ISO9001が規定する設計・開発のレビューについて重要ポイントを徹底解説

ISO9001が規定する設計・開発のレビューについて重要ポイントを徹底解説 ISO9001

設計開発プロセスの大きなマイルストーンの一つがデザインレビュー(設計審査)です。ISO9001で設計・開発のレビューと規定されている活動のことです。ただ、実際には形式的に行なうだけで効果的なデザインレビューができないという話もよく聞かれます。

この記事では、デザインレビューをよく理解し有効なデザインレビューの実施につなげるために、以下の項目を中心にしてデザインレビューの重要ポイントを徹底解説します。

  • デザインレビューとは何か
  • ISO9001でのデザインレビューに関する規定
  • デザインレビューの目的
  • デザインレビューの種類
  • デザインレビューの実施時期と審査事項
  • デザインレビューの効果的な運用方法

設計開発プロセスに関わっている方でデザインレビューの進め方に悩んでいる人や、より効果的なデザインレビューを求めている人などに参考にしていただきたい内容をまとめています。

設計・開発のレビュー、デザインレビューとは

デザインチャート

ISO9001で規定されている設計・開発のレビューは、一般的にはデザインレビュー(Design Review:DR:設計審査)と呼ばれています。主に製造業などで製品開発をする際に、設計・開発プロセスの種々の節目で関連する設計内容を審査することを言います。

デザインレビューの具体的な定義は次のようになります。

「製品開発における設計・開発のプロセスの各段階で、開発計画や仕様書、図面、試作評価結果などの設計アウトプットを、機能、性能、安全性、信頼性、操作性、生産性、コスト、納期などの製品開発目標や顧客要求事項に関する品質特性の見地から、妥当であるかの評価や問題点の抽出を設計部門と関連する部門の参画者で行ない、次の設計・開発のプロセスに移行しても良いかを判断する活動」

簡単に言うと、「設計開発プロセスの段階ごとに、仕様書や図面などの成果物を設計部門以外の人も含めて確認し、次のプロセスに進んで良いかを検討する活動」です。

一般的な製品開発は、企画→基本設計→試作・評価→詳細設計→量産試作・評価→量産といったプロセスを経ます。基本的にはこの各プロセスでデザインレビューを実施しますが、開発製品の特や複雑さなどで省略したり統合したりしてデザインレビューを実施することもあります。

ISO9001の設計・開発のレビューについての規定

ISO9001では次の条項で設計・開発のレビューについて規定しています。

  • 8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
  • 8.3.2 設計・開発の計画
  • 8.3.4 設計・開発の管理
  • 8.3.6 設計・開発の変更

各条項でどのように規定されているのか見てみましょう。

8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー

8.2.3.1に、組織は製品及びサービスを顧客に提供することをコミットメントする前に次のa)からe)の事項を含め、レビューを行わなければならない、としています。

a)顧客が規定した要求事項。これには引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含む。

b)顧客が明示してはいないが、指定された用途又は意図された用途が既知である場合、それらの用途に応じた要求事項

c)組織が規定した要求事項

d)製品及びサービスに適用される法令・規制要求事項

e)以前に提示されたものと異なる、契約又は注文の要求事項

ISO9001:2015 8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項

また、8.2.3.2では、レビューの結果と製品及びサービスに関する新たな要求事項については、文書化した情報を保持しなければならない、つまり記録として残さなければならない、としています。

ここで要求していることは、製品開発において顧客の要求事項や法令などの規制、技術規格などを満たしているかをレビューし、その結果を記録として残しなさいということです。要求事項には製品仕様などに表れる目に見えるものと、使い勝手のような数値では示されないものも含まれます。

