ISO9001で要求される変更管理とは?具体的事例を交えて解説

ISO9001で要求される変更管理とは?具体的事例を交えて解説 ISO9001

ISO9001:2015では8.5.6項で変更の管理を要求しています。

変更管理については、品質マネジメントシステム(QMS)のなかでも重要な管理のひとつです。変更管理がしっかりと機能しないと、品質マネジメントシステム運用に大きな支障をきたす場合があります。改善のために実施した変更であったにもかかわらず、管理不足により変更できなかったとの事態にならないように、変更管理の仕組みをしっかりと構築しておくことが大切です。

それでは、ISO9001規格要求事項は変更管理について具体的にどのようなことを要求しているのでしょうか。

この記事では、変更管理について具体的事例を交えて以下の2つの項目を分かりやすくまとめています。

  • 規格要求事項で定める変更とは?
  • 変更管理の適切な運用方法

変更管理を確実に実施し、品質マネジメントシステム改善につなげたいと考えている方はぜひ参考にしてください。

規格要求事項で定める変更とは?

8.5.6項では、製造またはサービス提供に関する変更について、要求事項に対し継続的に適合するように変更管理を確実に実施し、その後の実施結果をレビューし管理することを要求しています。

製造またはサービス提供に関する変更の代表的なものとしては、4M(人、機械、材料、方法)の変更があります。

また変更には、事前に計画していた変更と計画していなかった変更があります。

事前に計画していた変更については、中期計画や事業計画段階で反映されていることがほとんどかと思います。4M変更視点でみると、以下のような変更が挙げられます。

人員変更としては、人員増員計画や組織間異動計画などがあります。機械に関する変更としては、新規設備や検査装置の導入、老朽化した設備や検査装置の更新、そして設備能力や検査装置能力アップのための更新があります。材料に関する変更としては、新規開発に使用する新材料導入、また特性向上や環境負荷低減のための材料変更などがあります。作業方法に関する変更としては、新規開発における新作業導入や作業工程の変更による作業方法変更があります。

これらの変更は事前に計画されたものなので、変更する前段階で変更実施によるリスクを洗い出し、それらリスクに対する対応策を検討し、変更時の不測の事態に備えておくことが大切です。

計画していなかった変更としては、製造またはサービス提供の過程で発生してはじめてわかる問題に対処する変更になります。事例としては、予測していない要員の急な欠勤による工程作業員や検査員の変更、機械の故障による代替機械での対応、外部提供者からの材料や部品の供給遅れによる作業日程の変更、顧客からの特急納入要求による作業手順の変更などがあります。また、納入品のクレームによる、クレーム代替品を特急生産するための作業日程変更や作業手順変更などもあります。

事前に計画していた変更については事前準備しておくことができますが、計画していなかった変更事象は突発的な発生のため事前準備ができません。よって、変更発生段階で変更に関するリスクを即時に洗い出し、変更を進めつつ並行してリスク対応策を検討しなければなりません。

それでは、変更管理はどのように運用すればよいのでしょうか。これから、変更管理の適切な運用方法を見ていきましょう。

変更管理の適切な運用方法

変更管理については、適切に実施されなければ変更後の品質マネジメントシステム運用に大きな問題を残したままになってしまいます。よって、変更前、変更実施段階、変更後に確実に管理することで、結果的に品質マネジメントシステム改善につながるようにしなければなりません。

変更管理の適切な運用としては、以下の5項目を実施することが大切です。その項目を具体的に見ていきます。

変更によるリスクの洗い出し

変更するということはこれまでと異なるやり方を実施することになるため、変更実施時の変化点では大なり小なりリスクを抱えています。その考えられるリスクをまず洗い出しておかなければなりません。

