ISOの種類は多種多様…取得すべきISO規格は?

ISOの種類は多種多様…取得すべきISO規格は? ISO全般

「ISOを取得している会社」とかよく聞くけど、うちの会社はどうなんだろうとか、「そもそもISOって何だ?」、「ISOって何か良いことがあるのか?」と疑問に思っている人も多いでしょう。

ISOでは、品質や環境、情報などの分野別に、あるいは食品や医療機器、航空宇宙などの業界別に多くの種類の規格が制定されています。

ここでは、ISOをまだよく知らない人や、所属する会社や業界がどのISO規格の適用になるのかよくわからない人、これからISOを取得しようとしている人などに、ISOのことをわかりやすく説明したいと思います。 まず、マネジメントシステムと言われる会社などの組織のルールや仕組みについて説明し、次にいろいろな分野、業界別に制定されているISOマネジメントシステム規格の種類を紹介します。また、どのISO規格にも共通して求められている要求事項について、つまりISO取得の際に留意すべき事項についても説明します。

ISOの種類は多様、規格の数はなんと5万以上

非常口マーク

ISO( International Organization for Standardization)は国際標準化機構の略称で、スイスのジュネーブに本部があって、世界の160カ国以上が加盟している非営利の団体です。

世界標準の国際規格(ISO規格)を策定し普及させるのが役割で、身近な規格ではネジ(ISOネジ:イソネジ)やフィルムの感度(ISO100など)、非常口などのマークや洗濯のタグ表示、CDの規格、クレジットカードや帳票の大きさなどさまざまなものがあります。

1947年にISOが発足して以来、制定した国際規格の数は5万以上あると言われています。そのなかで特に企業などの組織に深く関係する規格が、マネジメントシステム規格と呼ばれるものです。

ISOマネジメントシステム規格は品質、環境以外にも普及

ISOのマネジメントシステム規格で最も普及しているのが、ISO9001(品質マネジメントシステム)とISO14001(環境マネジメントシステム)の二つでしょう。

ただ最近はこの二つの他にも、情報や食品などの分野や業界のマネジメントシステム規格の認証を取得する企業が増えてきています。効果的なマネジメントシステムの有用性が認められてきたからでしょう。

マネジメントシステムとは

それでは、マネジメントシステムとは何なのでしょう。定義的に言うと、「方針及び目標を定め、その目標を達成するために組織を適切に指揮・管理するための仕組み」のことになります。簡単に言えば、「目標を達成するための組織のルールや仕組み」のことです。

ISOの認証を取得するには、このマネジメントシステムが適切に有効に機能しているかを、ISOの審査登録機関の審査を受けて証明してもらわなければなりません。

ISOマネジメントシステム規格の種類と認証組織数

ビジネスと数のイメージ

ISOの認証を審査する審査登録機関は日本に50社以上ありますが、それらの機関を認定する機関、言わば審査登録機関の元締めとなる組織が国ごとに定められていて、日本では日本適合性認定協会(JAB)がその任にあたっています。

JABが2019年3月時点でまとめた日本のISOマネジメントシステム規格の認証組織数を一覧にして下表に示します(マネジメントシステム認証組織件数:2019年3月現在)。 マネジメントシステム規格は11種類、品質や環境が圧倒的に多く、情報、食品が続いています。いろいろな分野、業界にわたってISO規格が制定されていることがわかります。

マネジメントシステム種類ISO規格番号認証組織数
品質(QMS ISO9001 43,324  
環境(EMS ISO14001 22,574  
情報セキュリティ(ISMS ISO27001 6,605  
食品安全(FSMS ISO22000 1,375  
医療機器(MD ISO13485 1,064  
航空宇宙(AS ISO9100 771  
労働安全衛生(OHSMS ISO45001 275  
ITサービス(ITSMS ISO20000-1 206  
道路交通安全(RTSMS ISO39001 172  
アセット(AMS ISO55001 45  
エネルギー(EnMS ISO50001 34  
ISOマネジメントシステム規格の種類と認証組織数(JABより引用~2019年3月時点)

各規格の特徴と対象業界

各分野や業界に制定されているISOマネジメントシステム規格を個別に紹介しましょう。

うちの会社にはどんなISOが当てはまるのだろうとか、なにか役にたつISOはないだろうかなどと探している人は、ぜひ参考にしてみてください。各規格の特徴の他、取得するメリットや主に対象となる分野や業界も紹介します。

品質(QMS) ISO9001

製造業工場

顧客満足の向上に重点を置いて、品質の良い製品やサービスを提供するための管理の仕組みを規定した規格です。継続的改善、PDCAを繰り返すことによって目標達成にアプローチするシステムが根幹になっています。

