ISOを病院が取得する3つのメリットは?病院機能評価との違いも徹底解説

ISOを病院が取得する3つのメリットは?病院機能評価との違いも徹底解説 ISO全般

ISO認証を取得している病院は増えてきているけれど、取得すべきか悩んでいるという医療関係者の方もいるのではないでしょうか?また、種類の多いISOシリーズの中で、どの認証取得を目指したらいいのかわからないという疑問もあるでしょう。

そこでこの記事では、ISO認証取得を検討しはじめた医療関係者の方に向けて以下3つの項目について解説しています。

  • ISO認証について
  • 病院がISO認証を取得するメリット
  • 病院での取得率が高いISO認証の種類

初心者でもわかりやすく説明しているので、ISO取得を悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

ISO認証制度とは?

ISOとは、全世界で同じ品質のものを提供できるようにするために定められた、国際的な規格です。ISO認証を受けると、製品、サービスの品質が担保できている証明になります。

更に詳しく、ISO認証の特徴を見ていきましょう。また、同じく病院を評価する「病院機能評価」との違いも解説します。

ISO認証の特徴

ISOの規格は大きく2つに分けられます。

  • 製品を対象にする規格
  • マネジメントシステムを対象にする規格

なかでも「マネジメントシステム」が対象の規格があるのが大きな特徴です。これは、簡単にいうと組織の仕組みに関する規格です。

病院で言えば、サービスを提供している医師や看護師、検査技師は一人ではありません。そのため、全員が安定して良い医療を提供するためには、仕事の手順やトラブル時の対応方法などのプロセスをルール化しておく必要があります。

また、誰が意思決定するのか、誰がルールを運用するかをはっきりさせないと、せっかく決めた規定もうまく運用できません。各役職の責任と権限をルールすることで、病院全員が同じ目標に向けて動けるようになり、医療の質が担保されます。

このように、サービスそのものだけではなく、組織を指揮・管理するための仕組みに関する基準も設けているのがISOの大きな特徴です。

ISOと病院機能評価の違い

病院を外部評価する指標として「病院機能評価」もありますが、ISOとどちらを取得すれば良いのか悩む方もいるでしょう。そこで、ISO9001と病院機能評価を比較しました。

項目ISO9001病院機能評価
範囲国際規格国内基準
評価者ISO認証機関(財)日本医療機能評価機構
評価対象マネジメントシステム施設の構造・運営体制など
評価頻度1年に1,2回 (更新は3年に1回)5年に1回
要求事項病院業務に特化していない。仕組みの適合性、プロセスを評価病院業務に特化。領域ごとに評価項目を具体的に設定
ISO9001規格と病院機能評価の比較表

どちらも医療の質を高めるのが目的ですが、評価する視点が異なります。

病院機能評価が確認しているのは、医療や看護のレベルそのものです。一方でISOは、PDCAサイクルにより継続的な改善をおこなう仕組みがあるかどうかを重視しています。

そもそも評価の観点が異なるため、どちらが優れているということはありません。実際に、両方を取得している病院も多くあります。

病院がISO認証を取得する3つのメリット

病院スタッフ

病院がISO認証を受けることにより、どのようなメリットがあるのでしょうか。大きくわけて利点を3つ紹介します。

【ISO取得のメリット1】ヒヤリハットの低減

ISOでは継続的に改善を進められる仕組みを確認しています。これにより、インシデントレポートで報告された内容をもとに、内部でプロセスを改善する組織づくりが可能です。

ISOで求められる仕組みを構築し、インシデントに基づいた改善を繰り返すことにより、医療事故やヒヤリハットの低減につながります。

【ISO取得のメリット2】顧客からの信頼向上

第三者からの評価として国際規格であるISOを取得することで、入院患者や家族からの信頼が高まります。

さらに、業務を標準化することで、医療サービスの質が属人化せず一定に保たれるため、クレームの減少にも繋がります。

【ISO取得のメリット3】職場環境の改善

仕事や責任の範囲を明確に規定するため、仕事を進めやすくなります。

また、ISOの取得には部署を越えた協力が必要です。取得に向けた活動を通して部門間の会話が増えることで全体の風通しが良くなり、職場環境が改善することもあります。

病院に関係するISO認証

ISO規格はさまざまな種類があるため、医療機関に合うものがわからないという方もいるでしょう。ここでは、病院に関係するISO認証のなかで代表的なものを4つ紹介します。