例えば設備導入や更新時には、特に既存設備と大きく変わった箇所は大きなリスクを抱えることになります。変わった箇所のトラブル対応方法は整っているか、メンテナンス性はどうか、作業員の習得期間はどのくらい必要か、作業手順は分かりやすいかなど、これまで経験がないことからリスクのポイントとなる部分です。材料変更時は特に大きなリスクを抱えます。顧客へ提供する製品やサービスに大きな影響を与えてしまうためです。材料を変更しても既存製品やサービスと差違のない品質のものを提供できるか、コストの大幅アップとならないか、既存設備で問題なく使える材料であるかなどがリスクのポイントとなるでしょう。

リスクの洗い出しは、主担当の部署だけでなく、変更に携わる全ての部署のメンバーも一緒になって実施する必要があります。リスクは変更実施前に漏れなく洗い出しておかないと、洗い出していなかったリスクがいざ変更段階で発現してしまうと対応できずに変更がストップしてしまい、大きな問題となってしまいます。リスクを漏れなく洗い出すことが変更を順調に進める第一歩となります。

リスクの対応策検討

リスクを洗い出した後は、もしリスクが発現したときの対応策を検討しておく必要があります。リスクで洗い出した項目が発現しないことが理想ですが、変更はつねにリスクを抱えての実施のため、いつ発現しても対応できるように、リスクを洗い出したときに全メンバーで対応策まで検討しておくとよいでしょう。

特に、設備関連や材料関連の変更で、設備メーカーや材料メーカーからの購入である場合には、変更完了までのサポートを契約にいれ、リスク発現時にサポートしてもらえる体制を整えておくことが最大のリスク回避方法といえます。

顧客への通知(必要と判断した場合)

変更実施において、顧客へ提供する製品やサービスに影響する場合には、変更実施前に顧客へ通知しておく必要があります。最近では顧客との契約段階で、4M変更が発生する際には変更の事前申請を必須としている企業が増えています。

変更実施について顧客への通知要不要判断は、必ず経営層が行います。顧客への通知が必要と判断した場合には、顧客との契約に沿ってあるいは社内ルールに従い確実に実施しなければなりません。

変更の実施

リスク対応策まで事前に検討を終えたら、変更計画にそって変更を実施していきます。変更については、1回の実施で終えるのではなく、同じやり方で行えるかを何度か繰り返して検証することが大切です。リスクで想定した事態が発生した場合にはその対応策を実施し、対応策が有効であったかを記録に残しておきましょう。

変更実施状況のレビュー

変更実施状況のレビューとは、変更について適切性、妥当性、有効性を確定することです。適切性とは変更の内容が十分といえるか、妥当性とは変更を実行できるか、有効性とは計画した結果が得られているかということなので、変更実施状況をレビューし、変更の適切性、妥当性、有効性結果をもとに、変更内容を品質マネジメントシステムとして取り入れることを確定します。

変更内容の管理

変更実施状況のレビューで変更が完了するわけではありません。変更後も変更実施状況を管理する必要があります。特に変更後の初期流動管理は重要です。変更後に実施した製品およびサービスの初期流動結果を確実に記録に残し、変更に問題がないことを証明できるようにしてください。

まとめ

この記事では、ISO9001で要求される変更管理の運用方法について解説してきました。

市場がさらなる高度化、高性能化そして高いサービス性を求めてくるのに合わせ、顧客要求も確実に上がってきます。その変化に追従するためには、組織としてもつねに変更に取り組んでいかなければなりません。 組織として変更管理運用方法を仕組み化しておくことで、変更に恐れることなく顧客要求に対し追従していくことができます。変更管理をしっかりと行い顧客の信頼を得て、つねに成長し続ける企業として活動促進してください。

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この記事を書いたライター
小一郎秀長

ISO9001(1994年度版)導入に続きISO14001(1996年度版)導入において、ISO事務局委員長として会社の認証取得に貢献。その後のISO改訂時には、後輩育成のためにISO事務局へのアドバイザーとしてサポート。
現在はISO9001/IATF16949の維持管理に従事中。
戦国時代をこよなく愛し、尊敬するのは豊臣秀長。連休は城址廻りでリフレッシュ。

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