ISO14001とは?規格の概要や特徴、メリットなどを詳しく解説

ISO14001とは?規格の概要や特徴、メリットなどを詳しく解説 ISO14001

ISO14001は環境のISOということを知っている人は多いでしょう。でも、その中身や規格の要求事項などを理解している人は少ないかもしれません。この記事では、ISO14001についての知識を得たい人のために、以下の点を中心にしてISO14001の概要を詳しく解説します。

  • ISO14001とは?
  • ISO14001制定の背景と来歴
  • ISO14001の目的
  • ISO14001の要求事項の内容
  • ISO14001導入のメリット
  • 対象となる業種、業界
  • 企業での運用状況
  • ISO14001の認証取得とその後の運用

ISO14001の知識を得たい人や、これからISO14001の認証取得を計画している組織の人などに参考にしていただきたい内容をまとめています。

ISO14001とは?制定の経緯と目的は?

ISO14001はISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)が定めた環境マネジメントシステムの国際規格です。

ISOの規格としては品質マネジメントシステムのISO9001が一般的に知られていますが、なぜ環境の規格が制定されたのでしょうか。また、企業などの組織とどのような関わりのある規格なのでしょうか。ISO14001の制定の経緯と狙いとする目的について以下に解説します。

ISO14001制定の背景

環境問題と再生可能エネルギー

環境問題は地球規模での温暖化や酸性雨、オゾン層の破壊、砂漠化の拡大、異常気象、大気汚染など、さまざまな問題が発生し、現在はもちろん将来の地球、世界を脅かしています。民間シンクタンクのローマクラブが、世界の人口や資源、経済成長の有限性を指摘した「成長の限界」を示したのは1972年のことです。

1980年に国際自然保護連合(IUCN)が地球環境保全と自然保護の指針として示した「世界自然保全戦略」では、人類生存のための自然資源の保全として「持続可能な開発」の概念を初めて公表しています。この「持続可能な開発」という言葉は、環境と経済及び社会の持続的両立を求める概念です。ISO14001では0.1項の「背景」に示されていますが、持続可能な発展を目指し、資源を効率的に活用して循環型社会を形成するための取組みを行なうこととしています。

2015年の国連サミットで、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)が採択されましたが、ISO14001ではその20年以上前からSDGsを意識した活動が展開されてきています。SDGsとISOについては【SDGsへの取組みにISOを活用するには?その内容と活用の手順などを解説】でも解説しています。

ISO14001制定の来歴

国際会議場

ISOでのマネジメントシステム規格の先駆けとなったのは、1987年に制定された品質マネジメントシステムの規格、ISO9000シリーズです。環境マネジメントシステム(EMS)については、1992年の地球サミットで「持続可能な開発のための経済人会議」が、ISOに環境についての国際規格を作成するように要請したのが発端です。

1992年に英国で公表された環境マネジメントシステム規格BS7750などを考慮し、1996年9月にISO14001が制定されました。その後、2004年に規定の更なる明確化とISO9001との両立性を図る目的で大きく改訂されました。さらに2015年には、品質や情報、食品安全などのマネジメントシステム規格との整合性を図ることを主旨に大幅な改訂がされ現在に至っています。

その間、ISO14001をサポートする様々なISO14000ファミリー規格が制・改訂されています。ISO14001のファミリー規格については、関連記事として【ISO14000とは?14000ファミリー規格は多様な環境マネジメントに対応】で詳しく解説していますので参考にしてください。

ISO14001が意図する目的

ISO14001では0.2項の「環境マネジメントシステムの狙い」で、この規格の目的を示しています。すなわち、組織が環境、経済、社会という持続が求められる三本柱のバランスを維持しながら、マネジメントに環境の要素を取入れて環境を保護し、変化する環境状態に対応できるようなシステムを組織に提供することを目的としています。

具体的には以下の点を実現するために、ISO14001の要求事項が規定されています。

  • 環境目標の達成
  • 環境を保護し、環境状態から生じる有害な影響を緩和
  • 法令などの順守義務を満たすことを支援
  • 環境パフォーマンスの向上
  • 製品及びサービスの設計、製造、流通、消費及び廃棄の方法の管理
  • 市場における組織の位置付けを強化
  • 環境情報について関連する利害関係者への伝達

