ISO9001で求められる是正処置とは?規格要求事項に沿って解説

ISO9001

ISO9001:2015では、是正処置について規格要求項番10.2の不適合及び是正処置で要求しています。

2015年版以前のISO9001でも是正処置要求はありましたが、2015年度版では、製品及びサービスに関する不適合に対してだけでなく、品質マネジメントシステム(QMS)仕組みのなかで発生する不適合に対しての是正処置対応と、範囲の広い要求事項となりました。

しかし、2015年度版要求の不適合と是正処置をどのように取り扱えばよいか、規格要求事項を読むだけでは分かりづらいと感じている方が多いのではないでしょうか。

この記事では、ISO9001規格で要求される不適合及び是正処置について、規格要求事項に沿って下記2つの項目を分かりやすくまとめています。

  • 不適合、是正処置とは?
  • 規格要求事項の求める是正処置とは何か

ISO9001規格要求事項が不適合に対する是正処置として何を期待しているか、未だにつかみ切れていない方はぜひこの記事をご覧ください。

不適合、是正処置とは?

不適合とは、組織の関わる要求事項を満たしていない状態のことをいいます。組織の関わる要求事項としては、ISO9001規格要求事項、顧客要求事項、製品及びサービスに関する要求事項、法令・規制要求事項、組織内で守るべき要求事項があります。

是正処置とは、不適合の原因を除去し再発を防止するための処置のことをいいます。

10.2項番では、組織の関わる要求事項で発生した不適合に対して是正処置をとることを求めています。具体的には、ISO9001認証機関審査、顧客監査、製品及びサービスに対する顧客仕様との整合(工程内検査、最終検査、顧客受入検査)、行政機関監査、内部監査時に検出された不適合に対し是正処置をとることになります。

それでは次に、ISO9001規格要求事項で求められる是正処置について具体的に見ていきましょう。

規格要求事項の求める是正処置とは何か

苦情から生じたものを含め、不適合が発生した場合には、是正処置を実施することを求めています。苦情とはクレームのことです。よって、書面や口頭で顧客から発信された、製品やサービスに対するクレームについても、是正処置をとることを要求しています。

まずは、ISO9001規格要求事項の求める是正処置のフローを図1にまとめました。

図1.是正処置のフロー

これから、規格要求事項に沿って是正処置の実施内容を具体的に見ていきます。

修正処置と起こった結果への対応

顧客へ迷惑をかける、顧客クレームを含む製品及びサービスの不具合については、是正処置を行う前に修正処置を実施する必要があります。修正処置とは、検出された不適合を除去するための処置をいいます。修正処置としては下記の5項目を実施します。

  • 不適合製品が顧客へ出荷されないように隔離
  • 不適合製品の選別
  • 不適合製品に対し、可能ならば手直しなどの実施
  • 外部提供者の不具合であればすぐに返却し処置を指示
  • サービスの場合には、サービス提供の一時停止

また、修正処置だけでは不十分な場合もあります。不適合発覚をもとに、起こってしまった結果に対しての処置が必要です。不適合の波及を即時に調査し、顧客へすでに提供した製品やサービスに波及していると分かった場合にはすぐに顧客へ通知し、回収しなければなりません。回収できたものは選別を行うか、選別が難しいと判断した場合には破棄し再作製を行うなどの処置について、顧客の合意を得ながら進める必要があります。すでに顧客が使用されている場合には、補償なども含めて協議を進めなければなりません。

顧客に直接影響する製品やサービス不適合への修正処置と起こった結果への対応のやり方次第で、その企業の評価が大きく変わりますので、誠意をもって対応することが大切です。

製品及びサービスでの修正処置の流れを図2に示しますので、参考にしてください。

図2.製品及びサービスでの修正処置の流れ

最近では、審査や監査実施後の品質マネジメントシステム不適合に対しても、是正処置を行う前に暫定処置を行う要求が増えてきております。是正処置は時間を要する場合があり、その期間が不適合状態で運用されることは問題があるとの考えから、是正処置が完了するまでの暫定処置を求められます。不適合状態のルールを一時的な代替ルールに切り替え運用する、または不適合状態のルール運用状況を上長などがダブルチェックし不適合発生がない状態で運用するなどの暫定処置が必要となります。