8.3.2 設計・開発の計画

8.3.2では、設計・開発の計画を立案するにあたって、a)からj)までの10項目を考慮することとしていて、そのなかのb)にレビューについての要求があります。

b)要求されるプロセス段階。これには適用される設計・開発のレビューを含む。

ISO9001:2015 8.3.2 要求事項

つまり、製品開発の計画立案の時にデザインレビューの実施時期を決めておきなさいということです。

デザインレビューの目的、役割は

デザインレビュー

デザインレビューの定義や、ISO9001での規定を見てきましたが、そもそもデザインレビューは何のために行なうのでしょうか。その目的や役割を見てみましょう。

デザインレビューの大きな目的は、品質とコスト、納期、つまりQCD(Quality、Cost、Delivery)の確保です。製品開発の各プロセスのアウトプットに対して、設計開発者の視点だけでなく、営業や企画、購買、製造、品証などの関係者のさまざまな視点で、コストや納期も含めてレビューします。不具合を防止することはもちろんですが、設計開発者の視点では見落としがちな製造のしやすさとかメンテナンスのしやすさなどを設計に盛り込むことで、品質向上を図る役割もあります。

デザインレビューの役割は、製品開発の次のプロセスに進んで良いかを判断し決定することです。そのプロセスでの要求事項を満たしていない場合は、不具合の問題点を解消して再度デザインレビュー(再DR)を実施することになります。ただ、組織が定めたルールによっては、問題点の解消をその次のデザインレビューまで先送りすることもあります。

デザインレビューの効果として、QCDを満たす製品の確実な創出の他、各部門のメンバーが参画するので、製品開発の進捗状況の把握や共有、意思疎通やコミュニケーションを深める場となることなどが期待できます。

デザインレビューの種類

デザインレビュー(DR)の種類には、開発計画に組込まれているフォーマルデザインレビュー(FDR)と、開発計画にはない非公式のインフォーマルデザインレビュー(IDR)があります。

フォーマルデザインレビュー(FDR)

この記事で説明しているDRは、ほとんどがこのフォーマルデザインレビューです。設計・開発プロセスの各段階で、各部門の専門家が出席し、設計・開発プロセスの内容評価、問題点抽出、対策可否検討、次プロセウへの移行可否などを行なう会議です。

インフォーマルデザインレビュー(IDR)

主に設計部門などのDR主催部門内で行なう非公式のDRです。「ミニDR」、「事前DR」、「技術検討会」などと呼ばれ、必要に応じて少人数の関係者で適宜行われます。設計・開発の進捗に応じて早期に問題点を摘出し、対策を検討するために必要不可欠かつ有効な小集団活動です。

デザインレビューの実施時期と審査事項

企画設計開発のスケジュール

デザインレビュー(DR)は製品開発の企画→基本設計→試作・評価→詳細設計→量産試作・評価→量産といったプロセスの節目で実施されます。代表的なデザインレビューの実施時期と、そのときの主な審査事項を紹介しましょう。

製品企画DR

新しい製品の企画段階で主に商品化が可能かについて、以下のような視点でレビューし、具体的な設計・開発プロセスに進んで良いかを判断します。

  • 要求仕様、コスト、市場投入時期は明確か。
  • 技術的に商品化が可能か。ネック技術は何か。
  • 競合製品はあるか、優位性は何か。
  • 関連法令・規制への対応で問題はないか。
  • 自社開発・生産か外部委託か。
  • 開発日程や要員構成は妥当か。

レビューするために以下のような資料を事前に配布しておくと良いでしょう。

  • 商品企画書
  • 市場調査報告書
  • 要求仕様書
  • 要求品質展開表
  • 競合比較表
  • 開発計画書

製品設計DR

製品設計DRには、企画DRを経た後の基本設計についてのDRと試作評価を経た後の詳細設計についてのDRがあります。それぞれ次のプロセスである試作、あるいは量産試作に移行しても良いかを判断するDRです。開発製品の複雑さなどによって1回のDRで済ませる場合もあります。

製品設計DRでは以下のようなポイントをレビューします。

  • 設計仕様は要求仕様を満たしているか。
  • 社内規格や標準技術規格などを順守しているか。
  • 標準部品を採用しているか。
  • 操作ミスや故障モードを考慮した設計になっているか。
  • 過去の失敗事例(過去トラブル)が反映されているか。

