ISO9001内部監査員に必要な監査技法とは?重要ポイントを徹底解説

ISO9001内部監査員に必要な監査技法とは?重要ポイントを徹底解説 ISO9001

ISO9001活動においては、定期的な内部監査の実施が規格で要求されており、組織で認定された内部監査員が被監査部署に対して実施します。内部監査では、被監査部署から品質マネジメントシステム活動に関わる業務の詳細情報を引き出す必要があり、内部監査員には非常に高い力量が要求されます。

組織内に外部審査員のような高い知識と経験をもつプロ講師のような存在の担当者がいれば、社内教育の資格認定制度を作り内部監査員を育成していくとよいでしょう。しかし、内部監査員専属として雇用している企業はほとんどないのではないでしょうか。

ISOに関する研修を担う機関は多く存在しており、内部監査員養成コースのセミナーや講習なども実施していることから、組織の内部監査員候補者に外部機関での講座に参加させ演習後の試験合格する支援をすることにより、内部監査員資格認定にしている企業が多いかと思います。内部監査研修を実施する機関は東京、名古屋や大阪に本社を構えているところが多く、出先として仙台や福岡などにも拠点や会場を構え、全国を網羅できる体制を整えています。内部監査員を数十人単位で育成したい企業があれば、相談すればその企業に出向きコンサルティングの形で内部監査員養成セミナーを開催してくれる外部機関もあり、費用も抑えられる可能性もあります。セミナーを開催する機関の情報はネットで簡単に取得できるので、組織で実現したい内部監査員資格認定に合った教育を行う機関を探し利用してみてください。

なお、ISO14001規格も内部監査実施を要求しており内部監査員が必要であることから、外部機関が同様にセミナーを開催しています。ISO9001とISO14001の規格要求事項の構成はほぼ同じであることから、内部監査の実施手法も同じといえますので、両方のISO認証取得している企業では、いずれかの一方のセミナーを受講させ、内部監査員資格認定の形にしてもよいでしょう。

それでは、内部監査員養成セミナーなどでは、どのようなポイントを重要視して教育を行っているのでしょうか。

この記事では、セミナーなどで学ぶ内部監査員に必要な監査技法の重要ポイントについて、以下を概要としてまとめました。

  • 内部監査の種類
  • 内部監査エビデンス収集の手順

ISO9001の組織活動において、内部監査員の力量アップのためにどのようなポイントを強化すればよいかを考えているISOに関わる責任者や事務局の方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

なお、ISO9001内部監査自体の進め方については、関連記事としてISO9001内部監査の進め方―現場の内部監査員から見た重要ポイントでまとめていますので、ぜひご覧ください。

内部監査の種類

内部監査

まず内部監査員が認識しておかなければならないのは、内部監査時にどのような種類の監査を実施すべきかということです。

ここでは、内部監査時の種類を見ていきます。

文書監査

内部監査員は、品質マニュアル、各種規定、規則そして手順書などの組織作成の品質マネジメントシステム関連文書に記載されている内容が、ISO9001規格要求事項に対して適合しているか否かを監査しなければなりません。また、文書体系で定めている文書相互間で矛盾がなく、整合しているかも確認する必要があります。この監査を文書監査といい、書類監査と表現することもあります。内部監査員は、被監査部署のもつ文書内容がISO9001規格要求事項と整合が取れているかをチェックする必要があることから、ISO9001規格要求事項が何を求めているかをしっかりと理解し、監査に臨まなければなりません。

品質マネジメントシステム構築段階では、文書構成がまだ不完全な状態であることが多いことから、内部監査としては文書監査を主体に実施し、検出された不整合部分を重点的に是正しながら有効な文書体系構築を目指していくとよいでしょう。

現場監査

内部監査員は、業務を行っている現場におもむき、ISO9001規格要求事項、被監査部署が維持している文書、そして決められた手順とおりに業務を実施しているかを監査する必要があります。この監査を現場監査といいます。

品質マネジメントシステムの文書体系が整い運用が軌道にのってきたら、内部監査を現場監査主体に切り替えていくとよいでしょう。なぜなら、運用がマンネリ化してくると、文書内容や決められた手順から逸脱した作業が発生してくる可能性があります。被監査部署で発生している不整合部分を内部監査で検出し是正処置を実施させることにより、文書内容や手順を見直すよい機会になります。

