していくことにより、必然的にこれら項目は削減されていきます。よって、品質目標である歩留や生産性向上を環境目標と連動させ管理していってもよいでしょう。

 まとめ

この記事では、目標及びそれを達成するための計画策定について、ISO要求事項をふまえ解説してきました。

国際要求や顧客要求は日々変化しており、現行の維持管理では間に合わず、企業の改善活動による進化を問われる時代になってきました。

国際要求や顧客要求内容をしっかりと捉え、その中から自社で行うべき活動を拾い上げ、それらに対し目標を設定し改善を進めていけば企業は成長していきます。そのことで、顧客からそして国際的に信頼を得ることができるでしょう。 目標を立て、それを達成することが企業の成長につながるとの信念をもって、改善活動を遂行してください。

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この記事を書いたライター
小一郎秀長

ISO9001(1994年度版)導入に続きISO14001(1996年度版)導入において、ISO事務局委員長として会社の認証取得に貢献。その後のISO改訂時には、後輩育成のためにISO事務局へのアドバイザーとしてサポート。
現在はISO9001/IATF16949の維持管理に従事中。
戦国時代をこよなく愛し、尊敬するのは豊臣秀長。連休は城址廻りでリフレッシュ。

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