ISO9001活動でのリスクと機会への取り組みとは?ポイントを解説

ISO9001活動でのリスクと機会への取り組みとは?ポイントを解説 ISO9001

ISO9001の6項の計画の章において、リスク及び機会の取り組みという規格要求事項で対応を要求しています。品質マネジメントシステム(QMS)の計画策定段階で、まず組織を取り巻く課題や利害関係者の意向を考慮した上でリスク評価が必要なことから、6項の最初にリスクへの考慮に関する要求事項が置かれています。

しかし、規格要求事項を読み解くだけでは、取り組む必要があるリスクと機会をどのように決定し、計画に載せていくのか、分かりづらいと感じている担当の方もいるのではないでしょうか。

そのような方は、リスクそして機会という言葉をしっかりと理解した上で品質マネジメントシステム活動に取り組むようにしてください。リスクと機会の定義を理解したのちに会社の置かれている立場から社内外の動向を見つめ直すと、自ずと会社の抱えるリスクと機会が見えてくるようになります。

この記事では、ISO9001で要求されている下記のリスクと機会について分かりやすくまとめています。

  • リスクと機会とは何か?
  • リスクと機会について規格要求事項が求めていること
  • リスクと機会についての具体例

この記事を読めばリスクと機会を理解でき、どのように計画策定に繋げればよいか明らかになります。リスク及び機会を品質マネジメントシステム活動にどのように取り入れるかを悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

リスクと機会とは?

リスクとは、ISO9000規格では不確かさの影響と定義されています。不確かさとは、事象、その結果又はその起こりやすさに関する、情報、理解又は知識に、たとえ部分的にでも不備がある状態をいいます。また、影響とは、期待されていることから好ましい方向又は好ましくない方向にかい離することをいいます。規格に述べられている言葉をそのまま記述しましたが、やはり分かりにくいと思われる方が多いと思います。

リスクを簡単に述べますと、企業活動を不備な状態で進めていると活動途中で悪い事象や運よく良い事象の起こる可能性が高まってしまうと考えると分かりやすいのではないでしょうか。準備不足であれば悪い事象のほうへ転がることが多く、一般的にリスク=ネガティブな側面として捉えられています。

それに対して、機会とは、意図した結果を達成するための好ましい状況(時期)と定義されています。いわゆる、機会とは企業活動にとっての好機(チャンス)です。これだけ聞くと、機会はポジティブな側面のように見えますが、企業の明るい将来に向けて活動展開しようとしたものの、不備な状態で臨んでしまうと好機を逸してしまうリスクも抱えています。

ISO9001では、このリスクと機会に対し、悪い事象のほうへ転がらないように、またせっかくの好機を逃さないように、しっかりと事前準備を行ったうえで、企業活動を進めていきましょうということを規格要求事項で定めた形となっています。

それでは次に、リスクと機会の取り組みについて、規格要求事項の求めていることを見ていきましょう。

リスクと機会について規格要求事項が求めていること

リスク及び機会の取り組みについては、先に述べた通り、6項の計画の中の6.1項番の規格要求事項となっています。この項番では以下のことを求めています。

まず、4.1項で検討した外部・内部の課題、そして4.2項で検討した利害関係者のニーズ及び期待に対するリスクと機会は、品質マネジメントシステムの意図した結果達成に影響する可能性が高いので、組織としては、これらに対しどのように取り組むのかの計画を策定することを要求しています。

その計画策定においては、次の4つの方向性を検討したうえで、取り組むリスクと機会を決定することを求めています。

  • 意図した結果の達成
  • 望ましい影響を増大する
  • 望ましくない影響を防止又は低減する
  • 改善を達成する

外部・内部の課題や利害関係者のニーズ及び期待に対し、全て応えられるわけではありません。しかし、可能な限り応えるのが企業責任でもありますので、上記4つのいずれに目を向けリスクや機会を対応すれば外部・内部の課題をクリアし利害関係者のニーズや期待に応えられるか、しっかり分析し、選定し決定する必要があります。そのリスクと機会への対応方法を決め、その対応も踏まえ、目標設定及び計画策定を行うことが重要となります。

