ISO各規格を統合して認証取得する際に留意する点と統合するメリットは?

ISO各規格を統合して認証取得する際に留意する点と統合するメリットは? ISO全般

品質のISO9001や環境のISO14001など、複数のISOマネジメントシステム規格を取得している企業や組織は多いでしょう。そのような場合、1年のうちに何回も規格ごとの内部監査やマネジメントレビューを実施しなければなりません。

また、認証審査登録機関による維持審査や更新審査も何回か受審しなければならず、日程の調整や対応準備に忙しい毎日が続きます。審査費用も1つの規格で50~100万円程度を要するので大きな負担になります。

そんな状況を解決するために、複数の規格を統合マネジメントシステムに統合する方法があります。複数の規格の内部監査やマネジメントレビュー、認証審査登録機関による審査などを年に1回で済ませることができます。

ここではISO規格の統合に関して、次のような内容を解説します。

  • ISO規格の構成や要求事項の共通性
  • ISO規格を統合するメリット
  • ISO規格を統合するうえでの留意点
  • ISO規格を統合した場合の認証審査登録機関の審査方法

複数のISO規格の管理や運用などに悩んでいる人や、これからISO規格の統合を検討している人などに、参考にしていただきたいことを中心にまとめています。

ISO規格の統合とは?

ISO規格の統合というのは、品質や環境、情報などの個々のISOマネジメントシステム規格を一元化した統合マネジメントシステムを構築することです。

文書体系は品質や環境のマニュアルを個別に作成するのではなく、統合マニュアルとして一本化し、各規定類も統合マニュアルに整合し一元化して定めます。方針や目的・目標、実行計画も一本化し、内部監査やマネジメントレビューも統合マネジメントシステムのもと各規格を同時に実施します。

いきなり統合へとステップアップするにはハードルが高い場合には、部分的に複数のISO規格の規定を共通化する「複合」という方法があります。品質や環境マニュアルなどは個別に作成し、文書・記録管理や教育、不適合処理、内部監査、マネジメントレビューなどの規定や手順書を共通化します。段階的に統合へとステップアップするのも有効な方法でしょう。

ISO規格の構成と共通要求事項

ISO9001、14001、27001、各規格の統合

ISO規格を統合して一元化した統合マネジメントシステムを構築する。簡単なことではありませんがISOのマネジメントシステム規格は構成が共通していて、要求事項にも共通した項目が多くあります。

ISOの技術管理評議会の中のTAG13-JTCG(合同技術調整グループ)がマネジメントシステム間の整合性を確保するための議論を重ね、2012年にISOのマネジメントシステム規格の上位構造、共通テキスト(要求事項)及び共通用語・定義が「ISO/IEC専門業務用指針、統合版ISO補足指針」の中に定められました。

その後制定、改訂されたISO9001や、ISO14001、ISO27001、ISO13485、ISO22000などのISOマネジメントシステム規格は、すべてこの指針のもとに共通の構成、要求事項を基本に制定されています。

ISOマネジメントシステム規格の共通要求事項

ISO/IEC専門業務用指針、統合版ISO補足指針」で定められたISOマネジメントシステム規格の共通要求事項を下表に示します。ISOの主要な要求事項が共通化されているので、ISO規格統合の指針になります。

章番号と項目項目の内容
4.組織の状況4.1 組織及びその状況の理解
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
4.3 (個別の)マネジメントシステムの適用範囲の決定
4.4 (個別の)マネジメントシステム
5.リーダーシップ5.1 リーダーシップ及びコミットメント
5.2 方針
5.3 組織の役割、責任及び権限
6.計画6.1 リスク及び機会への取組み
6.2 (個別の)目的及びそれを達成するための計画策定
7.支援7.1 資源
7.2 力量
7.3 認識
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化された情報
8.運用8.1 運用の計画及び管理
9.パフォーマンス評価9.1 監視、測定、分析及び評価
9.2 内部監査
9.3 マネジメントレビュー
10.改善10.1 不適合及び是正処置
10.2 継続的改善
ISOマネジメントシステム規格の共通要求事項

ISO規格を統合するメリットは?

