ISO9001の設計開発における検証と妥当性確認の違いは?ポイントをわかりやすく解説

ISO9001の設計開発における検証と妥当性確認の違いは?ポイントをわかりやすく解説 ISO9001

設計開発プロセスのなかで開発試作品や量産試作品を評価する時などに、検証あるいは妥当性確認という用語が用いられます。検証と妥当性確認、この二つの違いは何か、理解できていない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、検証とは何か、妥当性確認とは何か、検証と妥当性確認の違いは何か、ということについての理解を深めるために、以下の項目を中心にしてポイントを解りやすく解説します。

  • 検証と妥当性確認の定義
  • 検証と妥当性確認についてのISO9001の規定
  • 検証と妥当性確認の事例
  • ISO認証審査員の検証と妥当性確認に関する視点
  • 検証と妥当性確認の違いについて

設計開発プロセスの評価で検証と妥当性確認の違いに悩んでいる人や、確実に評価する方法を求めている人などに参考にしていただきたい内容をまとめています。

検証と妥当性確認の定義は

ソフトウェア開発

検証や妥当性確認は設計開発プロセスでの評価に用いられる用語ですが、ISOなどの規格ではどのように定義されているのでしょうか。品質マネジメントシステムの用語を中心に規定しているISO9000や、設計検証と妥当性確認を設計開発プロセスで重要視しているソフトウェアのシステム開発分野などで、どのように定義されているのかを見てみましょう。

ISO9000での定義

ISO9000(品質マネジメントシステム-基本及び用語)では品質マネジメントシステムで用いられるさまざまな用語の定義をしています。ISO9000では検証と妥当性確認が次のように定義されています。

3.8.12 検証(verification)

客観的証拠(3.8.3)を提示することによって,規定要求事項(3.6.4)が満たされていることを確認すること。

3.8.13 妥当性確認(validation)

客観的証拠(3.8.3)を提示することによって,特定の意図された用途又は適用に関する要求事項(3.6.4)が満たされていることを確認すること。

引用元:ISO9000(JIS Q9000:2015)

つまり、客観的証拠を示して規定要求事項が満たされていることを確認することが検証で、特定の意図された用途や各種の適用についての要求事項が満たされていることを確認することが妥当性確認としています。検証の対象となる規定要求事項は、要求仕様書などの中で明示されている要求事項のことを意味しています。これに対し、妥当性確認の対象となる特定の意図された用途などは、顧客が本来要求している用途や使い勝手などで、仕様書などには表れにくいことも含まれています。解りやすく言うと、顧客がこんな製品が欲しいと思ったことが実現できているかを確認するのが妥当性確認と言えるでしょう。

その他の規格などでの定義

ISOの他にも検証と妥当性確認について定義している規格があります。ソフトウェアのシステム開発分野では検証と妥当性確認を重要視していて、ソフトウェア工学に関する規格を50以上制定しているIEEE(Institute of Electric and Electronic Engineers:全米電気電子技術者協会)の規格のなかに、ソフトウェアの検証と妥当性確認を規定したIEEE Std 1012(System and Software Verification and Validation)があります。用語集のIEEE Std 610.12では、検証と妥当性確認を次のように定義しています。

Verification(検証):それぞれの開発工程の成果物がその工程の開始時に与えられた条件を満たしているかどうかを決定するためにシステム/コンポーネントを評価するプロセス

Validation(妥当性確認):開発プロセスの途中または最後に、利用者のニーズや意図された利用法などの要求事項を満たしているかを決定するために、システム/コンポーネントを評価するプロセス

引用元:IEEE Std 610.12:ITmediaエンタープライズ「情報システム用語辞典」より

妥当性確認についてはISOの定義とほぼ同じですが、検証については各開発工程で行なうという実施時期が明示されています。

また、ソフトウェア工学で著名なBarry W. Boehm氏は論文「Guidelines for Verifying and Validating Software Requirements and Design Specifications」のなかで検証と妥当性確認を端的に次のように表現しています。すなわち、検証はAre we building the product right?=正しく成果物を開発しているか?妥当性確認はAre we building the right product?=正しい成果物を開発しているか?を確認するプロセスとしています。このことは、よく例えに挙げられる次の定義につながるものがあります。

「取扱説明書のレビューのなかで、間違ったことが書いてないかを確認するのが検証で、その利用者が理解でき正しく操作できるように書いてあるかを確認するのが妥当性確認である。」

