HACCPとISOの関係は?食品安全規格の種類について

HACCP

食品安全の規制や規格には、HACCPとかISO22000、FSSC22000、JFS-Cなどいろいろあって、どこがどう違うのかよく解らない人も多いのではないでしょうか。海外の規制の影響やISOなどの国際標準の動向などで、いくつかの規格が混在しているのが実情です。どの規格を認証取得するのが良いのか悩んでいる企業の方も多いでしょう。

この記事では以下の項目を説明することで、HACCPとISOの関係や各規格などの概要を紹介します。

  • 規制や規格制定の経緯
  • 各規格の認証取得状況
  • 各規格などの概要
  • 認証取得すべき規格は?

規格の認証取得を検討している企業の方をはじめ、食品業界に勤務する多くの人に参考にしていただきたい内容です。

食品安全についての規制・規格の流れ

HACCPやISO22000などの食品安全の規制・規格制定の流れを年代順に見てみましょう。それぞれの規格などの関係性や制定の必然性などが解ります。

HACCP

ISOなどよりも先駆けてつくられた食品安全の規制がHACCPです。1960年代にアメリカで開発された食品衛生管理手法で、1990年代には食品衛生の一般原則の一つとして世界各国の法規制などに組み込まれて活用されるようになりました。日本でも1995年に食品衛生法の中にHACCPの考えに基づいた「総合衛生管理製造過程」の要求事項が定められて認証制度が開始されました。ただし、国や認証団体によって基準となる項目が異なる点があるため、HACCPは世界基準としては利用できていません。

ISO22000

そこで誕生したのが国際標準の食品安全マネジメントシステム規格、ISO22000です。2005年に発行されましたが、HACCPの手法を品質マネジメントシステム規格のISO9001を基礎としたマネジメントシステムとして運用するための要求事項を規定しています。2018年に改訂版のISO22000:2018になっています。主要なISOのマネジメントシステム規格はJIS化されているのですが、ISO22000はまだJIS化される計画はありません。

FSSC22000

ISO22000は幅広く利用されることを目的として制定されましたので、要求事項に抽象的な表現があったり、食品安全ハザードの前提条件についての内容に不充分な点がありました。そのような不足部分などをISO22000に追加してより具体的にしたのがFSSC22000です。FSSC22000はISOではなく、FFSC(Foundation for Food Safety Certification:食品安全認証財団)が策定した規格で、2010年にGFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品安全イニシアチブ)の承認規格になりました。2019年にFSSC22000 Version 5が発行されています。なお、ISO22000も2018年の改訂で食品安全ハザードに関する不足部分などは大幅に改善されています。

JFS-C

以上の動きとは別に、日本発の食品安全マネジメントシステム認証制度としてJFS-Cがあります。(財)食品安全マネジメント協会(JFSM)が所有権をもつ第三者認証制度で、2018年にGFSIの承認規格になっています。

食品安全関連規格などの認証状況

HACCPやISO22000など、ここで紹介する食品安全関連の規制・規格は審査登録機関の審査を経て認証登録される第三者認証制度の規格類です。その認証取得状況を日本と世界とで見てみましょう。

日本国内の認証件数

直近の統計データによる認証件数は次のとおりです。

  • ISO22000 1,483件
  • FSSC22000 2,166件
  • JFS-C 74件

※ISO22000とFSSC22000は(財)日本適合性認定協会(JAB)の2019年12月集計
 JFS-Cは(財)食品安全マネジメント協会(JFSM)の2020年8月集計

HACCP単独の第三者認証は、地方公共団体や業界団体などによる認証のため、統一された統計はありません。

一般によく知られている品質マネジメントシステム規格ISO9001の認証件数が41,935件です。ISO22000はまだその1/10にも達しませんが、ISO9001の件数が年々減少しているのに対して、ISO22000は大きな増加傾向を示しています。各規格の件数推移を表1に示します。

マネジメントシステム規格の種類2019.122015.72012.7
QMS品質 ISO900141,93547,82149,713
EMS環境 ISO1400122,00425,15826,157
ISMS情報セキュリティ  ISO270015,2275,0684,324
FSMS食品安全 ISO220001,4831,076733
表1. ISOマネジメントシステム規格の認証件数推移
https://www.jab.or.jp/files/items/5/File/201912MS_jp.pdf
JABのマネジメントシステム認証件数(2019年12月31日)などから集計

世界各国の認証件数

ISO22000の世界での認証総数は約32,000件です。ISO9001が約87万件ですから、今後どこまで増加するか注目されるところです。表2にISO22000とFSSC22000の認証件数上位10カ国を示します。

