ISOの監査とは?その種類と監査員の資格や資質について

ISOの監査とは?その種類と監査員の資格や資質について ISO全般

ISOを維持、運用していくうえで監査を行なうことは欠かせません。監査はISOのマネジメントシステムの規定に適合して運用されているか、有効に機能しているかなどを確認する目的で行なわれます。

ISO9001などのISOのマネジメントシステム規格のなかで、明確に実施することが要求されているのが内部監査です。ただ要求事項ではありませんが、ISOの運用には内部監査の他にも仕入先などの購買先を監査することが必要になる場合もあります。また、ISOの認証取得や認証継続に関わる認証審査登録機関による審査も、重要な監査の一つと言えるでしょう。

ここでは、ISOマネジメントシステム規格のなかでの監査について、以下の事項をわかりやすく解説します。

  • 監査の種類
  • それぞれの監査の頻度や内容
  • 監査員に必要な資格や資質

これから監査を行なう人や監査を受ける人、ISOを効果的に運用したいと考えている人などに、参考にしていただきたいことを中心にしてまとめています。

ISOの監査の種類

Certification Audit Reports

品質のISO9001などのISOマネジメントシステム規格に共通する要求事項の一つが内部監査です。これは、ISOを運用する組織内での監査ですが、ISOを運用・維持するためには、内部監査以外の監査も重要です。

監査には、内部監査を当事者同士で行なう第一者監査とすると、取引先などを対象とする第二者監査、認証審査登録機関など第三者的な立場で行なう第三者監査の3種類の監査があります。

これらの第一者監査、第二者監査、第三者監査、それぞれの監査の頻度や監査の内容、監査する監査者の資格や資質について、違いやポイントを詳しくみてみましょう。

なお、これらの監査については、ISO19011:2018(マネジメントシステム監査のための指針)に監査の実施方法や監査員の力量基準などのガイドラインが示されていますので参考にすると良いでしょう。(対象規格JIS Q 19011:2019 https://kikakurui.com/q/Q19011-2019-01.html

第一者監査は組織内での内部監査

第一者監査は組織内で行なう内部監査です。組織内の内部要員で行ない外部の他者が介入しないので、他の監査と区別して第一者監査と言われています。品質や環境、情報、食品衛生、医療機器などのISOマネジメントシステム規格の共通要求事項の一つに内部監査が含まれています。

内部監査の頻度と監査内容

ISOマネジメントシステム規格の要求事項として内部監査が規定されていますが、その開催頻度などの定めはありません。内部監査の結果は、ISO規格の必須要求事項であるマネジメントレビューのインプット情報になります。マネジメントレビューは最低年1回開催されますので、内部監査も年1回は最低でも実施が必要です。監査による不適合事項が解消されない場合などは複数回の内部監査を行なうことになりますが、効率的に無駄なく実施することが重要です。

内部監査の目的は、組織内の各部門がISOのマネジメントシステムのルールに適合しているか、目的・目標に向けての活動が有効に機能しているかを確認することで、問題点を洗い出し改善・是正の機会を提供することです。

監査の具体的な内容は、社内マニュアルや規定などの手順が守られているか、そのエビデンスとなる記録やデータの妥当性や整合性の確認になりますが、あらかじめチェックシートなどで整理しておくと良いでしょう。不適合や改善を指摘する場合は、単なる記録の修正などではなく手順やルールの改善につながる提案が含まれることが望まれます。

内部監査員の資格と資質

ISO規格のなかでは、内部監査員の資格や技量、資質などについての定めはありません。具体的には組織が自ら内部監査員任命基準を定めているか、ISOの管理責任者が推薦してトップマネジメントが任命する、というような事例が多いでしょう。

任命基準として外部研修などの受講、修了を条件にしている組織も多く見かけられます。さまざまな機関がISO内部監査員養成研修セミナーを1日、あるいは2日コースで開催しています。次のようなカリキュラムが講義と演習で組まれていますので、確実に内部監査員としての技量を得ることが期待できます。

•ISOマネジメントシステム規格の要求事項の解説

•マネジメントシステムの構成について

•内部監査の基本と準備

•内部監査の実施

•不適合抽出の演習

•内部監査報告書の作成

•内部監査の是正処置

•効果的な内部監査の実施法

•理解度テスト

受講費用もかかりますので、このようなセミナーを受講した人やISO管理責任者などが社内教育でさらに内部監査員候補を増やすのが良いでしょう。

ISOに関する知識や監査実務の技量が高くても、実際の監査の場で効果的に相手から聞き取りなどをするには性格などの適切な資質も重要です。ISO19011では監査員に必要な資質として13項目をあげていますが、要点としては次の3点があげられます。

  • 相手の話を良く聞き理解することができる。
  • チームとして行動する協調性があること。
  • 改善に向けて前向きな提案ができる。

もちろんこの他に、監査の相手部署の業務内容やプロセス、実施状況などをよく把握、理解したうえでの監査が必要になります。

第二者監査は取引先などによる購買先監査

取引先相手

第二者監査はISO19011では、外部提供者監査、他の外部利害関係者による監査としています。一般的には、サプライヤー監査、購買先監査と呼ばれています。

購買先監査は取引先から監査される場合と取引先を監査する場合がありますが、ここでは取引先から監査される場合を中心にして説明しましょう。

購買先監査の方法と内容

購買先監査は、年間に何社に対してどのような基準で監査するかを定めた社内の手順書などにしたがって実施されます。不具合が発生したり、傾向的な不良品が納品された場合などには、特別監査が行なわれることもあります。

