ISO14001活動でのリスクと機会への取り組みとは?ポイントを解説

ISO14001活動でのリスクと機会への取り組みとは? ISO14001

ISO14001では、2004年度版では「リスク及び機会」という言葉はありませんでしたが、2015年度版の改定で「リスク及び機会」が新たに導入されました。これは、ISO9001との統合マネジメントシステムを想定し取り入れられました。

リスク及び機会への取り組みについては6項の計画の中で規定されているので、計画段階で実施する取り組みとなります。しかし、取り組む必要があるリスクと機会をどのように決定し計画に載せるのか、分かりづらいと感じている担当の方もいるのではないでしょうか。

そのような方は、リスクと機会の定義を理解した上で、会社の置かれている立場を客観的に観察し、社内外の動向を見つめ直すと、自ずと会社の抱えるリスクと機会が見えてくるようになります。

この記事では、ISO14001で要求されている下記のリスクと機会について分かりやすくまとめています。

  • リスクと機会とは何か?
  • リスクと機会について規格要求事項が求めていること
  • リスクと機会についての具体例

この記事を読めばリスクと機会を理解でき、どのように計画策定に繋げればよいか明らかになります。リスクと機会を環境マネジメントシステム活動にどのように取り入れるかを悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

リスクと機会とは?

リスクと機会は、潜在的な有害な影響(脅威)と潜在的な有益な影響(機会)と定義されています。それでは、潜在的とはどのようなことをいうのでしょうか?潜在とは、表面に現れず内部に隠れて存在していることをいいます。つまりリスクとは、普段の業務のなかでは出てこないが、何かのきっかけで発現したときに会社や社会にとって大きな悪影響を与えてしまうことと考えると分かりやすいと思います。機会とは、何かのきっかけでよい方向で発現したときに会社や社会にとって有益な状況になることです。

つまりリスクも機会も、発生が確定している事態ではなく、発生しうる可能性がある事態を想定していることから、リスクと機会への取り組みとは、発現したことを想定した上で、事前に対応を考えておくということになります。

ISO14001では、リスクに対しては、万が一想定した事象が発現した場合にでも悪影響を完全に防止あるいは最低限の被害でとどめられるように、機会に対しては想定した事象発現の際にせっかくの好機を逃さないように、しっかりと事前準備を行ったうえで企業活動を進めていきましょうということを規格要求事項で定めた形となっています。

それでは次に、リスクと機会の取り組みについて、規格要求事項の求めていることを見ていきましょう。

リスクと機会について規格要求事項が求めていること

リスク及び機会の取り組みについては、先に述べた通り、6項の計画の中の規格要求事項となっています。この項番では、リスクと機会の発生源は以下について考慮することを要求しています。

会社で洗い出す環境側面,会社の順守義務のほかに、4.1項で検討した外部・内部の課題、そして4.2項で検討した利害関係者のニーズ及び期待が、リスクそして機会の発生源になりうるとしています。洗い出されるリスクと機会は、環境マネジメントシステムの意図した結果達成に影響する可能性が高いので、組織としては、これらに対しどのように取り組むのかの計画を策定することを要求しています。

その計画策定においては、次の3項目の方向性を考慮したうえで、取り組むリスクと機会を決定することを求めています。

  • 環境マネジメントシステムが、その意図した成果を達成できるという確信を与える
  • 外部の環境状態が組織に影響を与える可能性を含め、望ましくない影響を防止または低減する
  • 継続的改善を達成する
リスクと機会図(ISO14001)

会社で決定した著しい環境側面および会社の順守義務に対しては、特にリスクを考慮し活動事項を決めていく必要があります。外部・内部の課題や利害関係者のニーズ及び期待については全て応えられるわけではないので、上記3項目のいずれに目を向けリスクや機会を対応すれば外部・内部の課題をクリアし利害関係者のニーズや期待に応えられるか、しっかり分析し、選定し決定しなければなりません。そのリスクと機会への対応方法を決め、目標設定及び計画策定を行うことが重要となります。

