ISO取得企業:世界で日本で、多くの企業が認証を取得、その実情を解説

ISO取得企業:世界で日本で、多くの企業が認証を取得、その実情を解説 ISO全般

ISOのマネジメントシステム規格には、品質のISO9001や環境のISO14001などいろいろな種類があります。これらは認証規格のため審査機関による審査を受けて取得証明を得る必要があります。それでは、この認証を取得している企業、組織はどのくらいの数あるのでしょうか?また、何を目的として苦労して企業はこの認証を取得しようとするのでしょうか?

この記事では、ISOマネジメントシステム規格の取得企業数や取得する目的などをテーマとして、次のような項目をもとにして解説します。

  • 国内のISO認証取得企業数とその推移
  • 世界のISO認証取得企業数とその推移
  • 認証取得企業数の日本の順位
  • ISO各規格の産業分野別認証取得企業
  • ISOの要求事項と取得によるメリット

ISOマネジメントシステム規格の認証取得を検討されている企業の方や、業界などの動向に興味をもたれている方などに、参考にしていただきたい内容をまとめています。

ISOの認証取得企業数

ISO認証

ISOマネジメントシステム規格の認証取得件数は、2020年のデータで日本では約8万件弱、世界では200万件強となっています。複数の規格や複数の事業所が取得している会社もありますから、日本では約4~5万社程度が認証を取得している企業と推測されます。総務省と経済産業省のデータでは、日本の総事業所数は約500万で50人以上の従業者を対象にすると約16万になっています。50人以上の事業所を対象としても取得率は2~3割程度にしかならず、ISOマネジメントシステム規格の普及はまだ途上段階とも言えるでしょう。

以下、ISO各規格の認証取得企業数とその推移や世界での日本の順位などについてデータをもとに解説します。

国内のISO各規格認証取得企業数とその推移

国内のISO各規格の認証取得企業数は、日本の認証審査機関を統括する(財)日本適合性認定協会(JAB)の統計から確認することができます。JABの「適合組織検索」では組織名や産業分類などで認証されている企業などを検索することができます。

また、JABでは毎年認証審査機関ごとの各規格の取得件数を公開しています。2020年12月時点のデータなどから2015年以降のISOマネジメントシステム規格の認証件数推移を表1に示します。

表1. ISOマネジメントシステム規格の認証件数推移
~JABマネジメントシステム認証件数(2020年12月31日)などから集計。 ※その他のISO規格には、ISO20000(ITSMS:ITサービス)、ISO39001(RTSMS:道路交通安全)、ISO55001(AMS:アセット)、ISO50001(EnMS:エネルギー)が含まれます。~

2015年には約8万件あった総取得件数が、2020年には約7万件強にまで減少しています。ISO9001やISO14001が減少しているためですが、ISO9001に関してはJABの統計によると2006年をピークにして約25%減少しています。これは認証取得した企業が、維持費用がかさむなどの理由で認証を返上することがあるからです。ISO離れについては関連記事の「ISO離れはなぜ起きるのか?原因と対策を徹底解説」を、また、ISOの認証返上については「ISO認証返上による企業のメリットとデメリットを考える」で詳しく解説していますので参考にしてください。

その他のISO規格は微増しています。2018年に制定された労働安全衛生のマネジメントシステム規格ISO45001はすべての業種に関わる規格なので、今後の認証取得件数の増加が予測されます。

世界のISO認証取得企業数とその推移

世界

世界のISO各規格の認証取得件数は、ISO本部のウェブサイト「ISO Survey」にあるfull Survey dataで確認することができます。各規格の年度ごとの取得件数データが国別、産業別にまとめられています。

ISO9001については1993年から、ISO14001については1999年からのデータがあります。それらのデータから2017年以降の年度ごとのISO各規格の総認証件数推移を表2に示します。

表2 世界のISOマネジメントシステム規格の認証件数推移
表2.世界のISOマネジメントシステム規格の認証件数推移 
~ISO本部ISO Surveyのfull Survey dataのデータから集計~