【取得するメリット】

  • 製品、サービスなどの品質向上と、それに伴う顧客満足度の向上。
  • ISO取得を取引要件とする顧客などへの対応が可能、ビジネスの安定、拡大。
  • 社会的な信用、信頼性の向上。

【対象となる分野、業界】

  • 製造業やサービス業以外にもあらゆる業界、あらゆる規模の組織が対象。
  • 業務改善を実現したい組織や目標必達のための仕組みを構築したい組織。

環境(EMS) ISO14001

大規模プラント

組織の活動や製品、サービスなどの環境負荷を低減するなど、「環境パフォーマンスの改善」を継続的に運用する仕組みを規定した規格です。環境負荷はエネルギーや廃棄物などだけでなく、人のあらゆる活動を環境側面としてとらえることが大切です。

【取得するメリット】

  • 材料、エネルギーなどの削減によるコストの改善。
  • 環境に関する法規制対応の明確化。
  • 取引先などの環境方針などへの対応や地域住民などからの信頼性向上。

【対象となる分野、業界】

  • グリーン調達などを推進する自治体や取引先の要求に対応したい組織。
  • 環境負荷によるコストを削減したい組織。

情報セキュリティ(ISMS) ISO27001

IT企業のオフィス

情報漏洩を防ぐことを第一の目的として、情報の機密性や完全性、可用性などを有効に、かつその運用を改善していく仕組みを規定した規格です。情報に高い機密レベルを求める組織やその取引先には必須の規格と言えるでしょう。

【取得するメリット】

  • 顧客、取引先からの信頼性の向上。
  • コンプライアンス順守の徹底。

【対象となる分野、業界】

  • 官公庁や高い機密レベルを求める企業との案件取引のある組織。
  • 大手メーカーなどのサプライチェーンに位置する組織。

食品安全(FSMS) ISO22000

食品製造ライン

食品の安全性を確保し、消費者に安全な食品を届けるための仕組みについて規定した規格です。食品の材料やその肥料、製造設備や流通など食卓に届くまでのすべてのプロセスを対象にしていて、食品の安全システム全般のマネジメントシステムを規定しています。

【取得するメリット】

  • 食品安全についてのリスク管理の構築が可能。
  • ブランド力の強化とビジネスチャンスの拡大。

【対象となる分野、業界】

食品原材料の生産、加工、生産用機器メーカー、添加剤や洗浄剤、包装材料など、食品安全に関わるすべての組織。

医療機器(MD) ISO13485

医療機器

品質のISO9001に医療機器特有のリスクマネジメント、滅菌、汚染防止などの衛生面での厳格な要求事項が追加された規格です。文書化や記録管理などの要求が多いのが特徴です。

【取得するメリット】

  • 医療機器特有の法規制や要求事項に対応できる体制の構築が可能。
  • ISO取得を取引要件とする顧客などへの対応が可能、ビジネスチャンスの拡大。

【対象となる分野、業界】

医療機器の設計や製造、据付、付帯サービスなど医療機器産業に関連する組織。

航空宇宙(AS) ISO9100

航空宇宙業界(スペースシャトルと飛行機)

品質のISO9001に航空宇宙業界特有のリスク管理やクリティカル管理、プロジェクト管理、形態管理などの要求事項が追加された規格です。安全性や機能性の確保が重点要求事項になります。

【取得するメリット】

  • 国際的な航空宇宙産業のデータベースに登録され、航空宇宙産業市場への参入が可能。
  • 関連企業などステークホルダーの信頼性向上。

【対象となる分野、業界】

航空宇宙産業市場への参入を検討している組織。

労働安全衛生(OHSMS) ISO45001

労働環境

職場の従業員が安全な労働環境のもとで働けるようにすることを目的に制定された規格です。労働衛生災害リスクの低減と将来の発生リスクを回避するために、継続的にマネジメントシステムを改善し続けることを求めています。

【取得するメリット】

  • 良好な職場環境で、従業員の満足度が向上。
  • 取引先や従業員、家族などからの信頼を確保できる。
  • 社会的な信用があがり、採用活動などが有利になる。

【対象となる分野、業界】

分野、業界を問わず、あらゆる職場が対象。

ITサービス(ITSMS) ISO20000-1

ITサービスを提供している組織のサービス品質の維持・向上を目的として制定されたマネジメントシステム規格です。組織が効率的・効果的にITサービスを実施するための活動の枠組みや評価方法などが示されています。

