ISO9001を運用するうえでの品質管理業務の役割とそのキーポイント

ISO9001を運用するうえでの品質管理業務の役割とそのキーポイント ISO9001

品質管理や品質保証などの品質担当部門は、以前は検査業務やクレーム処理などのあまり目立たない業務が主体でした。ところが、ISO9001規格の認証取得活動などに関連して、品質管理責任者に抜擢されたり事務局業務を任せられたりで、忙しさも含め業務内容が増えてきています。

ここでは、ISO9001を運用するうえでの品質管理業務について、次のような点を中心にして解説します。

  • 品質管理部門の業務分掌
  • ISO9001を運用するうえでの品質管理業務の役割
  • 品質管理業務を推進するためのキーポイント

ISO9001を運用するなかで、品質担当部門の業務に従事している方や、その業務に悩んでいる方などに参考になるような事項をまとめています。

品質管理部門の業務分掌は?

ISO9001では5.3項で組織の役割、責任と権限を明確にすることを要求しています。組織のどの部門でも、誰が何をしなければならないのかという責任と、何をするのが許容されているのかという権限を明確にすることが要求されています。品質マニュアルなどに規定し、組織図や業務分掌、ISOシステム分担表などで示すのが一般的です。

品質管理部門の業務は多岐にわたっているので、業務分掌表などで明確にするのが良いでしょう。規模が小さな会社では、品質管理部門の部門長を製造部長や工場長などが兼任していることも珍しくないことです。品質部門は独立性の確保が望ましいことですが、そのような場合は関連がわかるように組織図に明記することをおすすめします。

品質管理と品質保証、両方の業務が必要

品質管理と品質保証の違いは何かとよく問われますが、ISO9001運用での品質部門の業務としてはその両方が必要と言えます。両方の業務分掌をみてみましょう。

品質管理は会社の規模によっても異なりますが、最終的な検査の他、製品に不良品が出ないように工程の見直しや改善を進めるのが主な仕事です。

  • 検査業務(受入、最終製品)
  • 検査機器の管理・調整
  • QC工程表や作業標準書の作成、維持・管理
  • 工程異常対処(原因追及と対策)などの工程改善
  • 従業員への品質教育
  • ISOの事務局業務(方針管理や監査などの対応)

品質保証の業務は品質管理と重なる部分がありますが、製造だけでなく製品の企画・開発段階から顧客に渡るまでの間の一貫した品質を保証するための活動で、次のような業務が含まれます。

  • 品質方針や品質保証計画の立案
  • 品質会議の主催や重要品質問題解決への調整
  • 企画・設計でのデザインレビューなどへの参画
  • 外注業者への品質管理・品質監査の実施
  • 取扱説明書の作成あるいは審査
  • 顧客のクレーム対応

ISO9001に対応するための品質部門としては、品質管理と品質保証の両方の業務が必要で、品質推進本部などの部門名としている組織もあります。

ISO9001運用での品質管理業務の役割

ISO9001の運用で、品質管理部門の部門長が品質管理責任者に任命されたり、スタッフがISOの事務局員に登用されることはよくあることです。その場合は、ISO関連業務全般に品質管理部門のスタッフが関わることになります。

※品質管理責任者の役割について、詳しくは「ISO活動を円滑に進めるために品質管理責任者が果たすべき役割を徹底解説」を参照。

ISO9001の要求事項は、計画、運用、パフォーマンス評価、改善の枠組みで構成されていますが、品質管理業務の役割は運用以降が主体になります。設計・開発や製造の運用への関わり、内部監査やマネジメントレビューを含むパフォーマンスの評価、不適合や是正処置を含む継続的な改善などについて、品質管理業務は大きな役割を果たします。

ISO9001での品質関連業務を推進するためのキーポイント

ISO9001での品質関連業務を推進するためには、いくつかのキーポイントがありますので紹介しましょう。QCサークルなどの品質活動でもよく使われる手法などで、品質管理の考え方の基本と言っても良いでしょう。

