ISOのメリットは?その2:ISO9001認証取得で企業や製品など多くの品質が改善

ISO9001

ISOの認証取得によって得られるメリットはなんでしょうか?ここでは、最も認証取得登録組織数が多い品質マネジメントシステムのISO9001を認証取得することによって得られるメリットを考えてみましょう。

ISO9001が求めている品質は、企業などが提供する製品やサービスだけではありません。ISO9001は、企業の組織体制やそこで働く従業員の意識、ステークホルダーとの利害関係など、企業活動のすべてを対象にしてその品質の改善を求めている規格です。

この記事では、ISO9001の認証取得で得られる以下のメリットについて、わかりやすく解説します。

  • ISO9001の認証取得前の活動で得られるメリット
  • ISO9001の認証取得によって得られる製品やサービスの品質向上のメリット
  • ISO9001の認証取得によって得られる企業や組織のメリット

これからISO9001の認証取得を目指している方や、認証取得して導入したけれど運用の効果に悩んでいる方などのために、参考にしていただきたい内容をまとめています。

ISO9001認証取得前の活動で得られるメリット

ISO9001を取得する前の活動には、マニュアルや手順書などの作成とそれに沿った内部監査や目的・目標へのPDCAの実践など、新たに経験する活動がたくさんあります。それらの活動から得られる大きなメリットを2つ紹介しましょう。

企業活動の活性化

ISO9001を取得するための活動には、今まで経験したことがない活動が多く、その活動のなかではさまざまな議論が交わされます。特に内部監査のような自部門の活動を他部門の監査員から指摘されるような活動では、その妥当性について熱い攻防が繰りひろげられることが多いでしょう。

その他、品質管理部門などが主体で行なわれる不適合管理や是正処置などでの活動でも、指摘事項に対しての論議は尽きません。マニュアルや手順書の内容や目的・目標の設定などについても、ISOを取得するための初めての活動になることが多いので議論の対象になるでしょう。

このような議論などをとおして、会社組織内、組織間の活動がISOの要求する継続的改善に向けての活動へと活性化されることは大きなメリットと言えるでしょう。ISOの認証取得の計画がなければ従来通りの体制のままで、企業活動が活性化へと進化することはないでしょう。また、仮にISOを認証取得できたとしても、このような企業活動の活性化が継続できなければ、ISOによる運用効果も期待できないでしょう。

業務分掌の明確・細分化

ISO9001の活動に取り組むときに行なうことの一つに業務分掌の明確化があります。これは所属している部署およびその部署の個々人が行なっている業務、仕事の内容を細部にわたって明確化することです。

ISO9001で組織全体や部署ごと、あるいは個人別に品質目的、品質目標を設定してPDCAのサイクルで継続的に改善することが要求されています。その目的・目標の設定にあたっては、業務分掌が明確になっていなければ適切な立案ができません。

また、力量評価や教育計画立案にしても、個人ごとの業務分掌を明確にしておく必要があります。業務分掌の明確化は業務の棚卸しとも言えます。単純作業だけのように見える業務でも、一日単位、週単位、月単位などで見れば10項目以上の業務分掌として表すことができるでしょう。

この業務分掌の明確化はISO9001に限ったことではなく、環境のISO14001や情報のISO27001など、他のISO規格でも必要なことです。ISO活動を確実に実践するために、取得準備段階から業務分掌を明確化しておくことはその後の活動に大きなメリットになるでしょう。

ISO9001認証取得によって製品やサービスの品質向上のメリットが

ISO9001の認証取得によるメリットで目に見えてわかるのは、製品やサービスの品質向上です。ISO9001では各個人や各組織で品質に関わる目標設定をして、それを達成するようにPDCAで改善活動を実践します。

製品の品質向上のための活動は?

製品の品質を向上させるために、製造会社各部門では例えば次のような活動目標を設定します。

資材部門:部品の受入検査の強化、仕入先業者への品質監査。

製造部門:工程内不良率の低減、手順書類の改訂。

品質管理部門:不適合事項の確実な是正。

設計部門:クレーム事象の設計への反映。

総務部門:間接費の削減、職場環境の改善。

これらの目標にはすべて数値目標が伴って、進捗管理されます。ISO9001の要求事項に沿っての改善活動で、製品の品質が確実に向上するというメリットが期待されます。

サービスの品質も向上

ISO9001は製造業だけでなく、サービス業での認証取得も多くなってきています。認証登録企業を業種別にみると、製造業が約50%でサービス業と建設業がそれぞれ約25%になっていて、この3業種でほとんどを占めていることになります。

サービス業の業種は具体的には卸売・小売業、輸送・倉庫・通信、金融・保険・不動産、情報技術、エンジニアリングなど多岐にわたります。それぞれの業種や企業などによって、ISO9001が求める品質目標の内容も異なるでしょう。

サービスの基本的な品質には、スピード感や納期遵守などの迅速性と柔軟性、顧客の期待を共有する共感性の他、正確性や安心感、好印象などの6つの要素があると言われています。サービス業の品質目標はこれらの他、顧客満足や信頼感、納得感などさらに良い品質を目指す目標サービス品質や、感覚的な品質を示す印象サービス品質などの要素が含まれた品質目標が基本になると思われます。

ISO9001を認証取得したサービス業の会社では、これらの品質目標を達成するように継続的改善が徹底して図られます。そのサービスの質、品質が向上するのは、その会社にとってもその顧客にとっても、大きなメリットになることに間違いはないでしょう。

ISO9001認証取得で得られる企業や組織などのメリット

ISO9001認証取得のメリットは製品やサービスの品質向上だけでなく、企業や組織そのものにもメリットが表れます。認証取得前の活動の項で紹介したように、企業活動活性化のメリットは継続的に維持されるでしょう。

製品やサービスの品質向上が企業の収益改善などのメリットにつながることはもちろんですが、ISO9001を認証取得したこと自体が評価されて社会的信用が向上します。そのことが取引の拡大や売上増加などにつながり、結果的に経営改善に寄与することになるでしょう。

会社や組織にとって重要なメリットは、ISO9001の枠組みの活動をとおして得られる以下のような企業体力、企業価値の向上につながるメリットです。

  • PDCAによる継続的改善の実現。
  • 組織内の機能・責任権限の明確化による、業務効率の改善などの経営改善。
  • 管理層のマネジメント能力の強化により、組織内の目的・目標管理が徹底。
  • 従業員の意識改革による組織の体質強化。
  • リスク管理の強化で、企業の社会的責任やコンプライアンスが徹底。

これらは品質に限らず環境や情報などのISOマネジメントシステム規格に共通の要求事項から導かれるメリットです。ISOを認証取得する目的の最も重要なポイントでしょう。

まとめ

ISO9001の認証取得によるメリットは、製品やサービスの品質向上だけでなく、ISO規格の要求事項が意図する企業体質の強化や企業価値の向上につながるメリットが大きいと言えます。

認証取得前の準備段階の活動からさまざまな議論が企業などの組織を活性化するメリットも、その後の企業活動では重要なことです。ISO9001の維持・運営には多くの費用、労力を費やしますが、ISOの主旨を確実に把握・理解して、それ以上のメリットを生みだすように活用、運用するように心がけましょう。

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この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

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