ISO9001認証取得の目的とは?取得後のメリットも含めて解説

ISO9001認証取得の目的とは?取得後のメリットも含めて解説 ISO9001

現在、ISO9001認証取得し維持継続している企業は増え続けています。一方で、ISO9001認証取得したものの、導入のメリットが感じられずに認証を返上する会社もあります。

ISO9001認証取得後、規格要求事項を理解し仕組みに上手に反映できる企業もあれば、認証取得後に業務がやらされ感での実施となり管理基準がぶれて実運用が空回りしている企業もあります。その差はどこから生まれるのでしょうか。

多くの企業では、ISO9001認証取得は、顧客や親会社からの指示により活動に踏み込まざるを得ない状況にあったかと思います。ISO9001認証取得活動理由が外圧によるものであったものの、その後の運用に差が出てくるのは、ISO9001認証取得する目的を改めて見つめ直しメリットを把握したうえで運用できているかどうかにあるのではないのでしょうか。

そこで、この記事では改めてISO9001認証目的を理解し、その目的をもって活動すれば得られるメリットについて、以下を概要としてまとめました。

  • ISO9001認証取得の目的とは?
  • ISO9001認証取得によるメリットを考える

ISO9001認証取得する目的に改めて立ち返り、ISO9001を組織活動に定着させたいと感じている経営層やISO事務局の方はぜひこの記事を参考にしてください。

ISO9001認証取得の目的とは?

Goals

ISO9000ファミリー規格は、国際標準化機構(International Organization for Standardization)に設置された技術専門委員会TC176が制定を担当している品質マネジメントシステム(QMS)の規格になります。TC176には3種類の分科委員会があり、それぞれ作業グループが設置され、個別の規格の作成及び改訂にあたっています。TC176は世界各国が参加する多数の会員から構成され、日本からはISO/TC176国内対策委員会が参画しています。ISO9001を制定している組織構成及び制度はこのような形で運用されています。

ISO9001規格は、このように世界中の主要会員が参画し議論され精査される形でルールが制定され発行された品質マネジメントシステムの規格であることから、ISO9001規格を組織の活動にしっかりと取り入れ運用できれば、世界中の企業に認められる品質マネジメントシステムを構築できるはずです。

それでは、組織がISO9001に取り組むための目的がどのように考えられているのか、これから見ていきましょう。

品質マネジメントシステム構築

組織が、顧客の要求する製品及びサービスを提供するためには、顧客が認める品質マネジメントシステム体制で実施する必要があります。もし組織が、過去からの文化風習を踏襲した組織体制で品質管理活動を実施するとかたよった管理で運用される懸念があり、その状態では顧客の信頼を得ることができません。それに対し、ISO9001規格要求事項にそって品質マネジメントシステム体制が構築されていると、世界が認める国際規格に準じて構築され認証登録機関が審査し認定していることから、顧客の信頼を獲得することができます。

このように、ISO9001規格は顧客が満足するような品質マネジメントシステムを構築できるように考慮されていることから、規格要求事項をしっかりと理解し会社の品質活動に取り込めば、顧客要求に応えられる製品及びサービスを安定的に提供できるようになります。

順守意識の教育

ISO9001規格では、トップマネジメントを含む組織の従業員への教育の徹底を要求しています。目的としては、組織の構成員の知識及び経験が不足していると顧客が求める製品及びサービスを提供できない可能性があることから、従業員に必要な知識及び経験を教育ツールで実施することにより、結果的に製品及びサービスの質が上がるようにするためです。教育に関する規格要求事項では、組織が順守すべき顧客要求事項及び法令・規制要求事項の教育実施を求めているので、その教育を実施していくことで、従業員の順守意識が向上していきます。

文書及び記録の整備

ISO9001規格では、組織の品質マネジメントシステムが有効に機能するために必要となる文書及び記録が明確に示されています。ISO9001規格要求事項に従い文書と記録を整備し保管管理体制を構築したうえで、顧客に対しそれらを提示することで、品質マネジメントシステムが有効に機能していることを証明することができ、顧客に安心感を与えることができます。

また、万が一PL(製造物責任)法に関係する問題が生じた場合には、製品を製作する作業の詳細説明と対象製品履歴の詳細記録を求められるので、提示要求や質問に対しISO9001規格にそって構築した文書と記録を使用し対応するとひじょうに有効です。

技術及び技能の蓄積・伝承

組織の業務は、従業員のもつ技術そして技能により業務が実施されていますが、日本では特に担当者が個人的に技術及び技能を有していることが多く、その担当者が配置転換や退職すると伝承されずに業務に支障をきたすことがあります。

ISO9001では、製品及びサービスを適正に提供できるようにするために、必要な業務手順の文書化と担当者に対して教育と訓練を実施することを求めています。定期的に文書を見直し、文書内容をもとに基礎となる教育と訓練を継続していくことで、組織に必要な技術及び技能が蓄積され伝承していくことになります。

顧客満足の向上

ISO9001規格の目的は、顧客要求事項や適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して、顧客満足の向上を目指すことにあります。

なお、顧客要求事項や法令・規制要求事項は非常に多く存在することから一つ一つを組織メンバーに重要性を周知させるのはひじょうにたいへんな業務となります。そこで、ISO9001規格をもとに構築した品質マネジメントシステム活動のなかに顧客要求事項及び法令・規制要求事項を認識する仕組みを取り込むと、各要求事項の周知が容易になり、組織メンバーが要求事項への適合性を確認することで、顧客が満足する製品及びサービスが提供できるようになります。製品及びサービスを安定的に提供できれば、顧客満足は必然的に向上していきます。

ISO9001認証取得の目的の全体像を図1に示しますので、ぜひ参考にしてください。

図1.ISO9001認証取得の目的
図1.ISO9001認証取得の目的

ISO9001認証取得によるメリットを考える

Set Goals Get Results

ISO9001認証を取得し、品質マネジメントシステムを構築した以降はしっかりと運用する必要があります。そうしなければ、世界で認められる国際規格を会社の経営体制に取り込んだ意味がなくなりますし、認証維持のための費用が無駄になります。

ISO9001規格を経営管理のなかに取り入れると多くのメリットがあります。そのメリットを生かすために品質マネジメントシステム活動を行っていけば、必ず継続的改善に繋がります。

それでは、ISO9001認証取得することによるメリットとしてどのようなポイントがあるのかを見ていきましょう。

リスクと機会の整理

ISO9001規格要求事項のなかで、会社の抱えるリスク及び機会(チャンス)を洗い出し、その項目に対し活動する計画をもつように要求されています。

今の時代、世の中の変革スピードがひじょうに早く便利なものが次々と開発そして発売されるため、同じ商品が長期で続くことがなくなってきました。よって、各企業も今までの仕事を継続して何年も受注できる状況になく、そのような中で生き抜くためには開発力や競争力の向上、そしてその力を維持するための会社の体力が求められます。会社の現状の体力からみてどの方面に力を注ぎこみ、そしてどの顧客に売り込み受注を獲得するかの戦略をしっかりと練る必要があり、そのためには会社の抱えるリスクと機会をしっかりと分析し、その結果から会社の向かうべき方針を決定しなければなりません。

ISO9001規格では、生きている時代背景のなかで会社の抱えるリスクと機会をしっかりと洗い出し分析し、改善活動として取り組む項目の整理を求めていることから、企業戦略を練るための活動が規格要求事項に盛り込まれています。よって、規格要求事項にそって活動することにより、リスクと機会を確実に分析し、目的そして目標に繋がる仕組みができることになります。

リスク及び機会については、関連記事としてISO9001活動でのリスクと機会への取り組みとは?ポイントを解説でまとめていますので、そちらを参考にしてください。

目的及び目標の明確化

ISO9001規格では、組織及びその状況の理解として外部や内部の課題、そして利害関係者(顧客や外部提供者など)のニーズや期待を明確にし、その中から会社として解決すべき重点課題を整理したうえで、改善活動として実施すべき目的そして目標を掲げることを求めています。

先に述べたリスクと機会を把握するためには、会社の抱える外部や内部の課題、また利害関係者のニーズと期待を整理する必要があります。その整理した情報をもとにリスクと機会の観点から分析し、その年に活動必須と判断する項目を絞り込みます。絞り込んだ項目に対し、目的及び目標を設定し事業計画を策定していくことになります。ISO9001規格を適用することにより、組織にとって有益となる項目に対して目的及び目標を設定する仕組みを構築できます。