ISO14001の要求事項は

ISO14001要求事項 4章~10章を解説

ISO14001の規格名称は「環境マネジメントシステム− 要求事項及び利用の手引」で全10章から構成されています。マネジメントシステムの構築に関わる部分は4章から10章で、ISOマネジメントシステム規格に不可欠なPDCAサイクルの順に章立てされています。Plan(計画)が4章から7章、Do(実行)が8章、Check(評価)が9章、Action(改善)が10章に規定されています。

規格本文を確認したい場合は、ISO14001の内容をほとんどそのまま規格化したJIS Q14001:2015を参考にすると良いでしょう。以下、4章から10章までの概要を紹介しましょう。

4章:組織の状況を把握し、環境マネジメントシステムを構築

環境マネジメントシステムを構築する際に、まず組織が環境に関連して関わっている状況を把握する必要があります。組織内部・外部の環境に関わる課題や利害関係者の要求事項、それと組織の活動や製品、サービスなどを考慮して、環境マネジメントシステムの適用範囲を定めます。そして環境パフォーマンスの向上を含む成果を達成するために、この規格の要求事項に従った環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、継続的に改善することが要求されています。

5章:リーダーシップを明確にし、環境方針を策定

トップマネジメント(経営層)のリーダーシップとコミットメント(責任、公約)を明確にし、環境方針を策定することが求められています。また、組織図や業務分掌を明確にし、各役割の責任や権限を確実にすることが要求されています。

6章:リスクや環境側面を特定、環境目標と達成のための計画を策定

組織の状況のなかでのリスクと機会を特定し、それへの取組みを決定します。また、環境側面及びそれに伴う環境影響を特定することと、法令などの順守義務に対してどのように適用するかを決定します。これらのことを考慮して組織の各階層で環境目標を確立することと、その環境目標を達成するための取組みの計画を策定することが要求されています。

リスクと機会への取組みについては、関連記事としてISO14001活動でのリスクと機会への取り組みとは?ポイントを解説で、また、環境側面については、ISO14001の環境側面とはなにか?具体例をわかりやすく解説で詳しく解説していますので参考にしてください。

7章:計画実施のための支援体制を整備

計画実施のためには支援体制が必要です。必要な資源や力量、教育訓練、内・外部のコミュニケーション、文書化した情報などが支援体制に含まれます。特に環境マネジメントシステムの文書の作成・更新・管理などの要求事項は、この7.5項にまとめられています。

8章:運用のための計画や管理の基準を設定

立案された計画を組織の各部署で運用できるように、具体的な運用基準を設定し、それに従った管理を実施することが求められています。また、緊急事態への準備や訓練、対応のために必要なプロセスを確立することが要求されています。

9章:運用・活動のパフォーマンスを評価

環境に関する活動、すなわち環境パフォーマンスについて、測定、分析及び基準、指標を定めての評価を行なうことが求められています。また、活動が規格などの要求事項に適合しているか、有効に機能しているかを確認するための内部監査や、トップマネジメントが環境マネジメントシステムの運用状況を確実なものにするために行なうマネジメントレビューなどの活動も含まれます。

マネジメントレビューについては、関連記事としてISO14001要求事項で求められるマネジメントレビューとは?ポイントを解説で詳しく解説していますので参考にしてください。

10章:不適合を是正、環境マネジメントシステムを継続的に改善

活動、運用のなかで不適合が発生した場合、その修正や再発防止のための是正処置が重要です。不適合のレビューや原因の明確化、類似の不適合の有無の確認、採用した是正処置の有効性のレビュー、必要であれば環境マネジメントシステムの変更を行なうことなどが要求されています。さらに、環境パフォーマンスを向上させるために、環境マネジメントシステムの適切性や妥当性、有効性を継続的に改善することが求められています。

組織にとってISO14001は

ISO14001認証工場

それでは企業などの組織にとってISO14001の導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。また、どのような業種、業界に有効なのでしょうか。実際の運用状況などを含めて以下に紹介しましょう。

ISO14001導入のメリット

ISO14001を導入することによって組織が得られるメリットを以下に列挙します。

  • 業務の明確化による環境リスクの低減・回避
  • 業務改善による管理効率の向上と環境関連費用のコスト削減
  • 継続的改善による企業価値の向上
  • 環境方針や目的、目標など環境問題が組織内に浸透、従業員の意識向上
  • 企業のイメージアップや信頼度の向上、ビジネスチャンスの拡大
  • 法規制や緊急事態への対応体制の構築