ウォーターフォール型システム開発

ISO9001での検証と妥当性確認についての規定

検証と妥当性確認の定義で、この二つの違いが多少は理解できたかと思います。次にISO9001では、検証と妥当性確認についてどのような規定があるのかを見てみましょう。設計・開発の計画段階とプロセスの管理上の規定、及び外部から提供される製品などを管理するうえでの規定があります。

設計・開発の計画と管理

ISO9001では、設計・開発の計画を検討する時には10項目を考慮しなければならないとし、そのなかの1項目(c項)に検証と妥当性確認が含まれています。

8.3.2 設計・開発の計画

設計・開発の段階及び管理を決定するに当たって、組織は、次の事項を考慮しなければならない。

c) 要求される、設計・開発の検証及び妥当性確認活動

引用元:ISO9001(JIS Q9001:2015 8.3.2)抜粋

つまり、設計・開発の計画を立案する時にあらかじめ検証と妥当性確認の計画を組込んでおかなければならない、ということです。実施する時期や確認対象などを定めておき、実際に検証や妥当性確認を実施する時には、確認項目や評価基準などを定めた個別の計画書が別途必要になるでしょう。

また、8.3.4項の設計・開発のプロセス管理では6つの事項を確実しなければならないとしていて、そのなかの4項目(c~f項)が検証、妥当性確認に関するものになっています。

8.3.4 設計・開発の管理

組織は,次の事項を確実にするために,設計・開発プロセスを管理しなければならない。

c) 設計・開発からのアウトプットが,インプットの要求事項を満たすことを確実にするために,検証活動を行う。 

d) 結果として得られる製品及びサービスが,指定された用途又は意図された用途に応じた要求事項を満たすことを確実にするために,妥当性確認活動を行う。 

e) レビュー,又は検証及び妥当性確認の活動中に明確になった問題に対して必要な処置をとる。  

f) これらの活動についての文書化した情報を保持する。 

注記: 設計・開発のレビュー,検証及び妥当性確認は,異なる目的をもつ。これらは,組織の製品及びサービスに応じた適切な形で,個別に又は組み合わせて行うことができる。

引用元:ISO9001(JIS Q9001:2015 8.3.4)抜粋

c)で検証、d) で妥当性確認の活動が求められています。また、e)で問題点に対する処置、f) では記録の保持が規定されています。なお、注記では検証と妥当性確認は異なる目的をもつが、組み合わせて行っても良いとしています。ソフトウェアや医療機器の開発では検証と妥当性確認を合わせて、V&V(Verification & Validation)活動とする手法が定着しています。

外部から提供される製品やサービス

ISO9001では、外部から提供されるプロセスや製品及びサービスを管理するうえで検証などの活動を求めています。8.4.2項に外部から提供される製品などを管理するために4項目が規定されていますが、そのなかの1項目(d項)に検証などの活動が含まれています。

8.4.2 管理の方式及び程度

組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客に一貫して適合した製品及びサービスを引き渡す組織の能力に悪影響を及ぼさないことを確実にしなければならない。

組織は,次の事項を行わなければならない。

d) 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが要求事項を満たすことを確実にするために必要な検証又はその他の活動を明確にする。

引用元:ISO9001(JIS Q9001:2015 8.4.2)抜粋

検証又はその他の活動のなかに、妥当性確認も含まれていると考えて良いでしょう。

設計検証を具体的に

視点

設計検証とは何かについて、より具体的に事例も含めて見てみましょう。また、ISOの認証審査員が設計検証に関わる審査の際に留意している視点などについても紹介しましょう。

設計検証の事例

設計検証は客観的証拠を示して規定要求事項が満たされているかどうかで合否を判定します。この客観的証拠とは何か、ISO9000の定義では次の3つを挙げています。

  • 検査の結果
  • 別法による計算の実施
  • 文書のレビューのような他の形の確定の結果

具体的には次のような事例が設計検証として挙げられます。

  • 試作部材や部品の各種評価試験
  • 試作製品の各種機能・性能試験
  • モデル模型による評価
  • 構造強度計算や耐震性計算などの解析計算
  • 試作製品の動作や機能などのコンピューターシミュレーション