日本は中国に次いで2位グループにいます。FSSC22000は上位を主要国が占めているのに対して、ISO22000は新興国や小国が混在しているのが特徴です。

順位ISO22000FSSC22000
1中国11,581中国1,622
2インド1,976日本1,419
3ギリシャ1,912アメリカ1,335
4日本1,283インド1,234
5台湾1,166オランダ689
6イタリア937メキシコ660
7トルコ766南アフリカ630
8ルーマニア653ロシア546
9スペイン585ドイツ457
10ベトナム478スイス418
総数32,12017,293

HACCPとISOの関係は?食品安全規格の概要

食品安全の規制・規格制定の流れと認証件数を見てきましたが、次にそれら規格などの具体的な内容を見てみましょう。HACCPとISOの関係やISOとFSSCとの関係なども見えてきます。

HACCPはNASAの宇宙食から

HACCPのシステムが開発されたのは、1960年代のアメリカのNASA(航空宇宙局)での宇宙飛行士用の食事、安全な宇宙食を提供するためだったと言われています。Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control(管理)、Point(点)の頭文字を取ったもので、「ハセップ」と読み「危害分析重要管理点」を示す食品安全ガイドラインの代表的なものです。

アメリカのFDA(食品医薬品局)が、缶詰の製造工程におけるボツリヌス菌の管理にHACCPのシステムを適用して実用化のための大きな成果を得ることもできました。その後、HACCPの標準化が実施され、幅広い食品分野での安全性管理に適用するためにシステム構築の考え方が7原則・12手順にまとめられ、世界各国の法規制などに取り入れられるようになりました。

HACCPの7原則・12手順とは

HACCPの7原則は以下のように12の手順のなかに組み込まれています。

  • 手順1:HACCPのチーム編成
  • 手順2:製品説明書の作成
  • 手順3:意図する用途と対象消費者の明確化
  • 手順4:製造工程図の作成
  • 手順5:製造工程図の現場確認
  • 手順6=原則1:危害要因分析の実施
  • 手順7=原則2:重要管理点(CCP)の決定
  • 手順8=原則3:各CCPに対する管理基準の設定
  • 手順9=原則4:モニタリング方法の設定
  • 手順10=原則5:改善措置の設定
  • 手順11=原則6:検証方法の設定
  • 手順12=原則7:記録と保存方法の設定

手順1~5は原則1~7を進めるにあたっての準備の手順です。危害分析をして、重要管理点を明確に設定して運営するという手順・原則になっています。

HACCP認定の種類

HACCP単独の第三者認証は、地方公共団体や業界団体などによる種々の認証があります。認証取得状況などについては農林水産省の調査報告が参考になるでしょう。

食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況実態調査結果(農林水産省 食料産業局:2020年6月)https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/haccp/attach/pdf/h_toukei-6.pdf

報告書によると、HACCPに沿った衛生管理を導入済みあるいは導入途中の事業者は全体の41%で、そのうちの47.2%がなんらかの第三者認証を取得しています。つまり、調査対象の食料品製造業と飲料・たばこ・ 飼料製造業の約20%がHACCPの認証を取得していることになります。

取得している第三者認証の種類は、複数回答で次のような比率になっています。

【国際的な第三者認証】

              FSSC22000認証                                          7.9%

              ISO22000認証                                             7.6%

              JFS-A認証                                                   0.5%

              JFS-B認証                                                   3.1%

              JFS-C認証                                                   0.3%

【対米・対EU輸出認定】

              対米国、対EU輸出水産食品登録               2.2%

              対米国、対EU輸出食肉認定                      0.1%

【その他】

              地方公共団体によるHACCP認証                            15.5%

              業界団体によるHACCP認証                      6.3%

              食品衛生法の総合衛生管理製造過程承認   3.7%

              取引先によるHACCP認証                         3.1%

              HACCP支援法の高度化計画の認定           0.5%

              その他                                                           3.8%

HACCPに関しては、ISOやFSSC以外の第三者認証でも幅広く取得されていることが解ります。2021年6月からは食品衛生法の改正でHACCPの実施が義務化されますので、さらに認証取得活動は活発になるでしょう。

ISO22000はISO9001とHACCPを内包

HACCPは食品に関わる工程の危害分析(HA)をして重要管理点(CCP)を管理することですが、その運用をマネジメントシステムとして管理する規格がISO22000です。マネジメントシステムの枠組みには品質マネジメントシステム規格のISO9001が取り入れられています。つまり、ISO22000にはISO9001とHACCPの二つが含まれています。