ISOシリーズのなかで最も広く普及しているのは、ISO9001とISO14001。さらに病院に特化した内容を含むものがいくつかあります。特化した規格はISO9001をベースとしている部分も多いため、まずはISO9001の取得を目指すと良いでしょう。

ISO9001(品質マネジメントシステム)

ISO9001は品質のよい製品やサービスを提供するための仕組みを評価する規格です。

ISO9001では、今の医療サービスの内容自体は評価されません。業務を標準化して同じクオリティのサービスを患者に提供できていること、事故があったときに改善するための仕組みが構築できていることを見られています。

そのため、ISO9001認証の取得に向けて院内を整備すると、患者の満足度向上や、医療事故・クレームの低減に繋がります。

ISO14001(環境マネジメントシステム)

ISO14001は、環境負荷や環境リスクを低減したり、発生を予防したりする組織に関する環境マネジメントシステムの規格です。

病院の場合、環境に配慮しつつ感染性廃棄物を適正に処理することが求められます。もちろん衛生面を鑑みて、血液や体液等が付着する注射針や手袋などは使い捨ての物を用いて二次感染を予防することは必要です。しかし、廃棄量が膨大であるので、処理方法を検討しなければなりません。

ISO14001を取得することで、環境および二次感染に配慮した管理をしている病院だという証明になります。環境問題に関する注目が高まっている昨今、環境保全に配慮したという評価は、社会的な信頼向上に繋がるでしょう。

ISO13485(医療機器・体外診断用医薬品に関するマネジメントシステム)

ISO13485は医療機器の安全性や品質確保を目的として作られた規格です。ISO9001は業界を問わず汎用性が高い反面、医療機器固有の内容をカバーしきれていません。そこで、ISO13485は医療機器に関する世界標準を設け、安全性を担保するために作られました。

そのため、ISO13485には組織の仕組みに関する要求事項のほか、下記のような医療機器特有の要求事項が組み込まれています。

  • 医療機器のバッチに対するトレーサビリティの確保
  • 製品の洗浄性及び汚染管理
  • 滅菌医療機器(注射器、メス、ピンセットなど)に対する固有の要求事項
  • (能動)埋込み医療機器(ペースメーカー、人工内耳など)固有の要求事項

ISO13485の認証を取得すると、医療機器や医薬品を安全に使用し、提供している証明になります。ただし、ISO13485の要求事項は薬機法に従う部分も多いため、絶対に必要なものではありません。

とはいえISOは国際標準なので、病院の信頼性を上げる意味で取得を検討しても良いでしょう。

ISO15189(臨床検査室の認定)

ISO15189は臨床検査室に特化した規格で、以下の2つの側面から要求事項が定められています。

  • 検査室や検査結果の質を管理するための仕組み
  • 検査技術・能力

つまり、検査の技術そのものに加え、その管理方法が適切であるかを確認する規格です。検体を採取するところから検査結果の報告までのすべての工程が対象になります。

技術および管理する仕組みを一定の水準にあげ、改善する仕組みを整えることで、臨床検査における事故・ヒヤリハットの防止や作業の効率化が見込めます。

ISO15189を取得するメリットは、診療報酬の加算ができることです。厚生労働省が「国際標準検査管理加算」という項目を追加したことで、検査の質向上はもちろん、コスト面でも利点があります。

まとめ

この記事では病院がISO認証を取得するメリットや、病院に関連する規格を紹介してきました。

ISO認証に向けて整備をすすめることで、継続的に仕組みを改善する組織が構築されていくのが取得のメリットです。徐々に業務改善が当たり前の病院を作れば、患者の満足度向上に加え、働きやすい職場づくりにも繋がります。

病院機能評価とは異なる観点の規格になるため、合わせて取得を目指すとよいでしょう。

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