ISO9001だけじゃない!ISO9000ファミリー規格とは?

ISO9001 ISO9001

品質マネジメントシステムの認証規格はISO9001ですが、このISO9001に関連するISO規格が約20種類あることをご存知ですか?総称してISO9000ファミリー規格、またはISO9000シリーズ規格と呼ばれています。

これらの規格には、ISO9001の理解や運用をするにあたって参考にすべき事項などが取りまとめられています。ここでは、その概要を把握するために次のようなことを中心に情報をまとめています。

  • ISO9000シリーズ制・改訂の歴史
  • 狭義のISO9000ファミリー規格
  • 広義のISO9000ファミリー規格
  • 個別の規格の内容

ISO9001の管理責任者や事務局の方には、品質マネジメントシステムを運用するうえで参考になる規格が多くありますので、ぜひ確認していただければと思います。

ISO9000シリーズ制定と改訂の歴史

ISOの品質マネジメントシステムの発端は、第二次世界大戦時の火薬工場の生産プロセスにあると言われています。大事故にもつながりかねない火薬の生産には適切な管理と統制が最も重要だからでしょう。ISO9000シリーズが制・改訂されるまでの生い立ち、歴史を見てみましょう。

ISO9000シリーズ制定までの経緯

ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)は1947年に発足しましたが、当初は日本のJISの模範になったような製品などに関する基準の規格を中心に制定していました。

品質に関する規格の先駆けはISOではなく、1959年に制定されたアメリカ国防総省の軍需調達規格MIL-Q-9858(品質マネジメントプログラム)です。軍需以外でも厳格な品質管理が求められる原子力エネルギーの分野で、ANSI N45.2(原子力発電所に関する品質保証プログラムの要求事項)が1971年に制定されました。

軍事や原子力の他、航空機や宇宙、自動車などの産業で品質に関する規格制定の動きが強まり、これら産業界の要望に応えて1974年、イギリスの英国規格協会(BSI)がBS 5179(品質保証システムの運用と評価の指針)を制定しました。この規格は1979年に3部構成のBS 5750(品質システム)となって、1987年制定のISO9000シリーズの母体になりました。

ISO9000シリーズ改訂の経緯

ISO9000シリーズとして、まず1986年にISO8402:1986(品質-用語)が制定され、翌年1987年にBS5750を基に次の4つの規格が制定されました。

  • ISO9001(品質システム-設計・開発、製造、据付における品質保証のためのモデル)
  • ISO9002(品質システム-製造、据付における品質保証のためのモデル)
  • ISO9003(品質システム-最終検査および試験における品質保証のためのモデル)
  • ISO9004(品質マネジメントおよび品質システムの要素-指針)

ISO9000シリーズは主に製造業を意図して制定された品質システム規格ですが、この当時は設計・開発を含むか、あるいは最終検査だけかなどで規格が分かれていました。

ISO規格は原則として5年毎に見直しを行ない、必要であれば改訂などをすることになっています。ISO9000シリーズも1987年以降、1994年、2000年、2008年、2015年に改訂され、現在に至っています。そのなかでも大幅な改定が行われたのは2000年と2015年です。

2000年版改訂:ISO9001、2、3を統合して製造業中心から他の業種にも適用可能とするISO9001(品質マネジメントシステム-要求事項)に統一。ISO8402とISO9000-1を統合してISO9000(品質マネジメントシステム-基本と用語)とし、ISO11011を品質マネジメントシステム以外にも適用できるようにISO19011(品質および環境管理の統合監査規格)として制定。

2015年版改訂:ITやグローバル化の進展などに対応し、品質以外の環境や情報、食品衛生などの他のマネジメントシステムとの整合を図る大改訂。プロセスアプローチの強化やパフォーマンス重視、リスクベース思考などを重点採用。

以上のような改訂の経緯のもと、現状のISO9000シリーズに至っています。

ISO9000ファミリー規格とは?

ISO9000シリーズで唯一の認証規格であるISO9001を中心にして、その要求事項の定義や運用のための各種のガイドラインを示した規格群を含めて、ISO9000ファミリー規格と呼んでいます。

2015年の改訂では、品質マネジメントシステムを構築するための骨格となる以下の品質マネジメント7原則が示されています。

  • 顧客重視
  • リーダーシップ
  • 人々の積極的参加
  • プロセスアプローチ
  • 改善
  • 客観的事実に基づく意思決定
  • 関係性管理

ISO9001での要求事項の他、ISO9000ファミリー規格全体でこの7原則のために行なうべきことやサポートする方法などが規定されています。

コアとなる狭義のISO9000ファミリー規格

ISO9000ファミリー規格でもコアになる中心的な規格は以下の4つの規格で狭義のISO9000ファミリー規格と呼ばれています。

  • (品質マネジメントシステム-要求事項:JIS Q 9001:2015)
  • (品質マネジメントシステム-基本及び用語:JIS Q 9000:2015)
  • (品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針:JIS Q 9004:2018)
  • (マネジメントシステム監査のための指針:JIS Q 19011:2019)

個別の規格の内容については後述しますが、ISO9000ファミリーの骨格となる規格で、ISO管理責任者の方や事務局の方には必読の規格と言えるでしょう。

・運用を支援する広義のISO9000ファミリー規格

コアとなる4つのファミリー規格の他に、ISO9000シリーズの品質マネジメントシステムの運用を支援する多くのISO9000ファミリー規格があります。コアとなる4つの規格を狭義のファミリー規格とすれば、それ以外は広義のファミリー規格と言っても良いでしょう。以下に規格番号とタイトルを示します。

  • (品質マネジメントシステム-ISO 9001の適用に関する指針:JIS Q 9002:2018)
  • (品質マネジメント-顧客満足-組織における行動規範のための指針:JIS Q 10001:2019)
  • (品質マネジメント-顧客満足-組織における苦情対応のための指針:JIS Q 10002:2019)
  • (品質マネジメント-顧客満足-組織の外部における紛争解決のための指針:JIS Q 10003:2019)
  • (品質マネジメント-顧客満足-監視及び測定に関する指針)
  • (品質マネジメントシステム-品質計画書の指針)
  • (品質マネジメントシステム-プロジェクトにおける品質マネジメントの指針)
  • (品質マネジメントシステム-構成管理の指針)
  • (品質マネジメント-顧客満足-企業・消費者間電子商取引の指針)
  • (計測マネジメントシステム-測定プロセス及び測定機器の要求事項:JIS Q 10012:2011)
  • (品質マネジメント-財務的及び経済的便益を実現するための指針)
  • (品質マネジメント-力量マネジメント及び人々の能力開発のための指針)
  • (品質マネジメントシステム-手引-人々の参画及び力量)
  • (品質マネジメントシステムコンサルタントの選定及びそのサービスの利用のための指針:JIS Q 10019:2005)
  • (適合性評価-マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項-第3部:品質マネジメントシスムの審査及び認証に関する力量要求事項:JIS Q 17021-3:2018)
  • (品質マネジメントシステム-自動車生産及び関連サービス部品組織の ISO9001適用に関する固有要求事項)

以上が現在、正式に制定されているISO9000ファミリー規格です。規格番号が飛び飛びになっていますが、まだ作成作業中のものや規格案の段階のものが控えているからです。ISO9000シリーズを効果的に運用するうえで、参考にしたい規格ばかりですね。

個別の規格の内容は?

主なISO9000ファミリー規格の個別の内容を紹介しましょう。ISO9001については説明を省略しますが、ファミリー規格のなかでJIS化されているものはネットでテキストのみですが確認できますので参考にしてください。

ISO9000は基本と用語

ISO9000は品質マネジメントシステム関連規格で用いられる基本概念と用語の定義を規定しています。規格の条項は次のように構成されています。

序文

1.適用範囲

2.基本概念及び品質マネジメントシステムの原則

3.用語及び定義

附属書A(参考)概念の相互関係及び図示

参考文献

ISO9000規格条項より

用語の定義集と考えがちですが、「2.基本概念及び品質マネジメントシステムの原則」は以下のような構成で、品質マネジメントシステムを運用するうえで理解が深まり参考になる内容が多く含まれています。

2.1 一般

2.2 基本概念

 2.2.1 品質

 2.2.2 品質マネジメントシステム

 2.2.3 組織の状況

 2.2.4 利害関係者

 2.2.5 支援(一般、人々、力量、認識、コミュニケーション)

2.3 品質マネジメントの原則

 2.3.1 顧客重視(説明、根拠、主な便益、取り得る行動)

 2.3.2 リーダーシップ

 2.3.3 人々の積極的参加

 2.3.4 プロセスアプローチ

 2.3.5 改善

 2.3.6 客観的事実に基づく意思決定

 2.3.7 関係性管理

2.4 基本概念及び原則を用いたQMSの構築・発展

 2.4.1 QMSモデル(一般、システム、プロセス、活動)

 2.4.2 QMSの構築・発展

 2.4.3 QMSの規格,他のマネジメントシステム及び卓越モデル

ISO9000規格条項より

その次の「3.用語及び定義」でも、「組織に関する用語」や「プロセスに関する用語」、「システムに関する用語」など13の分類で注記や例を交えて詳しく解説しています。規格の用語の意味に悩んだときなど、ISO管理責任者や内部監査責任者、事務局などには助けになる規格です。関係者の一人ひとりが持つ必要はありませんが、組織として必ず用意しておくべき規格と言えるでしょう。

ISO9004は品質マネジメントシステムの要素と指針

ISO9004は品質マネジメントシステムの要素と指針を定めています。ISO9001と何が違うかと言うと、ISO9001よりもより高いレベルの品質マネジメントシステムを求める組織のために開発された規格になっています。