2020年の総取得件数は約235万件で取得件数が減少する傾向は見られません。上位は品質のISO9001と環境のISO14001、労働安全衛生のISO45001、情報セキュリティのISO27001ですが、特筆すべきは2018年から認証が始まったISO45001です。急速に認証取得件数が増え、数年後にはISO14001を抜いて2位にもなりそうな勢いです。労働安全衛生という全ての業種に関わりのある規格だからでしょう。

また、まだ認証数は少ないですが、贈収賄防止のISO37001や事業継続のISO22301、道路交通安全のISO39001、サプライチェーンセキュリティのISO28000など、日本では認証が進んでいない規格の今後の推移も注目されます。

世界のなかで日本の認証取得件数は

世界のなかで日本のISO規格認証取得件数はどの程度の位置にあるのでしょうか?ISO本部の「ISO Survey」では、各規格の国別取得件数を確認することができます。表3に2020年のISO主要規格取得件数の国別順位を示します。

表3 ISO主要規格取得件数の国別順位(2020年)
表3.ISO主要規格取得件数の国別順位(2020年) 
~ISO本部ISO Surveyのfull Survey dataのデータから集計~

ISOの主要4規格において中国が圧倒的な取得数でトップの座を占めています。日本を始め多くの国の企業が中国に進出し、企業としての信頼性を担保するためにISOの取得を奨励したことも認証取得企業数が増えた理由の一つです。人口比、企業数比からも妥当な数字と言えるでしょう。

日本はISO9001で4位、ISO14001とISO27001で2位、ISO45001では12位となっていて、国際的にも評価される位置付けと言えるでしょう。他は欧州各国が上位を占めていますが、大国アメリカの認証数が少ないのが目立ちます。アメリカファースト、アメリカ第一主義の考え方の影響でしょうか。軍需や航空宇宙などアメリカ主導の規格には厳しい規格があることもあって、ISOに対する評価、必要性があまりないのかもしれません。

産業分野別のISO認証企業数

産業と輸出

産業分野別のISO認証企業数は、JABの統計からもISO本部ISO Surveyの統計からも調べることができます。総務省の日本標準産業分類とは区分けが若干異なりますが、ISOが規定した39分類の業種でのデータを各規格、各年度で得ることができます。

情報セキュリティのISO27001や食品安全のISO22000、医療機器品質のISO13485などはその関連の業種にかたより気味ですが、多くの業種の企業がISOを認証取得しています。以下に主なISO規格の認証取得企業についてまとめています。

ISO9001の認証企業

ISO9001は品質マネジメントシステム規格です。製品とサービスの品質に関わる規格なので、取得企業は製造業が多く、建設業やサービス業などにも広がっています。ISO9001の取得企業については「ISO9001取得企業:製造業だけではない多くの業種の企業で認証を取得」に詳しくまとめていますので参考にしてください。

ISO14001の認証企業

ISO14001は環境マネジメントシステム規格です。活動対象となる環境側面はさまざまな企業活動のなかに含まれているので、取得企業も幅広い業種にわたっています。ISO14001の取得企業については「ISO14001取得企業:環境マネジメントシステムはあらゆる産業が対象」に詳しくまとめていますので参考にしてください。

ISO27001の認証企業

ISO27001は情報セキュリティマネジメントシステム規格です。ソフトウェアなどの情報技術産業が主体ですが、個人情報や機密情報を取扱う出版・印刷業や医療関係、金融・保険業などにも広がっています。ISO27001の取得企業については「ISO27001取得企業:情報技術産業に集中、他の産業でも取得の効果が」に詳しくまとめていますので参考にしてください。

企業が認証取得で求めるものは

企業

日本では7万社以上、世界では200万社以上の企業がISOの認証を取得していますが、取得するには審査のための費用やマネジメントシステムを構築・運用するための多くの従業員の工数が必要になります。なぜ企業は費用や多くの工数をかけてまでしてISOを取得するのでしょうか。それは取得することによって多くの利点、メリットが得られるからでしょう。以下、ISOマネジメントシステム規格が要求する事項と、ISOを認証取得することによるメリットについて要点を説明します。

