ISO事務局の役割とは?事務局員に求められる力量も含めて解説

ISO事務局の役割とは?事務局員に求められる力量 ISO全般

ISO活動においては、通常業務の空き時間に片手間で行うということが難しい業務が多く存在します。特にISO認証取得時には、取得業務に専念して行う担当メンバーが存在しないと認証合格が難しいといっても過言ではありません。

ISOが要求するマネジメントシステム(MS)を有効に機能させ継続改善していくために、年間を通しての事務管理が必要であり、それを担うISO事務局を設置し対応する必要があります。ISO活動に本格的に取り組もうとするならば、トップマネジメントはISO活動を推進するメンバーを選定し、ISO事務局員として任命したうえで管理責任者管轄のもとISO業務を任せなければなりません。

この記事では、ISO事務局として実施すべき業務を以下のような項目でまとめました。また、ISO事務局員として必要な力量も解説しています。

  • ISO事務局の役割とは何か
  • ISO認証取得時の業務
  • ISO認証取得後のマネジメントシステム維持管理
  • ISO事務局員に必要な力量

トップマネジメントよりISO事務局員に任命されたが、何を実施すべきか把握できていない方はぜひこの記事をご覧ください。

ISO事務局の役割とは?

ISO事務局の最初の大きな役割は、ISO認証審査で合格を勝ち取ることです。そして、認証取得後に開始したマネジメントシステム活動が、ISO規格要求事項、法令規制要求事項および顧客要求事項にそっていることを監視し、有効に機能していることを管理していかなければなりません。特に、年間のマネジメントシステム活動結果をまとめ、マネジメントレビューのインプットとして提出する資料は、次期の計画を大きく左右するものとなるので、正確に情報を収集し取りまとめを行う大切な役割を担っています。

それでは、ISO認証取得時に実施すべき業務と認証取得後に行う業務について、具体的に見ていきましょう。

ISO認証取得時の業務

ISO認証を取得するには一般的に、計画してから約1年かかります。認証審査までの1年間に実施すべき活動がたくさんあり、それらをクリアしなければ合格することができません。認証審査までの活動の多くをISO事務局が担うことになります。

これから、ISO認証審査までにISO事務局が担う業務を具体的に見ていきます。

ISO認証取得推進計画の立案

ISO事務局としては、認証取得までの推進計画について管理責任者と協議し立案し、トップマネジメントの承認を得る必要があります。そのためには、推進活動過程で生じる課題を整理し、マネジメントシステム構築に必要な全ての計画を作成しなければなりません。特に、ISO認証取得のために必須となる文書や記録類を作成するためにどのようなステップで進めるか、認証審査前の内部監査をどのように実施するかなどをしっかりと見極め、計画を立てることが重要なポイントとなります。なお、ISO事務局だけで計画立案すると現場活動とかい離した内容になることが懸念されるため、各部署管理者とリーダーを交えて計画を詰めていきましょう。

ISO審査登録機関の調査及び選定

組織として、認証を取得する製品及びサービスが認定範囲となっている審査登録機関を選定することが必須となっています。ネットや機関雑誌などで審査登録機関の情報を得ることができますが、お勧めの方法としては、ISO認証をすでに取得している取引先に審査登録機関の評判を確認してみることです。

何社が候補が挙がったら、認証登録審査資料を請求し、審査費用の見積を依頼します。相見積金額と審査登録機関の特徴を検討し、管理責任者とトップマネジメントと協議したうえで受審する審査登録機関を決定します。

なおISO審査登録機関の選定については、関連記事としてISO審査登録機関とは?現場で機関選定や変更の際に間違わない4つのポイントをご覧ください。

ISO規格教育の実施

ISO認証を取得するには、マネジメントシステムに関与する全社員がISO規格要求事項概要を理解しなければなりません。ISO関連教育は難易度が高いためコンサルタントと契約し教育を実施してもらう方法が一般的ですが、コンサルタント契約が難しい場合は、ISO事務局員が外部教育を受講し、その知識をもって全社員への教育を実施する必要があります。