ISO22000の規格構成

2011年以降ISOマネジメントシステムの規格は共通様式に統一され、ISO9001やISO14001も同じ規格構成で改訂されています。ISO22000も2005年版から2018年版に改訂されるにあたって、他のマネジメントシステム規格と同様の規格構成になりました。

設計・開発や顧客満足などの要求事項は除外されていますが、リーダーシップやリスクへの取組み、資源・力量、内部監査、マネジメントレビュー、不適合・是正処置、継続的改善などのISOのマネジメントシステムとしての要求事項はISO22000にも規定されています。また、HACCPの7原則・12手順に関係する要求事項は、主に8章の運用の項にまとめられています。

■ISO/TS22002-1(食品製造業)またはISO/TS22000-4(包装資材製造業)に適用される前提条件プログラム

■FSSC22000独自の追加要求事項

  • サービスの管理
  • 製品ラベルの表示
  • 食品防御
  • 食品偽装の削減
  • ロゴの使用
  • アレルゲンの管理
  • 環境モニタリング
  • 製品の配合
  • 輸送とデリバリー

JFS-Cは日本発の食品安全マネジメントシステムの認証体系

JFS規格は(財)食品安全マネジメント協会(Japan Food Safety Management Association:JFSM)が制定した日本発の食品安全管理認証制度です。そのなかのJFS-C規格は、2018年にGFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品安全イニシアチブ)の承認規格となり、世界的に通用する規格になりました。GFSIは世界的に展開する⾷品企業大手が集まり、⾷品安全の向上と消費者の信頼強化のために協働して⾷品安全管理規格の承認などを⾏う⺠間団体で、食品業界では世界で最も権威のある団体と言えるでしょう。

JFS規格は次の3つの規格で構成されています。

■JFS-A規格:一般的な衛生管理が中心の規格で、以下の内容を含んでいます。

  • 適正製造規範(GMP)17項目のうち13項目
  • HACCP12手順のうち1~5手順
  • 食品マネジメントシステム(FSM)27項目のうち10項目

■JFS-B規格:HACCPの手順をすべて含んでいます。

  • GMP17項目のうち16項目
  • HACCPの1~12の手順すべて
  • FSM27項目のうち15項目

■JFS-C規格:HACCPおよびISO22000の仕組みを活用していて国際取引にも通用。

  • GMP17項目のうち17項目
  • HACCPの1~12の手順すべて
  • FSM27項目のうち27項目

JFS規格の特徴は、日本語で制定された規格であることです。ISO22000やFSSC22000は、和訳はされていますがJIS化はされていません。JFS規格は日本語で解りやすく表現されていて、A、B、C、3段階のステップがあります。中小業者でも自社のレベルにあった規格から取り組むことができ、段階的に国際取引につながるレベルまでステップアップすることもできます。

認証取得はどの規格で取得すべき?

食品安全の規格はいろいろありますが、どの規格を取得したら良いのか悩む会社の方も多いでしょう。2021年6月からは食品衛生法の改正でHACCPを実施することが義務化されますから、JFS-B以上の認証を取得する必要があります。どの規格、仕組みを導入するかについての目安を以下に示しますので参考にしてください。

  • HACCP、JFS-B:仕組みの導入コストを低くおさえてHACCPを確立したい。
  • ISO22000、JFS-C:マネジメントシステムを確立して組織のレベルアップも図りたい。
  • FSSC22000:円滑な海外取引を展開したい。

自社の現状がどのレベルにあるのかをよく確認し、将来的な方向性を明確にすることが重要です。どの認証規格の取得に臨むかは、審査機関や経験豊富なコンサルタント会社などに相談するのも良いでしょう。

まとめ

食品安全に関する規制・規格には、HACCPやISOなどの種類があり、それぞれの制定の流れやその内容にも相互に影響を与えています。認証件数は数千件のレベルで品質のISO9001の数万件に比べるとまだ少ないですが、2021年からは食品衛生法でHACCPが義務付けられることもあり、今後認証取得取組みの動きが加速することでしょう。

HACCPはISO22000やFSSC22000にも組み込まれている規制ですが、認証比率は農林水産省の調査によると、食品業界など関連する業界全体の約20%にとどまっています。今後どの認証規格を取得するにしても、現状の自社の状況を正しく把握して将来的な方向性を見据えたうえで取得活動に臨むことが重要です。

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この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

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