ISOの要求事項

ISOの各規格は、対象となるマネジメントシステムの分野が品質とか環境など異なるので、その要求事項も異なるところがあります。ただ、2012年に改訂されたISO/IEC専門業務用指針の附属書SLで、ISOマネジメントシステム規格の構造、分野共通の要求事項および用語・定義を共通化することが定められています。

その結果、どのISOマネジメントシステム規格にも共通している要求事項の内容は次の2点に集約されています。

  • 手順や運用方法を明確に定める
  • PDCAサイクルを回して継続的な改善を図る

つまり、業務の手順や運用方法などのルールを手順書や規定などで明確に定め、Plan(計画、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルを回して継続的な改善につなげていくことです。ISOの要求事項については「ISOの要求事項とは?定義から特徴まで徹底解説」で詳しく解説していますので参考にしてください。

ISO認証取得によるメリット

ISO認証取得によるメリットには、認証取得活動の過程で得られるメリットと、認証取得して運用することで得られるメリットがあります。

認証取得活動の過程では、ISOの要求事項に対する対応などで組織間や従業員の間で激しい議論が交わされ、そのことによって企業活動の活性化につながるなどのメリットがあります。また、認証取得することで、対外的な信用度の向上や社内的には社員の改善志向の定着、収益改善、組織体質の強化などが図られるなどのメリットが得られます。構築したマネジメントシステムが効果的に運用されれば、審査費用や従業員の工数などをはるかに超えるメリットが得られることは間違いありません。

ISO認証取得によるメリットについては「ISOの認証取得・運用によるメリットとデメリットは?」で詳しく解説していますので参考にしてください。

ISO取得企業でよくある質問

ISOの取得企業に関連するよくある質問をまとめましたので参考にしてください。

従業員10人ほどの小企業ですが、規模が小さい会社でもISOの取得は可能ですか?
ISOの認証取得について企業の規模は関係ありません。
認証取得している5割以上が100人以下の組織という調査データもあります。
ISOは組織に対して適用される規格なので、法人の会社に限ったことでもありません。組織としてISOが要求するマネジメントシステムの要件を満たしていれば問題はありません。
小規模であっても組織での責任と権限、管理方法などが明確で確実に運用されていることが重要です。

単独の企業ではなく、共同企業体や事業組合のような形態でもISOは取得できますか?
取得できます。
商店街や清掃事業組合などでISO14001を取得して活動しているところもあります。
参画する会社や店舗など組織の認証取得範囲が明確で、マネジメントシステムの要件が満たされていることが前提です。

大手企業の下請け会社ですがISO取得費用の負担が大変です。ISO取得費用の公的な補助制度のようなものはないでしょうか?
国としての補助制度はありませんが、都道府県、市町村区で補助制度があるところがあります。
所在地の行政の商工関係部門や中小企業支援センターなどで確認してみてください。
審査費用やコンサルティング費用、教育セミナー費用などの実費の1/2、上限50万円程度のところが多いようです。ほとんどが認証取得を条件としているので、頑張って取得を勝ち取りましょう。

まとめ

ISOマネジメントシステム規格は認証規格であるため、審査機関による審査を受けて取得証明する必要があります。日本では約8万件弱、世界では200万件強の認証取得している企業などの組織があります。品質のISO9001や環境のISO14001が多くを占めていますが、労働安全衛生のISO45001や情報セキュリティのISO27001も認証件数が増えてきています。日本は主要規格で中国に次ぐ上位の取得件数に位置していますが、ISO9001やISO14001は認証を返上する企業も増えています。

企業がISOの認証取得する目的は、対外的な信用度の向上や社内的な改善志向の定着、収益の改善、組織体質の強化などが主なものです。ISO取得のメリットが確実に得られるように、構築したマネジメントシステムを要求事項に沿って効果的に運用するようにしましょう。

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