マネジメントシステム文書の作成

マネジメントシステムの文書化というと新規で文書作成が必要と考えがちですが、ISO規格要求事項で必須としている文書と組織が必要と決定した文書のみを作成すればよいのです。そのために、ISO事務局としては、組織内に管理されている文書と管理されていない文書が現在どのくらい存在するかを総点検し、ISO規格要求事項の必須文書と組織が必要とした文書のなかで不足しているものは何かを特定します。そして、足りないものを新規文書として誰がいつまでに作成するかを決め、文書作成日程計画を立て管理していく必要があります。文書の構築としては、キックオフから約6か月が目安となります。

マネジメントシステムの運用

ISO認証審査時には、文書内の仕組みが適切に運用され、有効に機能していることを示す必要があります。よって文書作成計画は、ISO認証審査までに運用する期間を考慮したうえで設定しておかなければなりません。実運用していくなかで文書内容と不整合がでる場合には文書改訂を行い、その改訂内容がISO規格要求事項から逸脱しないかをISO事務局としてチェックする必要があります。

また一番重要なのは、トップマネジメント方針を受けて、各部署で立てた目標に対する実績進捗の管理になります。ISO認証審査では、改善活動の進捗状況と、最終的に目標達成になる見込みか、未達成になる可能性があれば目標見直しなどが検討されているかを問われますので、ISO事務局としては各部署の活動進捗を監視しておきましょう。

内部監査の実施

ISO認証取得前の内部監査としては、ISO事務局が実施することになるでしょう。内部監査としては、作成した文書に順じた形で業務が遂行されているか、もし運用に不備があればどのように是正しその結果を記録に残しているかなどをチェックする必要があります。その他のチェック事項としては、先に述べた通り、目標に対しての進捗状況確認が重要なポイントとなります。

ISO認証審査対応

ISO審査登録機関が認証登録目的として行う審査を初回認証審査といい、文書レビュー、第1段階審査、第2段階審査があります。第1段階審査に先立ってマネジメントシステム関連文書の提出要求があり、文書レビューが実施されます。その結果が文書レビュー報告書として組織に示され、不適合事項の是正が第1段階審査までに求められます。第1段階審査では、申請された認証登録範囲及び関連文書とその運用が審査され、第2段階審査が実施可能な状態か判断されます。不適合が検出された場合には、第2段階審査までに是正を行わなければなりません。第2段階審査では是正内容をチェックされ、実運用がISO規格要求事項にそっているかを審査されます。不適合が検出された場合には是正報告を行い、その是正内容が受理され審査登録機関の判定会議で合格となれば認証取得となります。審査登録機関及び審査員との一連のやり取りをISO事務局が担うことになります。

認証審査前後及び審査中は、密なコミュニケーションが求められます。特に不適合の是正については提出期限が設けられますので、遅延なく是正処置を行い確実に提出しましょう。

ISO認証取得後のマネジメントシステム維持管理

ISO事務局は、認証取得後はマネジメントシステムが規格要求事項にそって有効に機能するように管理していく必要があります。

これから、認証取得後にISO事務局が担う業務を見ていきましょう。

中期計画、事業計画策定時サポート

トップ方針を受けて、各部署は中期計画そして事業計画を策定し目標を設定することになります。計画策定時には、マネジメントシステムのPDCAが確実に回る内容になっているかを確認し、規格要求事項との不整合があれば修正指示しなければなりません。ISO事務局としては計画内容の監視を行い、マネジメントシステムが有効に機能する計画になっているかをチェックするようにしましょう。

内部監査計画及び実行

トップ方針をもとに管理責任者が内部監査方針を決定しますので、その方針にそってISO事務局は内部監査実施の計画を立てます。また、方針を受け、どのようなポイントに着目し監査を実施するのかを内部監査員に指示します。実行段階では、各部署の内部監査が遅延なく実施されているかをチェックします。内部監査後は不適合や推奨事項をとりまとめ、組織全体に情報展開するとともに、管理責任者へ報告します。不適合に対する是正処置が確実に実施されているかの監視を行うことも大切な業務です。

