SDGsへの取組みにISOを活用するには?その内容と活用の手順などを解説

SDGsへの取組みにISOを活用するには?その内容と活用の手順などを解説 ISO全般

SDGs(エスディージーズ)という言葉を最近よく聞くようになりましたね。持続可能な開発目標の略語ですが、どのようなものか理解できていない人も多いのではないでしょうか。また、所属している企業や組織でSDGsに取組んでいることもあるでしょう。もしその組織がISOのマネジメントシステム規格を取得、運用しているなら、それがSDGsの取組みに活かされているかを確認してみましょう。 SDGsとISOは密接な関係があります。この記事では、SDGsの取組みにISOを活用する方法を、SDGsの内容やSDGsとISOの関係などを含めて以下の項目を中心にして詳しく解説します。

  • SDGsの内容と歴史的な背景
  • ISO規格制定でのSDGsの関わり
  • SDGsの実施指針SDGコンパスとPDCAの関係
  • ISOマネジメントシステムでSDGsに取組む方法
  • ISO14001(環境)でSDGsを取込む方法
  • ISO26000(社会的責任に関する手引き)の活用

SDGsの知識を得たい人や、SDGsの取組みにISO規格を活用することを検討している組織の人などに参考にしていただきたい内容をまとめています。

SDGsとは

2015年に国連サミットで「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。30頁以上にわたるアジェンダですが、このなかで掲げられているのがSDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals)、「持続可能な開発目標」です。国連加盟の193カ国が2016年から2030年までの15年間で、人々が人間らしく暮らしていくための社会的基盤を確立することを掲げた開発目標です。以下、その内容などを解説しましょう。

17の目標と169のターゲット、232の指標

SDGsは貧困や飢餓、健康、教育、エネルギー、気候変動、人権など、17の課題についての目標が提示されています。図1に17の目標がピクトグラム化された国連のポスターを示します。

図1.SDGsの17の目標
図1.SDGsの17の目標(出典:国連広報センター

この17の目標にはその課題ごとに169のターゲット(達成基準)と232の評価指標が設定されています。例えば目標1の「貧困をなくそう」では、「1日1.25ドル未満で生活する極度の貧困層を世界からなくす」、「適切な社会保護制度と対策を実施し、貧困層および脆弱層に十分な保護を達成する」などの7つのターゲットが設定されています。このターゲットに対してそれを評価するために、「国際的な貧困ラインを下回っている人口の割合」や「社会保障制度で保護されている人口の割合」などの10の指標が示されています。

17の目標と169のターゲット、232の指標については、国連統計部のサイトに掲載されている情報を総務省が仮訳した資料が公開されています。SDGsが掲げる目標のことはおおよそ知っていても、169のターゲットや232の指標まで見たことがあるという人は少ないのではないでしょうか。一度目を通せばSDGsの全体像が見えてきますので、是非確認してみることをおすすめします。

国連で採択されたSDGsは、地球上の誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のために設定された目標です。その実現の担い手は発展途上国のみならず、先進国も積極的に取組む必要があり日本も様々な取組みを行なっています。もちろん国主導の取組みだけでなく、企業など組織の自発的な取組みが目標達成には非常に重要です。SDGsの目標などの内容を確認して、個人や所属する組織などがどのように関わりをもてるかの検討が必要です。

日本政府の取組みや企業、自治体、NGO、教育・研究機関、メディアなどの取組み事例、ジャパンSDGsアワードの情報などが、外務省のJAPAN SDGs Action Platformのサイトで紹介されていますので参考にされると良いでしょう。

SDGsはMDGsの後継-MDGsの成果は

世界の貧困

次項以降でSDGsの歴史的な背景についても触れますが、SDGsには前身となるMDGsという目標がありました。MDGs(Millennium Development Goals)は2000年の国連ミレニアム・サミットで採択された2015年までの達成を掲げたミレニアム開発目標です。2015年に達成期限を迎えたので、MDGsに代わる世界の開発目標として新たにSDGsが定められたのです。

MDGsは貧困と飢餓の撲滅や初等教育の完全普及、ジェンダー平等推進と女性の地位向上、乳幼児死亡率の削減、エイズなどの疾病蔓延防止など8つのゴールを掲げていました。その活動の結果、得られた成果には次のようなことが挙げられます。

  • 10億人以上が極度の貧困を脱出
  • 学校に通えない子供数が半分以下に減少
  • 子供の死亡率が半分以下に減少
  • エイズ感染件数が約40%減少

SDGsはMDGs活動を踏まえ、さらに新たな領域の課題も加えて策定された目標です。MDGsでは先進国主導になりがちな活動でしたが、SDGsは先進国と途上国が一丸となって達成すべき目標で構成されていて、より大きく確実な成果の実現が期待されます。