製品設計DRでは次のようなドキュメントを基にレビューします。

  • 設計仕様書(要求仕様と対比したトレース表)
  • 各種設計図面
  • 設計計算書
  • リスク対応設計書類(FT図やFMEA表)

試作評価DR

製品設計DRを経て試作機を製作しその評価試験を実施した後、試作評価DRを開催します。試作評価の結果に問題がないかをレビューし、次のプロセスとなる詳細設計や量産試作に移行しても良いかを判断するDRです。

試作評価DRでは次のようなポイントをレビューします。

  • 要求仕様の性能、機能などを満たしているか。
  • 操作性や安全性に問題はないか。
  • 作りにくいところ、修理しにくいところはないか。
  • 目標コストは達成できるか。

試作評価DRでは次のような資料などを基にレビューします。

  • 試作実機
  • 試作問題点管理表
  • 設計検証報告書
  • 妥当性確認報告書

生産移行DR

試作評価DRの後、詳細設計、量産試作・評価を経て生産移行DRを実施します。量産試作の評価に問題がないかをレビューし、量産、つまり生産に移行しても良いかを判断する重要なDRです。

生産移行DRでは、以下のようなポイントをレビューし最終的な判断をします。

  • QCDを含め要求仕様は満たされているか。
  • 生産工程で問題はないか。
  • 検査基準は妥当か。
  • 梱包・輸送上の問題はないか。

生産移行DRでは以下のような資料などを基にレビューします。

  • 量産試作実機
  • QC工程表
  • 検査規格書
  • 妥当性確認報告書

以上が代表的なレビューですが、販売後の顧客の使用状況や満足度、市場や工程での不具合情報などを収集して、設計・開発活動全体をレビュー、総括し、次の設計開発活動への課題を整理することが最後の重要な活動です。

デザインレビューの効果的な運用方法

評価検討

デザインレビュー(DR)は各部門から専門家が参加して実施されますが、忙しくて出席できなかったり、設計者の一方的な説明に終始して活発な議論ができなかったりして、プロセスを進めるためだけの形式的な会議になっているという声をよく聞きます。効果的なDRを運用するにはどうしたらよいのでしょうか。

DRは設計・開発プロセスの各段階で実施されますが、製品の複雑さなどの程度に応じて、省略できる段階を決めておくのが効率的です。また、設計部門を中心に事前DRを開催し、問題となる論点を整理しておくことが重要です。DRで使用する資料の事前配布は必須で、参加者にも疑問点や意見を整理して参加してもらうことが大切なポイントです。

DRで設計部門などの主催者を悩ますのが、参加者のその場の思いつきのような指摘です。参加者にはその場限りの指摘にならないように責任を持たせることも重要です。問題が解決するまでは指摘した人も責任を持つことなどのルール化を工夫する必要もあるでしょう。

DRを効率的に行なうことは大切ですが、貴重な意見が埋もれるようなことがないように、DRの時間が足りない場合は後日、再DRを設定するなどして有意義で効果的なDRを運用するようにしましょう。

まとめ

設計・開発のレビュー、デザインレビュー(DR)は、設計・開発のプロセスの各段階で次のプロセスに進んで良いかを判断する重要な会議です。その段階での製品開発の成果を要求仕様などに照らして評価・審査しますが、ISO9001にもその役割などが規定されています。

DRは関係部門の専門家が参集しての会議なので、効果的に運用するのが難しいこともあります。設計部門などの主催者が、事前DRのような形で詳細な検討を進めておくことが有効なDRを実施するうえで大切なことです。

DRは顧客要求事項を満たす新製品を開発するための設計・開発プロセスにおける重要なマイルストーンです。関係部門の協力も得て、効果的なDRを運用し確実な新製品を創出するよう努力しましょう。

ISOナビでは月額4万円から取得・運用を完全サポートしております。

HACCPやISMS、Pマーク、ISO9001をはじめとする各種規格の新規の認証取得から更新・運用までサポートしております。

業界最安級の月額4万円からご利用いただけ、対応工数のゼロ化を実現します。

まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

hikarutaをフォローする
ISO9001
ISOナビ
トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました