ISO9001活動で求められるプロセスとは?定義と具体的事例を解説

ISO9001活動で求められるプロセスとは?定義と具体的事例を解説 ISO9001

ISO9001規格は、組織で実行されるすべての業務(活動)はプロセスによって達成されるとの理解に基づいています。しかし、ISO9001認証取得段階では仕事を行うなかでのプロセスのイメージがつきにくいのではないでしょうか?

ISO9001では品質マネジメントシステム(QMS)の要素はプロセスによって実行されると解説されていますが、プロセスの考え方をしっかりと理解し品質マネジメントシステムの仕組みに取り入れないとうまく機能しません。

この記事では、ISO9001活動で求められるプロセスの下記3項目についてわかりやすく解説しています。

  • プロセスの定義について
  • プロセスの4つの区分
  • プロセスの具体的事例

ISO9001認証取得に向けて、品質マネジメントシステムにプロセス活動を取り入れて具体的な運用構築を進めていきたいと考えている方々はぜひこの記事をご覧ください。

プロセスの定義

プロセスとは、インプットを使用して意図した結果を生み出す、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動と定義されています。

また、ISO9000規格では、プロセスについて以下のように述べています。

  • 組織内の各活動がそれぞれプロセスである。
  • プロセスのアウトプットは次のプロセスのインプットとなる。各プロセスはお互い関連している。
  • プロセスとは、資源を使ってインプットをアウトプットに変換する活動である。プロセスは、価値を付加するために管理された条件のもとで計画され実行され、PDCA活動で運用される。

つまりプロセスとは、インプット項目を受けて価値を付加しアウトプット項目に変換する活動です。具体的なイメージを図1に示します。

図1.プロセスのイメージ

そして、各プロセスが相互的に関連しそれらが有効に繋がり効率的に流れることで、顧客要求事項を満たした製品が生み出され顧客満足に繋がっていきます。(図2参照)

 図2.「プロセス相互関連」イメージ図 

よって、品質マネジメントシステムに関係する組織の業務(活動)が効果的に機能し、お客様が満足する製品をアウトプットするためには、数多くの相互に関連し合うプロセスを明確にして運営管理する必要があります。

プロセスの4つの区分とは?

それでは、組織のもつプロセスは基本的にどのようなものがあるのでしょうか?

企業規模の大きさや組織数の大小などでプロセスの分類が異なりますが、一般的にはプロセスは大きく4つに区分されます。

主要プロセスとして運用のプロセスがあり、それを支援する支援プロセス、トップマネジメントの関与するプロセス、評価・改善を行うプロセスの4つです。

この4つに区分されたプロセスの中には、どのようなものがあるのでしょうか?

これから、4つに区分されたプロセスの中にどのようなプロセスがあるかを具体的にみていきましょう。

プロセスの具体的事例(Ⅰ~Ⅳ)

プロセスの具体的事例

一般的にどのようなプロセスがあり、それらのプロセスが会社内に存在するかを見極める必要があります。そして、会社に存在すると判断した各プロセスの繋がりを知り、プロセスが繋がることにより最終的に顧客満足を得る製品が仕上がると理解することが大切です。

なお、プロセスの相互関係を把握し運営そして管理することをプロセスアプローチといいます。プロセスアプローチの考え方については、「ISO9001活動でプロセスアプローチを適切に運用する方法を徹底解説」の項で説明しておりますので、参考にしてください。

それでは、4つに区分されたプロセスの具体的事例について説明していきます。

Ⅰ.運用プロセスの事例

運用プロセスとは、製品製造に直接関与する主要プロセスのものとなります。営業プロセス、設計・開発プロセス、製造プロセス、調達プロセス、外部委託プロセスがあります。

①営業プロセス(マーケティングプロセス、受注プロセス)

まずは顧客要求事項をインプット項目として受ける営業(受注、マーケティング)プロセスがあります。顧客とのコミュニケーションを行う重要なプロセスです。営業プロセスで得られた顧客情報が工場に展開されてきます。

②設計・開発プロセス

営業プロセスからの顧客仕様などのインプット情報を受けて、自社製造を可能とする設計・開発を行うプロセスとなります。自社製造可能な設計及びプロセス仕様を作りこみ、製造側にアウトプットされます。もし、一部の或いは全ての製造機能を外部に委託する場合には、委託先への設計及びプロセス仕様を構築します。これが委託先にアウトプットされます。

③製造プロセス

設計・開発プロセスからの設計及びプロセス仕様をインプットとし、管理基準の設けられた生産管理及び工程管理のもと製造を行います。製造プロセスが適切に運用されることで、顧客要求に準じた製品がアウトプットとして仕上がります。製品が営業プロセスを通じて顧客へ納品されることで、顧客満足を得ることができます。

