ISOのメリットは?その1:認証取得、導入による企業価値の向上

ISO ISO全般

ISOのマネジメントシステム規格にはいろいろな種類があります。そして、どの規格にしても企業などがその適合認証を取得するのには、組織内での変革や大変な労力などが必要になります。

そのような大きな負担がありながらISOの認証取得を目指すのはなんのためでしょうか。ISOの認証を取得する目的は?得られるメリットは?ISOの魅力とはなんでしょうか。

この記事では、これらの疑問の答えとして以下の項目をわかりやすく解説します。

  • 企業がISOを認証取得する目的はなにか
  • ISO認証取得活動の過程で得られる企業活性化のメリット
  • ISOの導入、運用で得られる企業価値向上のメリット

これからISOの認証取得を計画している方やISOのメリットを把握したい方などのために、ぜひ参考にしていただきたい内容をまとめています。

企業がISOを認証取得する目的は?

ISOを認証取得するには審査費用やコンサルタントとの契約費用などの費用がかかります。それと、なによりもISOを構築するための作業工数、つまり従業員の多額の人件費を割り当てることになります。このような大きな負担があるにもかかわらず企業がISOの認証取得を目指すのは、ISOの認証取得によってそれ以上の価値、メリットが得られると期待しているからでしょう。

一般社団法人日本能率協会の「ISOの取得・運用状況に関する調査」報告書(2018年10月)の中に、企業がISOを取得した理由についての調査報告があります。

ISOを取得した理由は複数回答でのアンケートで次のようになっています。

自社の経営体質やマネジメントのレベルを高めるため 72.9%

取引先や親会社などからの要請があったため 48.8%

営業機会を拡大するため 37.6%

社会的な責務に応えるため 32.9%

自社のブランドや評判を高めるため 32.9%

入札参加時において有利になるため 23.5%

多くの同業他社が取得しているため 10.6%

輸出取引において有利になるため 7.6%                                                                                   その他 2.4%

一般社団法人日本能率協会「ISOの取得・運用状況に関する調査」報告書(2018年10月)~企業がISOを取得した理由についての調査報告

経営体質の強化やマネジメントレベルの向上が第1位で、営業機会の拡大や社会的な責務、ブランド評価の向上など、積極的な会社運営につながる理由、目的も30%以上になっています。品質のISO9001規格に限定すると、経営体質やマネジメントレベルの向上は84.2%にまで高まっています。

企業がISOを認証取得する目的は、経営体質やマネジメントレベルの強化・向上をとおして収益改善はもちろん、企業のイメージアップや社会的貢献を図るためのものと言えるでしょう。

ISO認証取得活動で得られる企業活性化のメリット

ISO認証取得で得られる企業のメリットは、取得前の活動のなかにもあります。審査機関による認証登録を得るまでの活動は、取得という目標に向かって組織の全員が一丸となって熱く取り組まなければ達成できません。

取得活動では取得目標の期日にあわせ、ISOの要求事項を満たすために次のような項目の計画を立てて実践することが多いでしょう。

  • 登録認証機関や外部コンサルタントなどの検討
  • 事務局、内部監査チームの編成や組織改編
  • 必要なマニュアルや手順書、規定などの作成、実践
  • 重点人材の外部研修教育と従業員への社内教育
  • 組織単位、個人レベルでの目的・目標の設定
  • 内部監査や是正処置、マネジメントレビューを含めたPDCAの実践

このような活動のなかで、特に手順書などの内容や教育、目的・目標の設定、内部監査などを実践していくなかで、従業員の間で激しい議論が交わされることがよくあります。そのような熱い議論などをとおして、ISOの求めるところや考え方が従業員一人ひとりのなかに徐々に浸透していくことが期待されます。

逆に、議論もなくいやいやISOの取得活動をやっているような組織では、仮にISOを取得できたとしてもその後の活動の成果には疑問が残るところです。認証取得前の活動は、その後の企業活動の活性化につながる大きなメリットを含んでいると言えるでしょう。

ISOの導入、運用による企業価値向上のメリット

ISOの取得、導入によるメリットには、対外的な信用度の向上や社内的な改善志向の定着など、企業としての価値を向上させる多くのメリットがあります。それらの内容と、ISO取得についての企業の満足度について以下に紹介しましょう。

ISO導入で企業が得られるメリット

企業がISOを認証取得する目的の項で紹介した事項などがメリットとして実現されます。具体的には次のようなメリットが主なものとしてあげられます。

  • PDCAによる継続的改善の実現で、企業体質の改善、強化が図られる。
  • 社会的信用の向上で、取引拡大、売上増加などにつながる。
  • 業務コストの削減と生産性向上などによって収益改善が図られる。
  • 組織内の機能・責任権限が明確化され、業務効率の改善、経営改善が図られる。
  • 管理層のマネジメント能力が強化され、組織内の目的・目標管理が徹底される。
  • 従業員の意識改革によって組織の体質が強化される。
  • リスク管理の強化で、企業の社会的責任やコンプライアンスの徹底が図られる。

これらの企業価値を向上させるメリットは、ISOを要求事項に沿って運用していけば確実に得られるものです。ISO無しにこれらのことを実現することは、よほどの統制などがない限り不可能と言ってもよいでしょう。

ISO認証取得後の満足度は?

一般社団法人日本能率協会の「ISOの取得・運用状況に関する調査」報告書(2018年10月)では、ISOを認証取得後の企業の満足度も調査しています。品質や環境など、ISOの各マネジメントシステム規格についてのアンケート調査結果を下表に示します。

規格種類大変役立っている役立っているある程度役立っているあまり役立っていない役立っていないまったく役立っていない
ISO9001(品質)19.142.628.47.80.70.7
ISO14001(環境)7.135.338.812.94.71.2
ISO27001(情報)23.153.823.10.00.00.0
ISO22000(食品)28.650.014.30.00.00.0
ISO45001(労働安全)10.040.030.010.00.010.0
その他※50.025.025.00.00.00.0
ISOの各マネジメントシステム規格についてのアンケート調査結果

※その他は、医療機器、航空宇宙、ITサービス、道路交通安全、アセット、エネルギーなどに関するマネジメントシステム規格。

この結果から、ISO27001(情報)やISO22000(食品)、あるいは「その他」など、対象業界が限定的な規格は満足度が高いことがわかります。これは、それぞれの規格にその業界特有の要求事項もあり、各企業がそれを反映することで有効な活動ができているからでしょう。

ISO9001(品質)やISO14001(環境)は多くの企業が認証取得しているメジャーな規格ですが、満足度には若干ネガティブな結果も含まれています。現実として認証登録を解除、放棄する企業も散見されています。ISOの要求事項の運用、活用が適切に行われず、メリットを生むまでに至らない場合もあるということを示しているのでしょう。

まとめ

ISOマネジメントシステム規格を認証取得し導入するメリットは、端的に言うと企業価値の向上です。企業がISOを認証取得する目的も、「自社の経営体質やマネジメントのレベルを高めるため」が第一位です。

このISOのメリットは取得前の活動段階からも表れ、取得活動での熱い議論などが組織を有効に活性化させます。ISO取得後の運用では、社会的信用や企業体質の強化などさまざまなメリットが得られます。ISOの要求事項を確実に理解して運用することで、企業価値向上のメリットを大きく引き出しましょう。

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この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

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