マネジメントレビューインプット情報のとりまとめ

一般的には半期及び通期を通して、改善目標に対する達成状況が各部署の管理者のもと、とりまとめられます。ISO事務局はそれら結果を収集し、全体をとりまとめることになります。改善目標達成状況を含め、必要となるマネジメントレビューへのインプット情報についてはISO規格要求事項に明確にされています。規格要求事項の指示項目から漏れないように、各項目をしっかりと分析評価し、とりまとめを行うようにしてください。

ISO審査登録機関の定期審査/更新審査準備から完了までの対応

ISO事務局は、ISO定期審査及び更新審査のときも審査登録機関への窓口対応を行います。審査計画及び審査プログラムの作成、事前提出要求資料の準備と提出、審査中は審査全体の進捗管理を行います。審査後は、審査登録機関より不適合の是正承認が得られ合格となるまでフォローしなければなりません。

ISO国際規格、法令規制情報収集

ISO国際規格や法令規制内容は、不定期に改訂が入ることがあります。改訂が入れば必ず、マネジメントシステムの適合性をチェックしなければなりません。ISO審査登録機関の審査では改訂内容への適合性を必ずチェックされますので、ISO事務局責任として対応するようにしましょう。

なお、ISO認証取得後のマネジメントシステム維持管理については、関連記事としてISO認証取得後の維持・管理・運用のポイントをご覧ください。

ISO事務局員に必要な力量

ISO事務局の業務について、これまで解説してきました。

それでは、事務局業務を遂行していくためにはどのような力量が必要になるのでしょうか。これから、ISO事務局員に必要な力量を見ていきましょう。

ISO規格要求事項の知識

ISO認証を取得するためには、認証審査で合格しなければなりません。合格するために、ISO事務局員としてはISO規格要求事項を確実に理解し、マネジメントシステムへ適用させる活動を推進していく必要があります。認証取得後は、規格要求事項に沿った形でマネジメントシステムを維持できるように管理する業務を担います。よって、ISO事務局員にはISO規格要求事項の知識習得が求められます。

国内外法令規制の知識

マネジメントシステムを適切に維持するためには、国内外の法令規制を順守しなければなりません。法令規制内容を理解し、マネジメントシステムへの適用を推進するのもISO事務局員の役割となります。また、法令規制は不定期に改訂されるため、改訂情報を確実にキャッチし、マネジメントシステムの改訂有無を判断する必要があります。よって、ISO事務局員には国内外法令規制に対する適切な知識が求められます。

内部監査実施の力量

ISO規格要求事項では内部監査実施を要求しているため、規格要求事項に適合する形で内部監査を実施しなければなりません。そのために、ISO事務局員としては内部監査に関する知識を有しておく必要があります。また、内部監査員をサポートしながら内部監査を遂行していく必要があるため、内部監査実施の力量も有しておくことが大切です。力量アップのためには外部研修での学びが必要ですので、様々な研修に参加し実践を積みながら内部監査員としての力量向上に努めましょう。

まとめ

この記事では、ISO事務局の役割について、ISO認証取得時および認証取得後に実施すべき内容を解説してきました。また、ISO事務局員に求められる力量についても説明しております。

ISO認証取得は、顧客から仕事を得るための免許のような存在となってきているので、ISO未取得の組織は認証取得に向けて活動を進めていく必要があります。そのためには、ISO事務局の存在がかかせず、認証取得後のマネジメントシステムを有効に機能させる大切な役割を担っていくことになります。

ISO認証取得によりマネジメントシステムの改善が進み、組織が活性化していくように、ISO事務局員は力量を遺憾なく発揮しISO推進活動に取り組んでください。

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この記事を書いたライター
小一郎秀長

ISO9001(1994年度版)導入に続きISO14001(1996年度版)導入において、ISO事務局委員長として会社の認証取得に貢献。その後のISO改定時には、後輩育成のためにISO事務局へのアドバイザーとしてサポート。
現在はISO9001/IATF16949の維持管理に従事中。
戦国時代をこよなく愛し、尊敬するのは豊臣秀長。連休は城址廻りでリフレッシュ。

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