ISO各規格統合のメリット

複数のISO規格を統合することでどのようなメリットがあるでしょうか?マニュアルや手順書がシンプルになることや、管理工数や審査費用が軽減されることなどがまず考えられます。その他のことを含めてISO規格を統合することによって得られるメリットを以下に示します。

  1. マネジメントシステムの重複が解消するので、管理体制の統一、最適化によって指揮命令系統が一元化され、多角的で迅速な判断が実現できる。
  2. 目標管理が統合され、組織全体の事業計画に連動した重点課題に対しての活動に一本化できるので、企業体質の強化につながる。
  3. 業務全体から多角的に問題点やリスクを洗い出すことができ、より重要なポイントについて継続的な改善ができるシステムになる。
  4. 文書管理や内部監査、マネジメントレビューなどの重複が避けられ工数、コストが削減できる。
  5. 認証審査登録機関による審査工数などが減り、ISO維持費用が削減される。

ISOを統合することによって、ISO管理責任者や事務局、関係する従業員の業務負荷が削減されます。その分、統合された新たなマネジメントシステムの維持・管理に大きな力を発揮できるでしょう。

ISO規格を統合するプロセスで留意する点

具体的にISO規格を統合するための手順、プロセスを一例で紹介します。そのなかで、留意する点なども確認しましょう。

  1. 現状調査、問題点の把握:現状、管理している文書を調査して問題点や検討項目などを把握します。
  2. マニュアルの見直し:品質マニュアルや環境マニュアルなど個別になっているマニュアルを、統合を考慮して見直します。統合システムの基本構成を検討して、一元化した統合マニュアルを作成します。
  3. 手順書、規定、帳票類の改定:統合マニュアルをもとにして、現状の手順書類の見直しや改善点の盛り込み、スリム化を念頭に置いて改定します。利用度の少ない手順書や不要なものは廃止しても良いでしょう。
  4. 目的・目標の一元化:個別に設定していた品質目標や環境目的・目標などを一元化して、1つの実行計画書で管理できるようにします。
  5. 内部監査員などが統合システムに対応できるよう、レベルアップのための外部セミナーや社内教育などを実施します。
  6. 内部監査、マネジメントレビューを複数規格の統合システムで実施し、統合システムの構築、運用状況などを検討、確認します。

以上のようなプロセスを経て、認証審査登録機関の審査を受審することになるでしょう。統合マネジメントシステムの構築には、未経験のことも多くあり不安な部分もあるでしょう。経験豊かな認証審査登録機関やISOコンサル機関などのアドバイスを受けることもお勧めします。

ISO規格統合での審査は?

ISO審査

複数のISO規格を統合した場合、認証審査登録機関による維持審査や更新審査をどのような審査になるのでしょうか?認証審査登録機関によって呼称が異なることもありますが、マネジメントシステムが統合されている場合は「統合審査」という方法で審査されます。また、統合されていない場合でも効率的に審査できる「複合審査」という方法があります。

どの審査方法にするかは認証審査登録機関との相談になりますが、どちらの審査にしても個別の規格ごとに受審するよりは審査工数が削減されるので審査費用も20%以上安価に抑えられると言われています。

統合審査とは

統合審査というのは、複数のISO規格を取得していてマネジメントシステムが統合、構築されている場合に行なわれる審査です。認証審査登録機関の審査員も複数の規格の審査資格を持ち、チームを組んで一度に複数のISO規格の審査を行ないます。

統合したマネジメントシステムとISO規格の要求事項との整合性や、それに伴う目標、計画進捗などの運用状況、記録などが精査されます。同時に各ISO規格固有の要求事項などにかかわる文書や記録などが審査され、各ISO規格の維持・更新が認証登録されます。

複合審査は?

複合審査の場合、マネジメントシステムの統合は要件とされていません。複数のISO規格を取得していて、複数の個別のマネジメントシステムで運用している場合、個別の日程で審査するのではなく、複数のISO規格を同時に審査する方法です。

複合審査での審査内容は、個別での審査と同じです。ただ、ISO規格には共通する要求事項がありますから、別日程で個別に審査されるよりは同じ日程で同時審査を受けるほうが効率的で受審側の負担も大きく軽減されます。

まとめ

ISOのマネジメントシステム規格を複数取得している企業は多いかと思います。各規格とも最低でも年1回は認証審査登録機関の審査がありますから、年中審査を受ける状態になってしまい、その準備などに追われる毎日が続き大変です。

その問題を解決するために複数のISO規格を統合する方法があります。ISOマネジメントシステム規格の共通要求事項を軸にして、統合マネジメントシステムを構築する方法です。多角的に広い視野でマネジメントシステムを管理・運用でき、ISOの審査コストなどを低減できるメリットもあります。

複数のISO規格の管理・運用に悩んでいることがあれば、ISO規格の統合を検討してみると良いでしょう。統合するプロセスなどは、経験豊富な認証審査登録機関やISOコンサル機関などに相談することもおすすめします。

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この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

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