④調達プロセス

調達プロセスを支援プロセスに位置づける場合もありますが、調達プロセスは製品を製造するために必要な材料や部品を調達し入手する、製造プロセスに直接影響するプロセスとなるため、主要プロセスに位置づけるのがよいでしょう。設計・開発プロセスからインプットされた材料や部品仕様などをもとに、要求を満たす取引先へ発注を行います。入荷した材料や部品を受入し、合格したものを製造プロセスへアウトプットします。

⑤外部委託プロセス

外部委託プロセスは、自社製造が不可能な場合やコスト判断により外部委託を行う場合などに活動するプロセスとなります。設計・開発プロセスからの外部委託仕様などのインプット情報を受けて、外部委託先とのコミュニケーションをへて、製造の一部あるいは全ての委託を行います。外部委託プロセスのアウトプットとしては、製造の一部を委託したのであれば中間製品であり、全ての製造を委託した場合には外部委託先で製造された製品になります。

Ⅱ.支援プロセスの事例

支援プロセスとは、製品製造には直接関与しないがこのプロセスがないと製品品質に影響するプロセスのものとなります。製品製造を支援することから、支援プロセスといいます。生産管理プロセス、教育・訓練プロセス、文書管理プロセス、記録管理プロセス、測定機器管理プロセス、設備機器管理プロセスなどがあります。

①生産管理プロセス

営業プロセスからの納期管理情報をインプットとし、顧客が要求する期日に製品を納入する必要があります。製品進捗を管理し納期管理を行うプロセスが生産管理プロセスになります。

②教育・訓練プロセス

全プロセスにおいて、それぞれの業務に対し相応の力量をもった人材を配置しなければなりません。教育・訓練プロセスでは、各プロセスに必要となる力量は何かのインプット情報を各プロセスから得て、その力量をつけるための計画、実行、評価を行い、力量を上げた人材をアウトプットします。特に、設計・開発プロセスに関わる人員、製造プロセスの中の製造員や検査員の力量は製品品質に大きく影響するために、資格認定という教育訓練管理が必要となります。その資格認定制度の管理も教育・訓練プロセスで担うことになります。

③文書管理プロセス

各プロセスには非常に多くの文書が存在します。社内文書では品質マニュアル、規定、規則、手順書などがあり、社外文書としては購入仕様書、納入仕様書、公的文書などがあります。これらは全て最新版を管理しなければならず、文書改訂や更新漏れをなくす管理が必要となります。文書管理プロセスでは、会社で管理すべき全ての文書をインプットとし、最新版を管理する仕組みを経て全ての文書の最新版をアウトプットします。

④記録管理プロセス

文書と同じく、各プロセスには非常に多くの重要な記録が存在します。特に、顧客要求事項に沿った品質の製品を製造したことを証明する記録は特に重要です。これら記録についてすぐに検索可能な状態で識別し、顧客が指定した期間や社内基準での期間は確実に保管されなければなりません。記録管理プロセスでは、各プロセスで重要な記録の情報をインプットし、それら記録を適正に管理し、各プロセスが必要とする記録を維持することをアウトプットとします。

⑤測定機器管理プロセス

製品品質を保証するためには、製品を測定する測定機器が仕様通りに機能していることが必須条件となります。測定機器管理プロセスでは、校正管理や点検が必要な測定機器の情報をインプットとし、適正な校正管理や点検管理を行い、仕様通りの測定を行える状態をアウトプットします。

⑥設備機器管理プロセス

顧客仕様を満足する製品を作るためには、製造に関与する設備機器が異常なく稼働することが必須条件です。設備機器管理プロセスでは、点検が必要な設備機器の情報をインプットとし、適正な点検管理を行い、異常なく稼働する状態をアウトプットします。

Ⅲ.トップマネジメント関与プロセスの事例

トップマネジメント

トップマネジメント関与のプロセスは、品質マネジメントシステム全体、つまり全プロセスに大きな影響を与えます。よって、各プロセスはトップマネジメントから発信されたアウトプットをしっかりと受け止め、万が一問題がある場合には、その旨インプットし再検討してもらうことが大切です。トップダウンとボトムアップの情報が共有され、インプットとアウトプットが行き来するプロセスとなります。

トップマネジメント関与プロセスとしては、品質方針・目的・目標設定、計画の策定、責任・権限の割り当てなどがあります。

①品質方針・目的・目標策定

トップマネジメントは、マネジメントレビュー情報をインプットとし、品質方針・目的・目標を全プロセスにアウトプットします。原則として、各プロセスは、品質方針・目的・目標をインプットとしプロセス目標を設定しますが、現行資源や管理状態などからプロセス目標設定が難しいこともあります。その場合は、その事実をトップマネジメントへフィードバックし、達成可能な目標への調整を検討してもらうか、資源追加の検討などを行ってもらう必要があります。