ISO9001規格に基づく目標の設定については、関連記事としてISO規格要求で求められる目標及びその管理について具体事例を交えて解説にまとめていますので、そちらを参考にしてください。

情報共有化

ISO9001規格では、外部及び内部のコミュニケーションを重要視しています。コミュニケーションの目的としては、品質マネジメントシステムの有効性に関しての情報交換としています。

ISO9001規格要求事項の中で、外部及び内部コミュニケーションで実施すべき項目を規定していますので、規格要求に従い構築することで、組織メンバーに対して改善に必要な情報が正確に伝達されるようになります。

なお、環境マネジメントシステム(EMS)構築のISO14001と同時に運用する企業も多くあり、双方での情報共有はマネジメントシステムを効果的に運用するためには必須ですので、コミュニケーションの仕組みをしっかりと構築しておけば、関係者に対して品質及び環境に関する情報共有の漏れを防止することができます。

文書化した情報の整理

業務を行うには、その業務に関わる文書や記録などの文書化した情報が必要となりますが、担当者が各々で各資料を作成し管理する機会が多く、特に電子化が進んだ現在、これらの情報が個人所有となっていることがあります。

ISO9001規格では、組織が必要とする文書や記録の管理として、作成された書類内容を評価精査し集中管理することを求めています。よって、文書や記録が個人所有となることを防ぐことができ、これにより情報漏洩のリスクを回避することができます。

また、品質マネジメントシステムが有効に機能するために必要となる文書や記録が規格要求事項で明確になっているので、規格要求に従い関係文書及び記録を整理し管理しておくと、品質マネジメントシステムが効果的に運用されるようになっていきます。

ISO9001 品質マネジメントシステム

内部監査による品質マネジメントシステム維持

ISO9001規格では、定期的な内部監査実施を要求しています。

品質マネジメントシステムが、ISO9001規格要求事項及び顧客要求事項や法令・規制要求事項を満たしているかを定期的な内部監査で確認することにより、維持管理体制を強化することができます。

品質マネジメントシステムの構築が落ち着いてくると、活動自体が慢性化してきて、意識低下につながってきます。内部監査を実施することにより、被監査部署は自部署の品質マネジメントシステム活動に問題がないかをチェックする良い機会になり、改善を支援(サポート)することにもつながります。

内部監査の実施については、関連記事のISO9001内部監査の進め方-現場の内部監査員から見た重要ポイントで解説していますので、ぜひ参考にしてください。

品質マネジメントシステムの維持改善

ISO9001規格は、計画、運用、チェックそして改善のいわゆるPDCA運用で構成されていることから、規格要求事項を組織の経営管理に取り入れることで、期初に策定した目標及び計画が最終的にに達成し改善につながったかをチェックできる品質マネジメントシステム体制が構築されます。それを継続的に運用していくことで、品質マネジメントシステムが維持改善され、顧客の要求はじめ各種要求事項に応えられる企業体質になっていきます。

ISO9001認証取得のメリットの全体像を図2に示しますので、ぜひ参考にしてください。

図2.ISO9001認証取得のメリット
図2.ISO9001認証取得のメリット

まとめ

この記事では、ISO9001認証目的を理解し、その目的をもって活動すれば得られるメリットを解説してきました。

ISO9001規格はけっして多くの負荷をかける要求にはなっておらず、製品及びサービスを適切に提供するための仕組み構築として最低限必要となる項目を指定しているだけなので、しっかりと理解し取り組めば、企業にとってひじょうに有効な経営ツールとなります。

品質マネジメントシステムが有効に機能すれば、確実に顧客満足を得ることができますので、ISO9001規格を活用しながら継続的に改善を続け、会社として健全な経営体制を維持してください。

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この記事を書いたライター
小一郎秀長

ISO9001(1994年度版)導入に続きISO14001(1996年度版)導入において、ISO事務局委員長として会社の認証取得に貢献。その後のISO改定時には、後輩育成のためにISO事務局へのアドバイザーとしてサポート。
現在はISO9001/IATF16949の維持管理に従事中。
戦国時代をこよなく愛し、尊敬するのは豊臣秀長。連休は城址廻りでリフレッシュ。

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