ISO14001取得企業:環境マネジメントシステムはあらゆる産業が対象

ISO14001

ISO14001は環境マネジメントシステムの規格です。「環境」というと、「うちの会社にはあまり関係ないな」と思う人も多いのではないでしょうか。「紙、ゴミ、電気」に代表される従来からの環境要素の概念が影響しているのかもしれません。

ISO14001でマネジメントする環境の要素、環境側面がより広い範囲で捉えられていることから、多くの産業の企業がISO14001を認証取得しています。

この記事では、ISO14001をどのような分野の産業でどのくらいの企業数が取得しているのかをテーマとして、以下のようなデータなどをもとに説明します。

  • 品質や環境など、ISO各規格の認証取得企業数
  • ISO14001認証取得企業数の推移
  • 世界各国のISO14001認証取得企業数
  • 産業分野別のISO14001認証取得企業数
  • ISO14001が対象とする環境とは

ISO14001の認証取得を検討されている企業の方や、ISO14001を効果的に運用することに悩んでいる方などに参考にしていただきたい内容です。

ISO14001の認証取得企業数

ISO14001の認証を取得している企業がどのくらいあるかを調べるにはISO本部の公式サイトや、日本での認証審査機関を統括している(財)日本適合性認定協会(JAB)のサイトなどを確認するのが良いでしょう。

ISO本部のサイトでは、ISO各規格の国別、産業別の取得件数を知ることができます。JABのサイトでは、都道府県別、産業別、審査機関別などの取得件数が解ります。ISO本部のデータは年に1回、秋に更新されますが、JABのデータはリアルタイムに更新されています。

ISO14001の認証取得企業数とその推移

表1にISO14001を含むISO各規格の認証件数とその推移を示します。ISO14001は、ISO9001に次いで2番目に多い22,000件取得されています。

マネジメントシステム規格の種類2019.122015.72012.7
QMS品質 ISO900141,93547,82149,713
EMS環境 ISO1400122,00425,15826,157
ISMS情報セキュリティ  ISO270015,2275,0684,324
FSMS食品安全 ISO220001,4831,076733
MD-QMS医療機器 ISO13485982860366
AS-QMS航空宇宙 ISO9100818566432
その他の主な規格4,9733,431
合計76,46683,15781,725
表1. ISOマネジメントシステム規格の認証件数推移~JABのマネジメントシステム認証件数(2019年12月31日)などから集計

ISO14001は1996年に発効され20年以上が経過しています。世界的に環境意識が広く高まった背景もありますが、国内外の多くの企業で取引条件として環境マネジメントシステムの構築を要求する事例も増え、急速にISO14001の認証取得件数は増加しました。

ただ、認証件数は2009年の約40,000件をピークに減少傾向に転じ、現在も微減状態が続いています。品質のISO9001規格も減少傾向にありますが、これは新規に認証取得する企業数よりも途中で登録を解除、放棄する企業数が多いことが要因になっています。

(社)日本能率協会がISOの登録を解除、放棄した理由を2018年にアンケート調査しています(https://www.jma.or.jp/img/pdf-report/etc_2018-iso.pdf)。それによると、「審査費用が高かったから」、「あまりにも手間が掛かったから」、「期待した効果が得られなかったから」、「経営に役立たないと判断したから」などの理由が上位を占めています。

要するに、コストパフォーマンスが悪いということが登録放棄の原因になっています。ISO14001の管理責任者や事務局の方などは、この点に留意して効果的で効率が良く、会社に良い影響を与える環境マネジメントシステムを運用するよう心がけましょう。

世界各国のISO14001認証取得企業数

表2にISO本部が公表しているISO14001の世界各国の認証取得件数のデータ(2018年実績)から上位10カ国を示します。

国名認証取得企業数構成比(%)
中国172,82754.4
日本20,6776.5
イタリア15,3114.8
スペイン12,9834.1
ドイツ7,7812.4
インド5,9521.9
イギリス5,6271.8
韓国4,2001.3
ルーマニア4,0691.3
チェコ共和国3,9251.2
全世界総数317,646100.0
表2.ISO14001認証取得企業数-上位10カ国

日本は中国に次いで第2位に位置していますが、2007年に中国に抜かれるまでは第1位、世界最多の認証件数を誇っていました。全世界、対象約170カ国の認証件数は2017年まで右肩上がりに増加して約36万件に達しましたが、2018年に減少に転じました。今後の傾向が注目されます。

産業分野別のISO14001認証取得企業数

産業分野別のISO14001認証取得企業数を表-3にまとめました。取得企業数はJABが公開しているISOが規定した39分類の業種での数字で、2020年7月時点のデータです。39の業種分類を、総務省告示の日本標準産業分類に区分けしてまとめています。

また、各産業分類の総事業所数は、総務省統計局の2016年のデータで、取得比率をA/Bで示しています。

表3.産業分野別ISO14001認証取得企業数と総事業所数との割合

製造業、建設業の他、サービス業などあらゆる産業に

業種別では、「基礎金属、加工金属製品」、「建設」が認証取得件数のトップを競っています。次に「卸売業、小売業」、「サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」などが上位に入っています。

事業所数との取得比率は全産業で0.45%です。この0.45%より高い業種は「製造業」の他、取得件数は少ないですが「電気・ガス・熱供給・水道業」、「鉱業、採石業」など、環境と深い関わりがある業種が高い比率を示しています。

その他、「学術研究、専門・技術サービス業」や「情報通信業」、「金融業、保険業」、「教育、学習支援業」など、いわゆる環境との関わりはあまりなさそうな業種にも広がっています。ISO14001が対象とする「環境」が「紙、ゴミ、電気」に代表されるようなものから、もっと広く解釈されているからでしょう。

ISO14001が対象とする環境は多様な産業に適用可能

ISO14001の要求事項の一つに「環境目標の達成」があります。環境目標は、改善を必要とする環境側面を特定して目標を設定しますが、それぞれの企業でその目標は異なります。

それぞれの会社などで業務などに関わる環境側面は異なります。製造業などでは直接廃棄物やエネルギーなどに関与する環境側面が多いでしょう。ただ、多くの産業では直接的ではなく間接的にエネルギーなどの環境アイテムに関わりを持っています。

代表的なのは、多くの企業が環境目標として取り上げる「効率的な業務遂行」です。無駄・ムリ・ムラを取り除いて業務の効率を上げることによって、残業や休日出勤などのエネルギー支出を抑えることができます。

このような間接的に環境負荷の低減につながる環境目標は、あらゆる産業で考えられることです。そのような環境目標を設定することは、ISO14001取得のメリットと言われる業務の効率化やコストダウンなどの成果につながることと言えるでしょう。

まとめ

ISO14001は環境マネジメントの規格なので、環境に深く関係する産業向けの規格ととらえがちです。ただ、実際にはほとんどの産業の企業がISO14001の認証を取得しています。

ISO14001の目的は各企業などが環境負荷を低減させるためのシステムを構築し、運用するようになることです。環境負荷の低減を間接的にとらえればほとんどの企業、産業もISO14001を適用する対象範囲に含まれます。

ISO14001取得のメリットは、企業の社会的責任の達成や取引先などからの評価向上など様々な点がありますが、業務の効率化や収益の向上などの経営体質の変革が最も効果的なメリットではないでしょうか。環境とは関係ないと考えている企業の方も、ISO14001の認証取得を考えてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

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