データに基づく判断

製品の品質良否を判定するのもデータです。品質管理では、不良品の発生確率や顧客からのクレームなどさまざまなデータが蓄積されています。データは事実を示すもので、このようなファクトに基づいてコントロールする、判断することが品質管理では重要です。

データは誰が測定しても変わらない客観的なものでなければなりません。そのために、測定器の校正などの管理も重要になります。定性的な判断ではなく確実なデータに基づく判断で、製品の品質保持や改善・改良につなげるようにしましょう。

三現主義、4Mに基づく分析-なぜなぜ分析

不良品や不具合が生じたときには、その原因を追究しなければなりません。よく使われるのがフィッシュボーン(魚の骨)やタートル図(亀の甲)による分析手法です。その中で、「なぜ」そうなったのかの原因を「なぜ」を複数回繰り返すことで追及する「なぜなぜ分析」はトヨタで始められた方法で、原因追及の代表的な手段です。

不具合などを分析するときに大切なのは、その不具合を正確に把握することです。客観的に不具合現象などを把握するには、現場・現物・現実に即した「三現主義」に基づいて確認することが重要です。必ず現場に足を運び、現物を手に取り、現実を自分の目で確認する考え方のことです。

不具合現象などを正確に把握できたら、次にその現象を4Mの要因別に問題点を整理します。4MはMan(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)の4つで、これにMoney(費用)を加えて5Mとすることもあります。

  • Man:スキル不足か、ヒューマンエラーのポカミスか?
  • Machine:機械の故障、設備の能力不足や劣化?
  • Material:材料の欠陥、特性のバラツキ?
  • Method:作業方法の抜けや作業手順の間違い?

このような視点で要因の洗い出しをモレのないように行なったうえで、「なぜなぜ分析」を進めると良いでしょう。

業務プロセスの5W1Hによる見える化、ルール化による再発防止

品質関連部門はISO9001での各部門の業務プロセスを見直し、改善することに取り組む必要もあります。業務プロセスの見直し、改善で重要なことの一つが業務プロセスの見える化、文書化です。

ISO9001:2015では業務プロセスの文書化について、明確な要求はありません。ただ、作業手順や業務フローなどを標準化して文書化することは、業務に携わる従業員が暗黙のもとで理解するのではなく明確に理解するためには必要不可欠のことです。

業務プロセスを明確に見える化するためには、5W1Hに基づいてWhen(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(何のために)、How(どうする)ということを明確に文書化しなければなりません。

不具合が起きたときの再発防止策も同じことで、改善すべき手順やポイントを作業手順書などの文書にルールとして盛り込むことが重要です。

PDCAによる継続的改善

ISO9001の大きな骨格は、PDCAを回すことによる継続的改善です。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを常に回すことによって継続的な改善を推進します。

このサイクルをうまく回すためには、それぞれのステップが確実にかつ迅速に行なわれなければなりません。どのプロセスの業務に取り組むにしろ、その業務の位置づけや前後のプロセスの状況などを確実に把握して実施することが重要です。

QCDのバランスが重要

企業にとって製品やサービスで重視する要素は、Q(Quality:品質)、C(Cost:コスト)、D(Delivery:納期)の3つです。QCDのバランスを考えることは重要ですが、品質担当部門としては品質(Q)を最優先に検討しなければなりません。

顧客や他部門からはコストや納期の優先を要求されることもあるでしょうが、いかに品質を重視しつつコストや納期とのバランスを取るかが重要な課題になります。

まとめ

ISO9001を運用するうえでの品質管理業務の役割は多岐にわたっています。品質保証的な業務も含まれ、ISO9001の運用では主役部門と言っても良いでしょう。

品質管理業務を推進するためには、いくつかのキーポイントがあります。三現主義や4M、5W1H、PDCA、QCDなど、品質管理の考え方のベースになるものです。これらのキーポイントを押さえて、ISO9001での品質管理業務を確実に遂行していきましょう。

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この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

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