暫定処置の流れを図3に示しますので、参考にしてください。

図3.品質マネジメントシステムでの暫定処置の流れ

修正処置と起こった結果への対応を進めるのと並行して、是正処置と水平展開を進める必要があります。次に、是正処置と水平展開の進め方を見ていきます。

是正処置と水平展開

その不適合が再発または他の場面で発生しないようにするために、是正処置及び水平展開の活動を行う必要があります。なお、不適合が再発しないように実施するのが是正処置で、他のところで発生しないようにする処置が水平展開になります。

ISO9001規格要求事項では、是正処置及び水平展開について下記の3項目の実施を要求しています。

①その不適合をレビューし、分析すること

不適合製品及びサービスに対しては、不適合が発生した状況をしっかりと調査することが必要です。それにはまず、変動要素として挙げられる4M(人、機械、材料、方法)視点で調査することが重要です。通常作業では適合製品及びサービスを提供できているので、不適合発生時には何らかの変化が発生していた可能性が高いと判断するのが妥当かと思います。担当者へのヒアリングによる変化点有無確認、使用装置履歴、使用材料ロット変動、作業方法変更の有無確認などの情報を収集し、分析することが大切です。なお、その作業に直接関わる4M以外にも、付帯であるユーティリティー関係の変化可能性もあるので、直接作業だけでなく、間接作業にも目を向けて、変化点の調査を深く行ってください。変化点をしっかりととらえることが、確実に是正処置を行える大きなポイントとなります。

審査や監査からの不適合については、組織としては正しいと思って進めている品質マネジメントシステムに対する指摘のため、何が原因なのかをつかむことが難しい可能性があります。レビューの段階で、規格要求事項や顧客要求事項と組織の品質マネジメントシステムの差違の分析に入ると思いますが、原因をつかめない場合には、指摘された担当者(あるいは組織)へ不適合とした理由をしっかりと確認してください。審査や監査の場合には、実は仕組みはあるのにその場でうまく説明できずに不適合となる場合もあります。指摘された担当者の真意をしっかりと理解し、要求との差違がどこにあるのかを納得したうえで、原因分析に入ることが大切です。

②その不適合の原因を明確にし是正処置を検討すること

製品及びサービス不適合にせよ、品質マネジメントシステム不適合にせよ、不適合が発生した原因(発生原因)と監視・測定で検出できなかった原因(流出原因)を分析して明確にする必要があります。原因分析としては、なぜなぜ分析を利用することが多くなっております。なぜなぜ分析とは、不適合がなぜ発生したのか、なぜ流出したのかのなぜを5回まで繰り返すことで真の原因にたどり着くという手法になります。なぜなぜ分析は原因追求にひじょうに有効な手法であり、多くの書籍などで詳しく説明されているので、それらを参考にぜひ習得してください。

製品及びサービス不適合に対しては、変化点が見つかった場合には、なぜその変化点が発生したのか、そして変化点があったにも関わらず不適合を流出してしまったのかをしっかりと追求してください。変化点が見つからなかった場合には、製品及びサービスを実施する仕組みそのもののなかに不安定要素が潜んでいる可能性があるので、不適合対象となる部署だけでなく、作業に関わる全メンバーと協議し、不安定要素と考えられる箇所を洗い出し、原因にたどり着ける努力を行ってください。

品質マネジメントシステム不適合については、要求事項との差違による不適合であることを納得したら、なぜその差違に気づかずに仕組みを構築したのか、そしてなぜその差違に今まで気づかずに運用していたのかをしっかりと分析してください。

万が一、原因にたどり着けない場合には、経営層から提供されている資源(人的資源、作業環境、設備など)の影響も考えられます。現行資源状態に無理がないか、上位マネジメントを交えて現状の品質マネジメントシステムの問題点について議論し、追求するようにしてください。