内部監査エビデンス収集の手順

情報収集

内部監査員は、ISO9001規格要求事項、組織の維持している品質マネジメントシステム文書をベースにしながら、内部監査実施時に客観的証拠となるエビデンスを収集していく必要があります。上手にエビデンスを収集するためには、内部監査実施時に配慮すべき内部監査の技法があります。

それでは、内部監査員としてどのようなことを意識しながら内部監査を実施すれば、うまくエビデンスを収集することができるのでしょうか。

これから、内部監査員が心得るべき内部監査の技法を見てきましょう。

観察すること

内部監査員は、よく観察し、主観を交えることなく客観的に判断できる証拠を得なければなりません。

文書監査では、ISO9001規格要求事項をベースにチェックすることから、規格要求事項が求めていることは何か、そしてその規格要求が品質マネジメントシステム文書にしっかりと網羅できているかを観察し読み解く必要があります。特に、品質マネジメントシステム構築段階では未成熟の状態にあることから、要求事項にそった形で運用できているかを見極めなければなりません。

トップマネジメントやプロセスオーナー方針を受け立案した品質目標の達成に向け計画とおりに進んでいるか、未達成が続いていれば是正が行われているか、その業務を行う十分な要員が配置され必要な教育が実施されているか、変更が発生した際に決められた手順に従い実施されているか、現行の品質マネジメントシステム運用で提供した製品及びサービスで顧客満足が十分に得られているかなど、ISO9001規格要求事項が求めていることの実現状況を、文書類や記録などをしっかりと観察し、客観的証拠を集めていきます。

現場監査では高い観察力が求められます。内部監査員は、自身が関わる業務と異なる部署の監査を実施することになるため、ぶっつけ本番では被監査部署の業務内容を把握できず効果的にエビデンスを収集することができません。よって内部監査員は、現場監査前に被監査部署の関わる文書関係を読み込み、どの部分が規格要求事項に基づく重要箇所であるか、そして重要箇所に紐づく記録はどのようなものがあるかを把握したうえで現場監査に臨みます。内部監査実施前に、被監査部署責任者に相談し現場を訪れ、全体の業務の流れを事前に把握しておくと、現場監査をよりスムーズに進めることができます。

このように、客観的証拠を得るために内部監査員にはしっかりと観察することが求められます。どのようなポイントを強化すれば観察力を上げられるか、品質管理責任者やISO事務局メンバーとしっかりと事前打ち合わせを行い、強化ポイントを意識しながら内部監査に臨みましょう。

質問すること

内部監査員への質問

内部監査員は、自分が望む情報を得るための質問を事前に考え、内部監査時に期待する回答が得られるようにしっかりと準備しなければなりません。被監査部署が準備した情報を一方的に聞く状態では、効果的な内部監査とはいえません。

内部監査員と被監査部署双方にとって有効な内部監査にするためには、事前準備段階で質問事項を整理しておく必要があります。内部監査は一般的に主任監査員1名と内部監査員1~2名のチームで実施することが多いことから、内部監査員チームで事前に打ち合わせし、質問すべき重要ポイントを洗い出しチェックリストで整理しておくと、内部監査当日はスムーズに進めることができます。

内部監査実施時のチェックリスト作成については、関連記事として【ISO9001に基づく内部監査実施においてなぜチェックリストが必要か?】で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

なお内部監査時に質問するときは、ISO9001規格要求事項の言葉を使ったり、会社では聞き慣れない言葉を多数入れ込まないように注意しなければなりません。専門用語を多用すると、被監査部署が理解するのに時間がかかってしまい監査時間が無駄になってしまいますので、ISO9001規格要求事項を会社ルールに当てはめるとどのような表現になるのかを事前準備段階で整理し、チェックリストには分かりやすい質問内容を記載しておくよう心がけましょう。