書面による回答方式でマネジメントシステムの細部にわたって確認する方法もありますが、重点購買先などには複数の監査人が訪問し、現場確認を含めて監査が行なわれます。

監査内容は、認証審査登録機関が行なう認証審査と同じようにISOのマネジメントシステム全般について監査することもありますが、取引上の重要な事項のなかからテーマを定めて監査を進めるのが一般的です。

購買先監査の監査員には認証審査登録機関の審査員も

購買先監査の監査は、通常は取引業務にあたる資材、購買、調達部門などの部員と品質管理部門のメンバーなどがチームになって実施されます。内部監査の監査員と同じようにISOでは、その資格について特別な規定や条件はありません。取引先との発展的な継続関係を持続させるためには、有効で前向きな監査ができる監査員が望まれるでしょう。

企業によっては、購買先監査を第三者の認証審査登録機関に委託することもあります。認証審査登録機関は綿密な打ち合わせのもとに、監査のポイントを押さえて監査をします。もともと審査のプロですし、委託されたからにはそれ相応の結果を出そうとしますから、より慎重で確実な監査対応が必要になります。取引縮小、取引停止などの結果につながらないよう、全力をあげて対応する覚悟で臨みましょう。

第三者監査は認証審査登録機関による認証審査

外部監査員

第三者監査はISO19011では認証審査、法令・規制および類似の監査としています。認証審査は認証審査登録機関によるISOの認証審査のことです。法令・規制の監査は、例えば医療機器品質のISO13485の場合で、管轄保健所の薬事監視員が薬事法に沿った監査を行います。薬事法がほぼISO13485の枠組みで制定されているので、実質ISOの監査と同じになります。ここでは、認証審査登録機関による認証審査について説明しましょう。

認証審査の頻度と審査内容

ISOの認証を取得すると、その有効期間は3年間です。その間、1年目と2年目は認証審査登録機関による維持審査(サーベイランス審査)が行なわれ、3年目に認証更新審査が行われます。

この審査の頻度やその内容は、ISO17021-1(適合性評価−マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項−第 1 部:要求事項)に定められています。(対象規格JIS Q 17021-1:https://kikakurui.com/q/Q17021-1-2015-01.html

3年目の認証更新審査は、認証取得審査時と同じようにISO規格のすべての項目にわたって審査プログラムが組まれます。しかし、1年毎の維持審査では、内部監査やマネジメントレビューなど維持管理に重要な項目に絞って審査されます。具体的には次の項目を審査プログラムに含めることが定められています。

  1. 内部監査とマネジメントレビュー
  2. 前回審査の不適合に対する処置状況
  3. 苦情処理の対処状況
  4. 目的の達成に関わるマネジメントシステムの有効性
  5. 継続的改善を基本とした計画的活動の進捗状況
  6. 継続的な運用管理
  7. システムの変更点の確認
  8. ISOマークやロゴの使用状況の確認

維持審査は、ISOの要求事項が継続的に確実に運用されているかを確認するために行なわれますから、継続的な運用管理や計画的活動の進捗状況の確認が審査の中心になります。

認証審査登録機関審査員の資格を得るには

認証審査登録機関の審査員には、資格登録制度があります。(財)日本規格協会や(財)日本要員認証協会マネジメントシステム審査員評価登録センター(JRCA)、(社)産業環境管理協会環境マネジメントシステム審査員評価登録センター(CEAR)などが、日本での認定機関とされている(財)日本適合性認定協会(JAB)の認定を受け、審査員評価登録業務を行なっています。

審査員資格としては、審査員補、審査員、主任審査員のレベルがあります。最初はアシスタント的な審査員補から登録し、キャリアを積んで審査員や主任審査員への昇格を目指します。審査員資格の取得には、業務経験や研修、審査経験などの資格基準があり、ISO19011に準じた基準が定められています。

例えば、JRCAでの品質マネジメントシステム審査員補の登録要件は次のようになっています。

  • 高卒以上の学歴で、4年以上の常勤による実務経験があること。
  • 10年以内に2年以上の品質マネジメント分野の実務経験があること。
  • JRCAが承認した品質マネジメントシステム審査員研修コースを過去5年以内に修了し、評価と筆記試験に合格していること。

さらに審査員、主任審査員にステップアップするには、審査実績や上級審査員による審査能力の確認など厳しい条件が求められています。

維持審査や登録更新審査などの第三者監査を行なう審査登録機関の審査員は、厳しい資格認定や審査経験を経ています。リスペクトして応対することはもちろんですが、審査結果に疑問や反論がある場合は、苦情や異議申立てなどの制度もありますので納得のいく処置をとるようにしましょう。

まとめ

ISOの監査には第一者監査と第二者監査、第三者監査の3種類があります。第一者監査は内部監査、第二者監査は購買先監査、第三者監査は審査登録機関によるISO認証審査などです。

ISO19011やISO17021-1などで審査内容や審査員の力量・資質などのガイダンスが定められています。それぞれの監査で監査頻度や監査内容の範囲などが異なりますが、要点はISOの要求事項が守られ、有効な成果につながる活動が行なわれているかを監査します。

ISOの監査は人間の体で言えば、定期健康診断と同じです。正常にISOのマネジメントシステムが機能・運営されているかのチェックです。監査の機会を有効に活かしてISOの維持・運用改善につなげましょう。

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