なお、これらのメリットを得るには、環境マネジメントシステムを有効に運用することが極めて重要です。

ISO14001認証取得のメリットについては、関連記事としてISOのメリットは? その3:ISO14001認証取得で環境に関わるさまざまな対象が改善でポイントを解説していますので参考にしてください。

対象となる業種、業界

ISO14001はどのような業種、業界の組織が認証取得しているのでしょうか。日本での認証審査機関を統括している(財)日本適合性認定協会(JAB)が取得組織数などの統計データを提供しています(https://www.jab.or.jp/)。JABによる産業分野別の認証件数データ(2021年3月)を表1に示します。

表1.産業分野別認証取得企業数
表1.産業分野別認証取得企業数(引用元:JAB適合組織統計データ

現在の認証件数は2万件強で、「建設」と「基礎金属、加工金属製品」がトップを競っていて、「小売」などのサービス業も上位に入っています。また、「学術研究、専門・技術サービス業」や「情報通信業」、「金融業」など、環境とはあまり関係なさそうな業種にも認証取得は広がっています。ISO14001が対象とする環境が紙、ゴミ、電気に代表されるようなものから、もっと広い範囲で解釈されているからでしょう。

ISO14001の認証企業については、関連記事としてISO14001取得企業:環境マネジメントシステムはあらゆる産業が対象で詳しく解説していますので参考にしてください。

企業の運用状況

企業のISO14001の運用状況については、環境省が行なっている「環境にやさしい企業行動調査」を参考にすると良いでしょう。認証取得状況や取引先との関係、情報開示、環境ビジネス、環境会計などの運用状況の調査をまとめています。

ISO14001導入のメリットを前項で示しましたが、実際の運用状況はどうでしょうか。運用の効果についての環境省の調査結果を表2に示します。

表2.環境マネジメントシステム運用の効果
表2.環境マネジメントシステム運用の効果(引用元:環境省-環境にやさしい企業行動調査)

実際の運用では、ISO14001導入のメリットであげた事項に相当する効果が、確実に達成できているという結果が示されています。逆に、「効果はなかった」とするのは全体のわずか1.2%しかありません。大切なのは、ISO14001の認証取得をした後の運用を如何に有効なものにしていくかということです。

ISO14001の認証取得とその後の運用は

業務運用MTG

ISO14001の認証を取得することは大きなプロジェクトで、組織全体で取得という目標に向けてベクトルを合わせた活動が必要です。トップマネジメントなどの意向を受けて、まず、事務局を含めたプロジェクトチームをつくることから始まるでしょう。

ISO14001を理解するための教育や必要なマニュアル、手順書類の作成、環境方針・目的・目標の設定、内部監査の実施、マネジメントレビューの開催など、マニュアルなどに沿って実際に運用し、PDCAによる継続的改善で環境マネジメントシステムをブラッシュアップしなければなりません。この時、費用はかかりますがコンサルタント会社などの支援を得るのも効果的でしょう。

ISO認証取得支援のコンサルタントの内容、選び方など詳細はこちらをご参考ください。【ISOのコンサル会社がサポートする内容は?コンサルタントを活用してISOを取得・運用する背景

認証審査を受ける体制が整ったら認証機関と契約しての審査になります。審査にパスすれば登録証が発行され認証取得となりますが、その後も1年毎の定期審査と3年目の更新審査があります。ISO14001を有効に維持・運用するためには、PDCAサイクルを用いた継続的改善を確実に行なっていくことが重要です。

認証取得の流れについては、関連記事として初めての方向けにISO認証取得までの一連の流れを解説!で、また、認証取得後の維持・管理・運用については、ISO認証取得後の維持・管理・運用のポイントで詳しく解説していますので参考にしてください。

まとめ

ISO14001は環境マネジメントシステムの国際規格で、企業などの組織が環境と経済、社会とのバランスを維持しながら、環境を保護し、変化する環境状態に対応できるようなマネジメントシステムを運用できるように定めた規格です。環境は紙、ゴミ、電気に代表されるものから、もっと広い範囲の対象にとらえられているので、環境とは関係がなさそうな業種まで幅広い業界でISO14001が活用されています。ISO14001には、環境リスクの低減や環境関連費用のコスト削減の他、企業価値の向上やビジネスチャンスの拡大など多くのメリットがあります。まだ認証を取得していないのであれば、ぜひ認証取得を検討してみることをおすすめします。

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