②計画の策定

トップマネジメントは、マネジメントレビュー情報をインプットとし、品質方針・目的・目標を達成するための計画を策定する必要があります。事業計画や中期計画がそれにあたります。各プロセスは、その計画を受けてプロセス目標達成に向けての計画を策定することになります。この場合も、品質方針・目的・目標のときと同じく、プロセス目標達成が困難と判断する場合には、その事実をトップマネジメントへフィードバックし、計画の見直し検討を行ってもらう必要があります。

③責任・権限の割り当て

トップマネジメントが品質マネジメントシステム全体をすみずみまで管理することはできません。よって、トップマネジメントによる力量判断や教育・訓練プロセスの情報をもとに、品質マネジメントシステム全体を管理する品質管理責任者、またプロセスを管理するプロセスオーナーを任命し、責任・権限を割り当てます。品質管理責任者とプロセスオーナーは、トップマネジメントが保有する責任・権限をもつため、責任範囲でのさまざまな決定が許されますが、決定してそのままではなく、トップマネジメントへ決定事項の報告を行う義務があります。

Ⅳ.評価・改善プロセスの事例

評価改善プロセス

品質マネジメントシステムが有効に機能する、つまりプロセスが効果的に運用されるには、プロセスを定期的に評価し改善していく必要があります。評価・改善プロセスには、是正処置プロセス、内部監査プロセス、改善プロセスなどがあります。

①是正処置プロセス

プロセス目標が未達成となる場合、内部監査で不適合が発生した場合や製品不適合が発生した場合などは、是正処置を行う必要があります。やみくもに是正処置を実施しようとしても効果的な結果が得られないので、是正処置プロセスが存在します。不適合となっている情報をインプットとし、是正処置プロセスを経て、是正処置結果がアウトプットとなります。

②内部監査プロセス

品質マネジメントシステム全体が適正に機能しているか、また各プロセスが効果的に運用されているか、他部署から見て客観的に評価してもらう必要があります。それが内部監査プロセスになります。教育・訓練プロセスを経て力量をもった内部監査員が内部監査を実施することになります。担当部署の現行管理情報をインプットとし、内部監査プロセスを実施し、担当部署の適合性及び有効性結果がアウトプットとなります。適合性及び有効性に不適合が検出された場合には、是正処置プロセスで是正処置を行います。

③改善プロセス

プロセスを運用していると、作業上の問題やシステム環境上の問題などを改善しなければならない場面が発生してきます。改善を行うにも手順にそって実施する必要があり、その改善手法を管理するのが改善プロセスです。問題となっている情報をインプットとし、改善プロセスを経て改善結果をアウトプットとして得ることになります。

まとめ

この記事では、プロセスの定義を明確にし、プロセスの具体的事例を解説してきました。

ISO9001では、品質マネジメントシステムを有効に機能させるために、プロセスを効果的に運用し各プロセスを適正に繋げていくこと推奨しています。プロセス設定が難しい印象がありますが、企業で行う各業務(活動)がプロセスであることを認識したうえで、自分たちの行っている業務がこれまで述べた4つのプロセス区分のどれに当てはまるかを考えれば、自ずと業務=プロセス設定に繋がるかと思います。

プロセス管理ではインプットとアウトプットを明確にしかつプロセス間の繋がりも明確にすることが重要なので、プロセスのインプットとアウトプットをしっかりと管理することで全プロセスが繋がり、結果として効果的に品質マネジメントシステムが有効に機能することになります。

この記事で紹介したプロセスを参考にして、会社にどのようなプロセスがあるかを分析し、存在するプロセスを設定しそのプロセスの繋がりを明確にすることで、プロセス管理を始めることができます。品質マネジメントシステムの運用にプロセス管理を取り入れ、各々のプロセスをしっかりと管理することで品質マネジメントシステムは継続的に改善していきますので、ぜひプロセス運用に取り組んでみてください。

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この記事を書いたライター
小一郎秀長

ISO9001(1994年度版)導入に続きISO14001(1996年度版)導入において、ISO事務局委員長として会社の認証取得に貢献。その後のISO改訂時には、後輩育成のためにISO事務局へのアドバイザーとしてサポート。
現在はISO9001/IATF16949の維持管理に従事中。
戦国時代をこよなく愛し、尊敬するのは豊臣秀長。連休は城址廻りでリフレッシュ。

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