それでは、品質マネジメントシステムに影響しうるリスクと機会にはどのようなものがあるか、具体的に見ていきましょう。

リスクと機会についての具体例

品質マネジメントシステムとしての最大のリスクは、顧客ニーズ・期待の変化にあります。例えば、自動車業界を見ると、以前はガソリン車用の部品を大量に作り続けていれば安定的な売上を確保できていたのが、これからはハイブリッド車や電気自動車などでかつ自動運転に向けた部品生産への方向転換しなければならない時代に突入しています。それに追従するためには企業としての方針を決めなければならず、大きなリスクを伴うことになります。顧客ニーズに応えるために組織方針を決定しますが、想定されるリスク対応を必ず計画の中に盛り込むことが大切です。

そのほかの外部課題のリスクとしては、同業者の生産拡大、異業種からの参入増加、輸入品の品質向上、材料メーカーや輸送を含む外部委託先の倒産や移転などの発生などが挙げられます。

最近では、情報漏洩問題やサイバー攻撃などもリスクとして考えておかなければなりません。

そして、地震や台風などの自然災害も大きなリスクとして発生後の対応を検討しておかなければなりませんが、何といっても、最近としては新型コロナウィルス拡大のような企業活動に多大なる影響を与えるリスクも発生してしまいました。これからは、そのような事態が発生した場合でも顧客に安定的に製品・サービスを提供できるよう、今回の新型コロナウィルスで問題となった部分を是正し、次に発生した時のリスク対応を検討しておく必要があります。

内部課題としては、品質活動を行うなかで、顧客クレーム、材料や委託先加工品の不具合、機械・設備故障による製品不具合や生産停止、人起因による標準逸脱など、多くのリスクを抱えています。内部課題については、システム化の促進や標準類の整備、点検整備などでリスク低減が可能なので、考えられるリスクに対して早期に対応しておき、外部課題へのリスクへ対応できる余裕をもつことが大切です。

外部課題による機会としては、顧客の期待やニーズなどを踏まえ、新市場の開拓や海外展開、異業種への進出などが挙げられます。親会社や顧客がバックアップしてくれるときにはまたとない好機になりますが、失敗した時のリスクは計り知れません。よって、活動展開する際のリスクをしっかりと洗い出し、活動計画の中にリスク対応活動も盛り込むことが大切です。

内部課題による機会としては、新製品や新サービスの開発促進、新たな技術への取り組み、従業員教育充実による技能向上などが挙げられます。これらは好機をとらえる前向きな取り組みであり、社内活動で進めやすいことから、率先して対応し、外部課題の機会に繋げられるようにしていきましょう。

なお、組織でSWOT分析を実施していればSWOT内容がそのままリスクと機会項目に繋がりますので、ぜひ有効活用しましょう。

まとめ

この記事では、ISO9001活動で要求されるリスクと機会の取り組みについて解説してきました。特に、リスクと機会について具体例を挙げて解説したので、理解していただけたかと思います。

現市場はめまぐるしく変化し続けています。その市場に追従する顧客についていくためには大きなリスクを伴いますが、ついていくことを表明し顧客の目が組織に向けば、またとない機会にもなり得ます。内部課題であげたリスクと機会に対しては早期に取り組むことを計画し、組織としての力量を上げ、外部課題のリスクと機会に対応できる体力をつけていくように心がけてください。

リスクと機会についてつねに検討しておくことで、他社より数歩も先に進んだ品質マネジメントシステム活動を展開し続けることができます。

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この記事を書いたライター
小一郎秀長

ISO9001(1994年度版)導入に続きISO14001(1996年度版)導入において、ISO事務局委員長として会社の認証取得に貢献。その後のISO改訂時には、後輩育成のためにISO事務局へのアドバイザーとしてサポート。
現在はISO9001/IATF16949の維持管理に従事中。
戦国時代をこよなく愛し、尊敬するのは豊臣秀長。連休は城址廻りでリフレッシュ。

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