ISO9001の維持・管理だけでも精いっぱいなのにさらに高いレベルの規格となると関係ないと思われるかもしれませんが、部分的にも取り入れればISO9001の運用に有益になることもあります。ISO9004は以下の条項で構成されています。

1.適用範囲

2.引用規格

3.用語及び定義

4.組織の品質及び持続的成功

5.組織の状況

6.組織のアイデンティティ

7.リーダーシップ

8.プロセスのマネジメント

9.資源のマネジメント

10.組織のパフォーマンスの分析及び評価

11.改善、学習及び革新

ISO9004規格条項より

ISO9001の構成条項とも異なり興味深い内容です。ISO9004は認証規格ではありませんので、ISO9001の運用に役立つ部分は大いに活用するようにしましょう。

ISO19011はマネジメントシステム監査のための指針

ISO19011はマネジメントシステム監査のための指針を規定しています。監査には第三者認証審査と第二者監査(サブライヤー監査、供給者監査)、内部監査があります。第三者認証審査についてはISO/IEC17021に規定されていますので、ISO19011は第二者監査と内部監査に焦点を当てた規格と言えるでしょう。以下が規格の構成です。

序文

1.適用範囲

2.引用規格

3.用語及び定義

4.監査の原則

5.監査プログラムの管理

 5.1 一般

 5.2 監査プログラムの目的の設定

 5.3 監査プログラムの策定

 5.4 監査プログラムの実施

 5.5 監査プログラムの監視

 5.6 監査プログラムのレビュー及び改善

6.監査の実施

 6.1 一般

 6.2 監査の開始

 6.3 監査活動の準備

 6.4 監査活動の実施

 6.5 監査報告書の作成及び配付

 6.6 監査の完了

 6.7 監査のフォローアップの実施

7.監査員の力量及び評価

 7.1 一般

 7.2 監査プログラムのニーズを満たす監査員の力量の決定

 7.3 監査員の評価基準の設定

 7.4 監査員の適切な評価方法の選定

 7.5 監査員の評価の実施

 7.6 監査員の力量の維持及び向上

ISO19011規格条項より

ISO9001の必須要求事項である内部監査を実施するときには、このISO19011に沿って行なえば間違いがなく、効果的な監査が行なえます。ISO品質管理責任者や内部監査責任者、内部監査員の方々には必読の規格と言えるでしょう。

その他の規格など

ISO9000ファミリー規格の中核となる規格の内容を紹介しましたが、広義のファミリー規格についてはJIS化された規格の情報などを参考にしてください。

次のISOの公式サイトからはISO9000ファミリー規格をサポートする以下の資料などがダウンロードできます。(https://committee.iso.org/sites/tc176sc2/home/projects/published/iso-9001-2015.html#Using_ISO_9001_2015

  • A paper on ISO 9001 and Risk(リスク)
  • A presentation on ISO 9001 and Risk Based Thinking(リスク)
  • Guidance on the requirements for Documented Information of ISO 9001:2015(文書化した情報)
  • How Change is addressed within ISO 9001:2015(変更管理)
  • A paper on the Process Approach in ISO 9001:2015(プロセスアプローチ)
  • A presentation on the Process Approach in ISO 9001:2015(プロセスアプローチ)
  • Frequently Asked Questions (FAQs)(よくある質問集)

プロセスアプローチやリスク管理など、ISO9000シリーズの中核となる考え方を理解するための参考になるでしょう。

また、ISO9000ファミリー規格ではありませんが、ISO9000シリーズを発展させて他の産業などでも以下のような独自の規格が制定されていますので参考にすると良いでしょう。

  • TickIT:情報技術、ソフトウェアに関する品質管理システムのガイドライン
  • AS/EN/JIS Q 9100:航空宇宙産業の品質管理システム規格
  • TL 9000:電話・通信産業の品質管理システム規格
  • ISO 13485:医療機器製造に関する品質管理システム規格
  • ISO/IEC 90003:ソフトウエア業界の品質管理システム規格
  • ISO/TS 29001:石油化学業界の品質管理システム規格

まとめ

ISO9000シリーズが制定されたのは1987年ですが、その後4回の改訂を経て現在の2015年版に至っています。その間、中心となる認証規格のISO9001をサポートする規格なども制・改訂されています。

品質マネジメントシステムに関するISO規格は、認証規格であるISO9001を中心に約20種類以上あってISO9000ファミリー規格と呼ばれています。そのなかでもコアとなるISO9000、ISO9004、ISO19011はISO9001とともにISO管理責任者や内部監査責任者、ISO事務局に携わる方々には必携の規格と言って良いでしょう。 その他、広義のISO9000ファミリー規格と呼ばれているものにも、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用するうえで効果的な情報を含む規格が数多くあります。ISO9001の運用・管理に携わっている方々には、これらの規格をよく把握・理解して、より良い品質マネジメントシステムの構築のために活用されることが望まれます。

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この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

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