【取得するメリット】

  • ITサービスマネジメントシステムを構築でき、ITサービス品質の向上・維持が可能。
  • ISO取得を取引要件とする顧客などへの対応が可能。

【対象となる分野、業界】

  • ITサービスを提供しているサービスプロバイダ
  • ITサービスを通じて関連ビジネスを展開している組織

道路交通安全(RTSMS) ISO39001

道路交通インフラ

道路交通事故による死亡者や重症者などの削減を目的としたマネジメントシステム規格です。道路交通事故を未然に防止するために、リスクアセスメントなどの評価をもとに計画を策定し目標達成に向けての活動などが規定されています。

【取得するメリット】

  • 死亡・傷害事故などの減少。
  • 損害保険料の削減や労災事故の減少などによるコスト削減。
  • 利用者からの信頼性向上。

【対象となる分野、業界】

  • トラック・バス・タクシーなど乗客・貨物輸送にかかわる組織。
  • スーパー、駐車所管理会社など駐車場を持つ商業施設など。
  • 自動車メーカーなど自動車の設計、製造にかかわる組織。

アセット(AMS) ISO55001

貯水ダムインフラ

アセットは資産を意味しますが、ISO 55001では組織の資産の管理体制の構築、実施、維持・改善のための要求事項などを規定しています。具体的な資産は、エネルギー、水、通信などのインフラ、建物、学校、病院、市役所などのファシリティになります。

【取得するメリット】

  • 資産管理の効率化と高度化。
  • インフラの海外輸出などの促進。

【対象となる分野、業界】

  • 現状は上・下水道や道路分野に限定。
  • 港湾、鉄道、空港などのインフラ全般、ファシリティ分野全般へ今後拡大。

エネルギー(EnMS) ISO50001

パワープラント

ISO50001は、エネルギーの使用と効率を可視化して、業務や組織体質の改革などをとおして、エネルギーパフォーマンスを改善する目的で制定された規格です。具体的には、省エネルギーやエネルギーコスト削減の実現を目指しています。

【取得するメリット】

  • 省エネによるコスト削減、温室効果ガスの排出量削減。
  • 取引要件とする顧客などへの対応達成とビジネスの安定・拡大。

【対象となる分野、業界】

  • 業種に関係なく、エネルギー効率の改善などを目指す全ての組織。
  • エネルギー消費が多い業界、温室効果ガスの法規制に関わる業界の組織。

その他の規格

まだ認証組織数は少ないですが、事業継続のマネジメントシステムISO22301という規格もあります。台風や地震などの災害の際に事業を継続できるようにすることを目的とした規格です。

その他、ISOの規格ではありませんが、以下のような業界規格があり、これらについても審査登録機関が認証審査をしています。

  • 情報通信(TL)  TL9000
  • 労働安全衛生(OHSMS) OHSAS18001
  • 食品安全システム認証(FSSC)  FSSC22000
  • 食品安全(JFS-C)  

ISOマネジメントシステム規格に共通する要求事項

いろいろな種類のISOマネジメント規格を紹介しましたが、これらの規格には共通して要求している事項があります。どのISO規格の取得を目指すにしても、この共通の要求事項を確認しておくことが大切なことです。

ISO規格を制定する時のルールに、ISOの整合性を確保するために共通基本構造という指針に沿って制定することが定められています。そのルールのなかで、マネジメントシステム規格では共通する要求項目として次のような項目が示されています。

  • 規定・手順を明確に定めること。
  • 責任・権限を明確にすること。
  • 目標や管理のポイントが明確にされ、継続的改善が図れる仕組みになっていること。
  • 内部監査によって、内部からのチェックが有効になっていること。
  • マネジメントレビューによって、組織の有効性や改善活動などが担保されていること。
  • 外部監査や苦情処理などによって、外部の声が有効に取り入れられていること。

ISOの規格取得を目指すときには、何を目的として取得するのかを明確にしておくことが重要です。どのような種類のISOにしても上記のようなISOの基本的な要求事項を確認したうえで挑戦するのが良いでしょう。

まとめ

ISOのマネジメントシステム規格は、いろいろな種類の分野、業界に適用できるように制定されています。ISOのことをよく知らない人や、これからISOの認証取得を考えている人などの参考になるように、いろいろなISOマネジメントシステム規格を紹介しました。

どのISO規格にも共通する要求事項があって、ISOマネジメントシステムのベースとなるそれらの基本要件を確実に押さえることがISO認証取得のポイントです。どのISOを取得するのが良いのか、現状確認のうえよく検討して臨みましょう。

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました