ISO審査登録機関とは?現場で機関選定や変更の際に間違わない4つのポイント

ISO審査登録機関とは?現場で機関選定や変更の際に間違わない4つのポイント ISO全般

ISO認証取得の際、あるいは継続して維持する際には、ISOの規格に適合した活動内容であるかを審査され、大きな問題がある場合は認証を取り消されることもあります。

この審査を行なうのが、ISO審査登録機関という組織です。日本には約80の審査登録機関がありますが、みなさんはどのような理由、あるいは基準でこの審査登録機関を選定しているでしょうか?

また、審査登録機関の審査内容やコストなどに問題があったり、悩むことはないでしょうか?そんな時は審査登録機関を変更することも考えてみましょう。

ここでは、審査登録機関を選定する時や、あるいは変更する時に検討すべきポイントなどに焦点を当て、関連事項を含めて紹介しましょう。

また、ISO認定機関や認証機関の違いや役割について知りたい方はこちらの記事で解説しています。【ISO認定機関の役割とは?認証機関との関係性や制度の仕組みも解説

ISO審査登録機関の役割

機関

審査登録機関の最も重要な役割は、企業などの事業所がISOの規格に適合している活動をしているかを審査して、問題が無ければその事業所に認証証明書(ISO登録証)を発行することです。

そのような重要な役割をもつ審査登録機関は、どこでもが名乗れるものではありません。ISO(国際標準化機構)が決めた基準やガイダンスに基づいて審査登録を行なう能力があるのか審査され、合格した機関のみに審査の許可が与えられ審査登録機関として認定されます。

審査登録機関を審査し認定する機関を認定機関と言い、1カ国に1機関あります。日本では経済産業省の外郭団体の(財)日本適合性認定協会(JAB)がその任にあたっています。世界各国も同様の制度があり、JABではなく外国の認定機関によって認定されている審査登録機関もあります。

審査登録機関のもう一つの重要な役割は、審査の過程で是正や不適合などの指摘を通して、その事業所の利益や収支改善につながるような、効果的なISOの運用にその事業所を導いていくことです。ISOを導入しても採算面がプラスに改善されなければ、あまり意味が無いと言えるからです。

ISO審査登録機関の現状

ISOのマネジメントシステムには、一般の人にも知られるようになってきた品質のISO9001や環境のISO14001の他に次のようなマネジメントシステム(MS)の規格があります。

  • 品質(QMS)  ISO9001
  • 環境(EMS)  ISO14001
  • 情報セキュリティ(ISMS) ISO27001
  • ITサービス(ITSMS) ISO20000-1
  • 医療機器(MD)  ISO13485
  • 食品安全(FSMS)  ISO22000
  • エネルギー(EnMS)  ISO50001
  • アセット(AMS) ISO55001
  • 道路交通安全(RTSMS) ISO39001
  • 航空宇宙(AS)  AS/EN/JIS Q9100 ISO9100

その他、ISOの規格にはなっていませんが以下のような業界規格があり、これらについても審査登録機関が認証審査をしています。

  • 情報通信(TL)  TL9000
  • 労働安全衛生(OHSMS) OHSAS18001
  • 食品安全システム認証(FSSC)  FSSC22000
  • 食品安全(JFS-C)

どの審査登録機関がどの規格の認証審査を何件くらい行なっているかについては、日本の認定機関である財団法人日本適合性認定協会(JAB)が2019年3月時点でまとめた資料が参考になります。(マネジメントシステム認証組織件数より)

この時点でのISO認証登録件数は約8万件で、品質がそのうちの54.3%、環境が28.3%、情報セキュリティが8.3%で、食品安全などその他の規格は2.5%以下にとどまっています。この資料では審査登録機関によって得意不得意のカテゴリーがあることも見受けられ、審査登録機関を選ぶ時の参考にもなるでしょう。

(社)日本能率協会が「ISO の取得・運用状況に関する調査」報告書(2018年10月)で審査登録機関に対する満足度を調査しています。認証を受けている審査登録機関に対して、「大変満足している」が18.2%、「満足している」が42.9%、「ある程度満足している」が34.1%という結果で、合わせると約95%が満足の意を示しています。

審査登録機関の選定が適切とも言えますが、多くの事業所が途中で審査機関を変更してより良いISO運用を試みていることが、この満足度につながっているとも言えるでしょう。

ISO審査登録機関選定のポイント

discussion

初めてのISO認証に臨む時には、いくつかの審査登録機関を多面的に比較検討して選定するべきです。その時の選定のポイントは審査実績や審査体制、あるいはコストなどが主なものになるでしょう。

選定のポイント1:審査実績

審査実績として認証登録件数が多い審査機関は、規模も大きく安心感があります。(財)日本適合性認定協会によるマネジメントシステム認証組織件数の調査から、品質と環境、情報セキュリティ各分野の登録件数のランキング10位までを次の表に示します。

順位審査機関登録件数
1インターテック・サーティフィケーション6484件
2日本品質保証機構6308件
3エイエスアール2600件
4マネジメントシステム評価センター2020件
5日本検査キューエイ2007件
6ペリージョンソン1882件
7ビューローベリタス1605件
8EQA国際認証センター1457件
9SGSジャパン1369件
10ロイドレジスター1247件
品質ISO9001登録件数ランキング(2019年3月時点)
順位審査機関登録件数
1日本品質保証機構3406件
2インターテック・サーティフィケーション2977件
3日本環境認証機構1358件
4エイエスアール1311件
5日本検査キューエイ1245件
6マネジメントシステム評価センター1087件
7EQA国際認証センター858件
8ペリージョンソン775件
9SGSジャパン775件
10ビューローベリタス747件
環境ISO14001 登録件数ランキング(2019年3月時点)
順位審査機関登録件数
1BSIグループジャパン1746件
2日本品質保証機構1099件
3SGSジャパン358件
4インターテック・サーティフィケーション349件
5EQA国際認証センター339件
6エイエスアール296件
7日本検査キューエイ293件
8日本科学技術連盟284件
9マネジメントシステム評価センター274件
10国際システム審査264件
情報ISO27001登録件数ランキング(2019年3月時点)

ISOの複数の分野で実績がある審査機関は、将来的に別のISO規格の認証も検討している場合には頼りになります。また、このようなトータルの登録件数の他に、同業の業種での登録件数を比較することも大切です。同業業種での登録実績が多いほうが信頼度は高く、少なくとも20件以上の実績があれば望ましい審査機関と言えるでしょう。

選定のポイント2:審査体制

審査体制で確認することは登録審査員の人数です。審査員が少ないと希望する審査日程に対応できなかったり、柔軟な日程調整などができなくなります。

また、審査員は(財)日本規格協会マネジメントシステム審査員評価登録センター(JRCA)などの評価・登録を経たのち審査登録機関での教育などを受けているので、一定レベル以上のスキルがありますが、審査での対応には審査員によってバラツキがでる問題もあります。

審査員の対応に不満や疑問があれば、審査員の変更を申し入れましょう。審査員変更に対応しないようであれば、審査機関の変更も検討すべきです。また、審査の場へのコンサルタントやアドバイザーの出席を拒む審査機関もあります。閉鎖的な審査傾向がある審査機関は選定から除外したほうが良いでしょう。

選定のポイント3:審査コスト

審査コストについては見積書を比較して検討しましょう。初回登録審査費用や定期審査、更新審査費用の他、認証登録証発行費用や交通費、宿泊費などのコストがあります。審査機関によってかなり差があるのが実態です。極端に高いところは避けるのが一般的ですが、極端に安いところも内容をよく確認して判断するようにしましょう。

選定のポイント4:口コミ、コンサルタント会社などの評価

審査登録機関の選定では、ネットなどの口コミを参考にしても良いでしょう。ただ、匿名の口コミよりは、ISO活動の過程で知り合った知人の意見とか、コンサルタント会社の支援を得ているのであればその評価や意見が貴重なものになります。

コンサルタント会社は多くの審査機関に接していてその内容も把握できているし、なにより依頼主の望むところも理解できているので、最も適した審査機関を推奨してくれるでしょう。

ISO認証取得支援のコンサルタントの内容、選び方など詳細はこちらをご参考ください。【ISOのコンサル会社がサポートする内容は?コンサルタントを活用してISOを取得・運用する背景

ISO審査登録機関を変更するには

選定した審査登録機関の審査内容に不満や疑問がある場合には、審査機関の変更も検討すべきです。(社)日本能率協会の「ISO の取得・運用状況に関する調査」報告書(2018年10月)では、審査機関を「過去に複数回、変更したことがある」が 14.1%、「過去に一度だけ変更したことがある」が 56.4%で、約7割の事業所が審査機関を変更したことがあるという結果になっています。

変更した理由として次の項目があげられています。

  • 審査費用が高かったから 62.5%
  • 審査の質が良くなかったから 13.3%
  • 経営に役立つ指摘をしてもらえなかったから 11.7%
  • マンネリ気味だったから 9.2%
  • サービスの質が良くなかったから 5.9%

審査登録機関を変更することは、審査登録機関ではルール化されていることなので大きな問題になることはありません。見積書や提案書などを含めた事業所内での稟議処理などで審査登録機関の変更は実現できることです。ISO活動を最適化するためには、審査登録機関を変更することも検討しなければならない大きな課題の一つと言えるでしょう。

まとめ

審査登録機関の選択は良い付き合いを求めてのパートナー選びと同じですが、不都合があれば変えることも検討しなければなりません。結婚に例えれば離婚しないに越したことはないのですが、これから先の幸せ、ISOの効果的な運営を考慮すればパートナーを変更することも決断しなければなりません。

審査登録機関を選択する時には、審査の実績や審査体制、コストなどの項目を検討する必要がありますが、多くの審査機関と関わりのあるコンサルタント会社などの助言は大いに参考になるでしょう。

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