SDGsとISOとの関わり

SDGsは2015年に国連で採択された活動ですが、ISOとの関わりを知るにはそれより以前のSDGsのもとになった歴史的な背景を確認する必要があります。SDGsのもとになった活動のなかで、ISO規格制定の要請があったことなどを以下に紹介しましょう。

SDGsの歴史的な背景

ストックホルム_パレス_昼風景

SDGsのように世界の、地球の将来について心配し始めたのはいつ頃からのことでしょうか。1972年に世界的に著名な民間シンクタンクのローマクラブが、このまま人口増加や環境汚染が続くと、あと100年で地球の成長は限界に達するという警鐘「成長の限界」を世界に示しました。同じ1972年に国連が、環境問題に特化した「国連人間環境会議=ストックホルム会議」を開催して「人間環境宣言=ストックホルム宣言」を採択しました。そのなかで、開発と環境保護の調和の必要性を強調しています。

1980年に「持続可能な開発」という概念が、国連の機関と国際自然保護団体がまとめた「世界自然資源保全戦略」で初めて打ち出されました。また、1983年に国連が設置した「環境と開発に関する世界委員会」は「2000年以降において持続可能な開発を達成するための長期的環境戦略を提案すること」をミッションとしていて、1987年に「我々の共通の未来」という報告書を国連総会に提出しました。そのなかで定義した「持続可能な開発」の原則が初めて国際的な認知を得て誕生し、使われるようになりました。この「持続可能な開発」の定義にはいくつかの和訳がありますが、外務省のサイトにある以下の引用文が最も解りやすいように思えます。

将来の世代の欲求を満たしつつ,現在の世代の欲求も満足させるような開発

外務省サイトより(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/sogo/kaihatsu.html)

1992年の「地球サミット(リオサミット)」では、現在の持続可能な開発に関する行動の基本原則となる「リオ宣言」と、その実行の行動綱領となる「アジェンダ21」が採択されました。また、1997には地球温暖化への世界的な協調の取組みとなる「京都議定書」が採択されました。

その後、2000年に前項で示したミレニアム開発目標のMDGsが採択されました。2012年には1992年の「地球サミット」から20年を経て「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催されて持続可能な開発目標SDGsの議論が始まり、2015年にSDGsがMDGsの後継となる目標として採択されました。

ISO規格制定でのSDGsの関わり

地球サミット

ISOの規格制定でSDGsの関係から大きな影響を受けたのはISO14001です。1992年の地球サミットの時に創設された「持続可能な開発のための経済人会議」が、ISOに対して環境についての国際規格策定の取組みを行なうように要請したのが発端です。

1992年に英国で発表された環境マネジメントシステム規格BS7750や、1993年に施行された環境マネジメント・監査制度EMASなどの内容が検討され、1996年9月にISO14001が発行されました。

2010年に発行されたISO26000(社会的責任に関する手引き)は、SDGsの内容に関連した部分が多くありますが、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の観点から制定されていて、SDGsに関連する組織などからの影響は見受けられないようです。

SDGsへのISOマネジメントシステムの活用

SDGsの活動にISOのマネジメントシステムをどのように活用していけばよいのかを見てみましょう。SDGsの実施指針であるSDGコンパスとISOの基調であるPDCAとの類似性や、SDGsと最も関係が深いISO14001での取込み方法などを以下に紹介します。

SDGコンパスは、SDGsに企業がどのように取組むべきかを国連の機関などが共同でまとめた企業行動指針です。内容は、SDGsおよびSDGコンパスの概要と、図2に示すSDGsを導入するための5つのステップの解説で構成されています。

図2.SDGコンパスの5つのステップ
図2.SDGコンパスの5つのステップ(出典:SDG Compass日本語版、p.5より)

企業がSDGsを導入するためのステップは、図2に示すように次の5つのステップで構成されます。

1.SDGsを理解する

2.優先課題を決定する

3.目標を設定する

4.経営へ統合する

5.報告とコミュニケーションを行う

SDG Compass日本語版から引用

このなかで、ステップ2~5はサイクルで循環していきますが、これはISOのマネジメントシステムにおける運用の基本となるPDCAに類似しているとも言えます。4の「経営に統合する」の内容は、持続可能な目標を企業に定着させ、全ての部門あるいはパートナーシップに持続可能性を組込むことで、ISOの運用、評価に相当する部分です。2の「優先課題を決定する」がPDCAのActionに相当すると言えるでしょう。