なお、評価試験などは実際の製品の使用環境のもとで行なわなければなりません。

ISO認証審査員の視点

ISOの国際認定機関フォーラム(IAF)のISO9001審査実務グループが、設計検証の審査を行なう際の指針を次のようにまとめています。

•求められている検証は計画に載っていて、検証作業は、設計及び開発プロセスにおいて、適宜実施されていること。

•完成した設計及び開発が、容認できるものであり、結果が、当初の要求事項に合致していること、及びそれに追跡可能であること。

•完成した設計及び開発は、適切な出来事の順序、インプット、アウトプット、インターフェース、論理フロー、時間の配分などを実施した結果であること。

•設計又は開発は、安全、セキュリティ及びその他の要求事項及び設計インプットとの適合を提供するものであること。

•検証結果及び更なるアクションが取られた場合はそのアクションが記録され、アクションが完了した際にそれを確認されていることを実証するために使える証拠があること。

引用元:ISO国際認定機関フォーラムISO9001審査実務グループ指針

さらに、この検証された設計・開発のアウトプットのみが、次の設計・開発のステップに移されていることを審査員は確認してまとめとします。

設計・開発の妥当性確認を具体的に

確認作業

妥当性確認についても具体的に事例を含めて見てみましょう。妥当性確認は設計検証に比べると馴染みのない言葉で解りにくいところがありますが、顧客の要求などが実現でききているかを確認すること、という観点でみると理解が深まるでしょう。

妥当性確認の事例

妥当性確認は客観的証拠を示して特定の意図された用途や適用についての要求事項が満たされているかを確認することです。この客観的証拠の定義は設計検証の場合とほぼ同じです。具体的には次のような事例が妥当性確認として挙げられます。

  • 量産試作機による総合評価試験
  • 顧客でのモニター評価試験
  • 最終試作製品による耐久性試験
  • 設備機械の試運転
  • アプリケーションソフトα版による顧客評価
  • 飲食店などのプレオープン、新作料理の試食会
  • 船舶の進水試験

なお、妥当性確認で評価する製品などは顧客へ提供する製品と同等のもので、実施する時期は顧客への出荷・納入前に完了していることが原則になっています。

ISO認証審査員の視点

設計検証の項で紹介したISO9001審査実務グループが、審査を行なう際の指針を妥当性確認についても以下のようにまとめています。

•妥当性確認が実施されたことを確認するための記録があること。

•妥当性確認が、妥当性確認に関する計画された取決めに従って実施されたこと。

•妥当性確認の結果として、製品が、仕様書の要求事項を満たすことができることを示すこと。

•可能な場合は常に、妥当性確認が、受け渡し、又は実施の前に実施済みであること。

•設計及び開発へのインプットに不適合があれば、それを是正するために必要となった処置及びそのような逸脱の原因の記録が残っていること。

引用元:ISO国際認定機関フォーラムISO9001審査実務グループ指針

妥当性確認の総合計画書や、確認項目ごとに評価基準、評価方法などを規定した個別の妥当性確認計画書、結果としての妥当性確認報告書などを提示することが審査には有効でしょう。

検証と妥当性確認の違いをわかりやすく

社内ミーティング

検証と妥当性確認の違いをわかりやすくするために、一つのアイテムのなかでの両者の違いを見てみましょう。

例えば全自動洗濯機の開発です。この開発プロセスのなかで設計検証は要求仕様に適合しているかを判定することですから、次のようなことを確認することになります。

  • 外形寸法や洗濯槽容量の確認。
  • 水位センサやタイマーの機能・性能確認
  • モードごとの洗濯槽の回転数などの確認

これに対して妥当性確認は顧客が求める用途などを満足する製品になっているかを確認します。全自動洗濯機ならば次のようなことを確認することになるでしょう。

  • 規定最大重量の洗濯物を標準コースで所定時間内に乾燥工程まで仕上がるか。
  • ドライコースではダメージのない仕上がりになっているか。
  • 毛布など大物のコースで乾燥ムラなど無く仕上がっているか。

もう一つ、伝言ゲームを例にとってみましょう。伝言ゲームは、与えられたお題を次々と人伝えをして最後の人にそのお題が伝わったかを競うゲームです。人から人へ伝える時にその内容が合っているか確認するのが検証で、最後の人に伝わった内容が最初のお題と合っているのか確認するのが妥当性確認です。妥当性確認は途中の段階で行なっても良いのですが、最後には必ず行わなければなりません。

まとめ

設計・開発プロセスで検証と妥当性確認は設計・開発対象品を評価するうえで欠かせない活動です。検証は要求仕様が満たされているかを確認する活動で、妥当性確認は意図した用途についての要求事項が満たされているかを確認する活動です。

確実な設計・開発プロセスで新しい製品等を創出するためには、検証と妥当性確認の二つの活動がそろって、適切な評価が行わなければなりません。検証と妥当性確認とでは評価基準や評価方法も異なります。その違いをよく理解して確実な評価をし、素晴らしい新製品などの創出に努めましょう。

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この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

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