検証すること

内部監査員は、被監査部署の回答と実業務が一致しているかを検証しなければなりません。

内部監査員の質問に対し被監査者が回答した内容と、文書や記録内容そして実業務との整合が取れるかを確認する必要があります。品質マネジメントシステム構築段階では、文書維持管理を意識しながら実行しているため、比較的業務内容との整合が取れています。しかし、品質マネジメントシステム運用が進んでくると、業務改善により作業方法が変わっていても文書類の改訂は後回しにされることがあります。経験豊富な担当者にとっては手順書なしでも問題なく作業ができますが、新入社員や請負社員などは手順書をもとに作業するので、文書を最新状態にして維持しておかなければ、間違った作業を行い不適合を発生させる可能性があります。内部監査員は、このような不整合箇所を見つけ出し是正処置を実行させることで、正しい手順を記載した文書に改訂させることが大切です。

内部監査員が検証すべきもう一つの重要ポイントは、記録類が決められた保管状態を維持できているかをチェックすることにあります。業務実績の記録類は、会社を守るための大切な武器になります。クレーム発生時やPL法逸脱可能性が疑われる場合に、正当性を示せるのは正しく記載された記録のみです。抜け漏れがある記録はその役割を果たせませんので、必須箇所は確実に記録しておく必要があります。品質マネジメントシステム運用段階になると、日々の作業のなかで記録することが惰性になり抜け漏れが増えてきます。内部監査員は、記録内に抜け漏れがないか、記録内容に不整合がないかなどをチェックした結果、複数の記録で不備があれば不適合とし、是正指示を行うようにしましょう。

内部監査時には、実際に行っている業務が文書に記載された手順にそっているか、また決められた記録内に確実に記録され、決めた場所に保管され閲覧可能な状態になっているかを検証し、問題が見つかった箇所は指摘し、是正させる強い意志をもって実施するようにしましょう。

記録すること

内部監査員は、質問に対し被監査者から得た回答を記録しておかなければなりません。内部監査時には多くの項目の質疑応答を行うことになるため、それらを全て記憶にとどめておくことは不可能です。質疑応答により得た情報をしっかりと記録しておくことにより、監査後の振り返りを正確に行うことができます。また、内部監査後に提出する内部監査報告書は、その監査記録をもとに作成する必要があります。

主任監査員は質問に集中し、被監査部署から正確な情報を引き出す役目をになっているので、他の監査員が記録していくと抜け漏れがなくなります。監査の結果を記録するのに役立つのが、内部監査前に準備したチェックリストになります。チェックリスト内の質問した項目部分に、被監査部署の回答内容を記載し、内部監査後に振り返りをできるようにしておきましょう。

不適合内容の確認

内部監査員は、検出した不適合に対して検出したその場で、被監査部署の確認を得る必要があります。あるいは、その場で確認できない場合には、クロージングミーティングのときに不適合内容に対して認識違いがないかを確認しなければなりません。

内部監査の場では、被監査部署が緊張していることが多いので、質問に対して実業務とずれた回答をしている可能性があります。不適合に対してはしっかりと是正する必要があるので、実際には出来ているのに不適合となると是正しようがありません。

よって、不適合に対しては内部監査員と被監査部署双方が納得し合意できるように、不適合検出後には再確認するようにしましょう。

内部監査エビデンス収集の手順のイメージを図1に示します。

図1.内部監査エビデンス収集の手順
図1.内部監査エビデンス収集の手順

まとめ

この記事では、ISO9001内部監査員にとって必要となる監査技法の重要ポイントを解説しました。

内部監査は、品質マネジメントシステムを効果的に改善するための有効なツールです。

内部監査員の前向きな活動意識があれば組織の大きな改善に繋がりますので、今回示した重要ポイントを理解したうえで内部監査を実践してみてください。

なお、今回は内部監査を中心に解説していますが、内部監査と外部監査の違いを知りたい方は、関連記事【ISO監査とは?内部監査と外部監査の違い、メリットとデメリットは?】を参考にしてください。

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この記事を書いたライター
小一郎秀長

ISO9001(1994年度版)導入に続きISO14001(1996年度版)導入において、ISO事務局委員長として会社の認証取得に貢献。その後のISO改定時には、後輩育成のためにISO事務局へのアドバイザーとしてサポート。
現在はISO9001/IATF16949の維持管理に従事中。
戦国時代をこよなく愛し、尊敬するのは豊臣秀長。連休は城址廻りでリフレッシュ。

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