③類似の不適合の有無、またはそれが発生する可能性を明確にすること

類似の不適合、つまり水平展開すべき事項がないか、その可能性がないかを明確にする必要があります。

特に、製品及びサービス不適合については、同じ作業や類似作業で実施されている他製品及びサービスでの発生がないかを確認する必要があります。

品質マネジメントシステム不適合については、指摘された箇所以外でも、要求事項を満たせていない部分がないかの見直しを水平展開として実施することが大切です。

必要な処置の実施

原因をもとに検討した是正処置は、運用前であることが多いかと思います。まずは無理な是正処置内容になっていないか、実際に行ってみることが大切です。

是正処置を実施してみて、少しでも負担になる部分が見えたら、是正処置内容を見直す必要があります。負荷のかかる是正処置の場合、いずれ回らなくなります。確実に実施できる是正処置内容であるかの検証を必ず行ってください。

是正処置にともない文書類や記録フォーマットの改訂が必要な場合には、この検証のあいだに進めておくのがよいでしょう。

是正処置の有効性レビュー

是正処置が確定し運用しても、一定期間を経ないと、是正処置内容が有効であるかが分かりません。

製品及びサービス不適合に対する是正処置を適切に運用したうえで、その期間内に不適合が再発していないか、有効性をレビューします。またこの時に、対象となる製品及びサービスだけでなく、水平展開した類似製品の結果も合わせてレビューするようにしてください。有効性評価期間は1~2か月の実施が妥当かと思います。万が一、対象製品で不適合が再発していなくても、類似製品で不適合が出ていたら、是正処置内容を見直すことが必要です。

審査や監査からの不適合に対する是正処置については、指摘された担当者(あるいはその組織)へ報告する必要があり、また有効性レビューの結果も報告しなければなりません。審査や監査の不適合については、是正処置及び有効性レビュー結果を報告する期間を指定されることが多いので、その期限に従い対応してください。品質マネジメントシステムの是正処置については、仕組み自体を大きく見直す是正もあり、2か月程度で有効性をレビューを行うのが難しい場合もありますが、その場合は上位マネジメントに有効性を判断してもらい、指定された期限は確実に守るようにしてください。なお、有効性レビューについては長期視点で監視し、内部監査でチェックすることをお勧めします。

是正処置内容及び有効性レビュー結果については記録として残す必要があるので、簡易的なチェックで終わるのではなく、レビュー結果を記録にまとめるようにしてください。

リスク及び機会の更新

要求項番6.1項で、不適合が発生しないようにリスク及び機会への取り組みを踏まえ活動を計画したにも関わらず、不適合が発生したことになります。リスク及び機会への取り組みで決定した内容が有効であったか、または気づかなかったリスク及び機会であったのかを判断し、取り組みの計画を見直し、必要な場合には計画自体を更新する必要があります。

品質マネジメントシステムの変更

対象製品だけでなく類似製品に不適合発生可能性がある場合には、品質マネジメントシステムのなかに潜在的に問題があるのかもしれません。是正処置を検討する段階で、品質マネジメントシステムについても問題がないか併せて検証し、問題が検出された場合には品質マネジメントシステムの変更も実施してください。

まとめ

この記事では、ISO9001で求めている是正処置についてくわしく解説してきました。特に、製品及びサービス不適合と品質マネジメントシステム不適合それぞれの是正処置を解説したので、理解していただけたかと思います。

不適合に対する是正処置及び有効性レビューの対応状況はその組織のレベルを示しているといっても過言ではなく、組織の現状判断のために顧客や審査機関はその内容を深く追求してきます。

不適合は組織全体の問題としてしっかりと認識し、担当者任せの是正処置とならぬよう、品質マネジメントシステム内での重要な活動と位置づけ対応するようにしてください。

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この記事を書いたライター
小一郎秀長

ISO9001(1994年度版)導入に続きISO14001(1996年度版)導入において、ISO事務局委員長として会社の認証取得に貢献。その後のISO改定時には、後輩育成のためにISO事務局へのアドバイザーとしてサポート。
現在はISO9001/IATF16949の維持管理に従事中。
戦国時代をこよなく愛し、尊敬するのは豊臣秀長。連休は城址廻りでリフレッシュ。

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