PDCAサイクル

ISOマネジメントシステムの目標設定にSDGsを

SDGsの取組みにISOを活用するには、ISOマネジメントシステムの活動目標にSDGsの目標を設定して運用するのが良いでしょう。環境省がまとめた「すべての企業が持続的に発展するために-持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド-資料編」には、17の目標に対する具体的な取組事例が紹介されています。その他、活用ツールや参考情報、公的支援の紹介などもまとめられていますので参考にすると良いでしょう。

また、ISOの各規格がSDGsのどの目標に関与して貢献できるのかについては、ISOの中央事務局が作成し日本規格協会が対訳した「ISO & SDGs」があります。企業や組織でSDGsの目標設定を検討する時の参考になるでしょう。

ISO14001でSDGsを取込む場合は

ISOのマネジメントシステム規格のなかでSDGsと最も密接な関係にあるのは環境のISO14001です。前述したようにISO14001の規格策定の発端となったのが、SDGsに関連した組織からの提案です。また、ISO14001の序文の0.1項(背景)には、この規格が持続可能な発展を目指し、資源を効率的に活用して循環型社会を形成するための取組みを行なうためのものであるという主旨が示されています。品質のISO9001の序文にも、品質マネジメントシステムの採用は、持続可能な発展への取組みのための安定した基盤を提供できるとしていて、ISOマネジメントシステム規格の基本概念にSDGsの理念が取込まれていることが解ります。

ISO14001がSDGsのどの目標に貢献できるかは、ISOの公式サイトに公表されている「UN Sustainable Development Goals – can ISO 14001 help? – Yes!」で表明されています。このなかで、SDGsの17の目標のうちNo.1(貧困)、2(飢餓)、3(健康・福祉)、4(教育)、6(水とトイレ)、7(エネルギー)、8(労働と経済)、9(インフラ)、12(生産と消費)、13(気候変動)、14(海の豊かさ)、15(陸の豊かさ)の12の目標でISO14001が貢献できると示しています。

ISO14001での目標設定は、「組織及びその状況の理解」のなかで「外部及び内部の課題」、「利害関係者のニーズ及び期待」などから「リスクと機会」を勘案抽出して設定しますが、SDGsのような社会からの期待に基づく目標で組織の課題などに合致するものを目標に掲げるのが良いでしょう。ISOのマネジメントシステムのPDCAを回して運用すれば、より確実な成果が得られます。

環境問題

ISO26000(社会的責任に関する手引)の活用も

ISO26000は2010年に制定された組織の社会的責任に関する規格で、2012年にはJIS Z26000:2012(社会的責任に関する手引:Guidance on social responsibility)としてJIS化されています。ISO9001のような認証規格ではないので登録の審査などはありません。組織が社会的責任を実践していくうえでの手引き、ガイダンスとして定められている規格です。

貧困や環境破壊など様々な社会問題が深刻化しているなか、組織にはCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が求められ、持続可能な社会への貢献に責任があると考えられるようになっています。その実践の規範となるのがISO26000です。

ISO26000の中心となる内容は、組織が尊重すべき社会的責任の7つの原則と、取組むべき社会的責任の7つの中核主題で構成されています。

【7つの原則】

  • 説明責任
  • 透明性
  • 倫理的な行動
  • ステークホルダーの利害の尊重
  • 法の支配の尊重
  • 国際行動規範の尊重
  • 人権の尊重

【7つの中核主題】

  • 組織統治
  • 人権
  • 労働慣行
  • 環境
  • 公正な事業慣行
  • 消費者課題
  • コミュニティへの参画及びコミュニティの発展

SDGsの目標に重なる領域が多いことに気付かれるでしょう。このなかには、SDGsの目標に直接的に影響を及ぼす450を超える推奨事項が含まれています。SDGsやISOの目標などを設定する時、ISO26000を活用することを検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

SDGs(持続可能な開発目標)は、国連加盟の193カ国が2030年までに人々が人間らしく暮らしていくための社会的基盤を確立することを掲げた開発目標です。17の分野での目標と169のターゲット、232の評価指標が設定されています。SDGsはISOと密接な関係があり、ISO14001の規格制定にもSDGsの関連組織が関与しています。SDGsに取組む際の実施指針であるSDGコンパスも、ISO運用の基本となるPDCAの手法に非常に似ています。ISOの目標設定にSDGsを組み入れてPDCAを回して運用することによって、より確実な成果が得られるでしょう。SDGsの取組みを、より効果的な活動にしたいと悩むことはありませんか。そんな時にはISOを活用することを検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いたライター
hikaruta

ISO9001:94年版での認証取得に関わって以来、ISO14001や医療機器品質のISO13485の認証取得・運用に深く携わり、ISOに翻弄、鍛えられたビジネスライフを経験。一線を退き、反省なども込めてISOを見つめ直しています。

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