それでは、環境マネジメントシステムに影響しうるリスクと機会にはどのようなものがあるか、具体的に見ていきましょう。

リスクと機会についての具体例

環境マネジメントシステムとしての最大のリスクは、順守すべき環境法令違反です。法令違反は起こそうと思っていなくても、自然災害影響や人的ミスなどで発生する可能性があります。それらのリスクを想定したうえで、法令違反が発生しない活動を行っておく必要があります。法令違反は企業イメージを大きく悪化させるリスク項目であることを認識しておいてください。

著しい環境側面に挙げた項目も大きなリスクを抱えています。会社として環境影響が非常に大きいとして指定した項目が著しい環境側面なので、大なり小なり環境法令に紐づく項目が挙げられています。よって、著しい環境側面管理不足などのリスクも想定し、それを防止する活動計画が必要です。

環境関係については、外部・内部の課題が利害関係者のニーズと期待に繋がる部分が多いので、一緒に考えるとよいでしょう。

外部課題のリスクとしては、環境負荷低減活動として企業が求められるCO2削減取り組み,省エネルギー推進活動,廃棄物削減活動に対し目標未達成となる要素が挙げられます。環境負荷低減活動はいまや企業責任となっており、HPなどで結果報告を行う企業が増えております。環境負荷低減活動への取り組みに対して4M(設備,材料,方法,人)の資源の必要性をしっかりと把握し、資源投入を前向きに検討しながら未達成となるリスクに備えておくことが大切です。

近年は地震や豪雨,台風などによる自然災害が増えております。そのような自然災害が生じた際でも環境負荷物質などを流出させない仕組み作りの計画は必要となりますので、自然災害のリスクは十分に考慮し対応を検討する必要があります。地球規模で起きている環境汚染,気候変動,資源枯渇などに関わるリスクも、毎年の計画で十分に考慮しておかなければなりません。

会社としては、地域住民との関係維持も重要なので、地域住民からの苦情というリスクを考慮したうえで、苦情が発生しない活動計画も必要となります。

内部課題としては、停電、環境関連機械や設備の故障、環境負荷物質未含有材料の供給不足、環境関連対応人員不足、外部委託先の環境活動未対応など多くのリスクを抱えています。内部課題は、社内で対応できる項目が大半なので、しっかりと活動計画に盛り込み対応していく必要があります。また、品質リスクである顧客クレーム、歩留低下、不良品多発などは、製品の追加作製や再作製で水や電気などを余分に使うことになるため、環境リスクにもなります。品質リスク=環境リスクであることを理解し、双方のリスクを繋げて考えると会社としては無駄のないリスク低減活動として展開できます。

外部課題と内部課題に対する機会としては、政府助成を得て環境負荷低減活動を実施する技術の導入、地域に根付いた環境ボランティア活動を行うことでの会社評価アップ、環境負荷物質削減に対する開発成功などが挙げられます。

なお、品質に関する機会への活動がそのまま環境に関する機会の活動へ繋がることが多いので、品質改善活動を積極的に行うと環境改善にも結びつくポイントを把握し、それぞれを分けた活動ではなく同一活動として展開するようにしてください。

まとめ

この記事では、ISO14001活動で要求されるリスクと機会の取り組みについて解説してきました。特に、リスクと機会について具体例を挙げて解説したので、理解していただけたかと思います。

地球環境は年々悪化の一途をたどっております。よって、環境負荷低減活動はさらに高いレベルを求められてきます。内部課題であげたリスクと機会に対しては早期に取り組み、会社として環境に対しての力をつけ、外部課題のリスクと機会に対応できる力をつけていくようにしてください。

ISOナビでは月額4万円から取得・運用を完全サポートしております。

HACCPやISMS、Pマーク、ISO9001をはじめとする各種規格の新規の認証取得から更新・運用までサポートしております。

業界最安級の月額4万円からご利用いただけ、対応工数のゼロ化を実現します。

まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いたライター
小一郎秀長

ISO9001(1994年度版)導入に続きISO14001(1996年度版)導入において、ISO事務局委員長として会社の認証取得に貢献。その後のISO改定時には、後輩育成のためにISO事務局へのアドバイザーとしてサポート。
現在はISO9001/IATF16949の維持管理に従事中。
戦国時代をこよなく愛し、尊敬するのは豊臣秀長。連休は城址廻りでリフレッシュ。

小一郎秀長をフォローする
ISO14001
ISOナビ
トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました