HACCP義務化と飲食店について解説 どんなことに注意すべきか?罰則はあるのか?

HACCP義務化と飲食店について解説 どんなことに注意すべきか?罰則はあるのか? HACCP

本日は飲食店のHACCP義務化対策について解説します。

大手食品メーカーであれば、これまでにHACCPやISOの審査を受ける機会も多く、今回のHACCP義務化に対してもそう慌てずに対策を打つことが出来るかと思いますが、大変なのはHACCPと馴染みの薄い飲食店ではないでしょうか?今回の感染症騒動で経営状況が厳しい飲食店事業者も増えており、HACCPの構築にもできるだけお金はかけたくないというのが本音だと思います。

そこで今回の記事では以下の方を対象にしています。

  • HACCP義務化対策の具体例が知りたい
  • HACCP義務化では店舗をどこまで改善すべきか

それでは記事で解説して行きます。

飲食店のHACCP対策は何をすべきか?

飲食店のHACCP対策では、店舗をどこまでの状態にしておくべきか気になるところです。結論から言いますと、飲食店のHACCPは、その考え方を取り入れた衛生管理に則れば問題ありません。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理とは、大手食品メーカーが実施している様な、それに沿った衛生管理とは異なるもので、飲食店などの小規模事業者向けに弾力的な管理項目を設けて作成されたものです。なぜこのような基準の違いが生じるのか、その理由はすべての食品提供者がHACCPに沿った衛生管理に対応できるわけではないからです。詳細については以下記事で詳しく解説しているので、ご参照ください。

【HACCPの考え方を取り入れた衛生管理とは?対象となる組織について解説】

飲食店のHACCPはどこが確認しに来るのか?

飲食店のHACCP構築状況は保健所が確認に来ます。 規模の大きい食品工場は、節目で保健所とやりとりをすることがあると思いますが、これは小規模事業者や飲食店にも該当します。具体的に飲食店では営業許可の取得時や届出の際などのタイミングで立ち入り確認をされることがあると思いますが、その時にHACCPの構築状況も同時に確認されることになります。

飲食店のHACCP構築状況はどのような点を確認されるのか?

大手の食品メーカーと飲食店などの小規模事業者ではHACCP対策の状況を確認される項目は異なります。

以下でそれぞれ確認される項目の違いを解説します。

大手食品メーカーとの確認内容の違い

飲食店などの小規模事業者と対比するために、大手食品メーカーの例を解説します。

大手食品メーカーの場合、既にHACCPを第三者機関により認証を得ている場合が多いかと思います。私がメーカーにいた頃に受けた保健所の定期審査では、製造している商品をランダムで抜き取り検査されたことがありました。

抜き取り検査の詳細は、商品の一般生菌数の検査とアレルゲンのコンタミネーション(以下略:コンタミ)の有無や、工場内での衛生管理対策がきちんとなされているか?について現場の状況を確認されました。また現場確認の後には、書類の確認も行われ、製造日報の提出や危害地図を元にラインの清掃結果を確認してアレルゲンのコンタミリスクを判定されたり、と3時間ほど時間を要しました。

飲食店などの小規模事業者の場合

飲食店や小規模事業者の場合は、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理が出来ているかを確認されるので、大手食品メーカーほどの準備をする必要はありません。保健所による確認なので第三者の認証機関による審査とは異なり、HACCP認証をもらえることはありません。

保健所によるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理に基づいて、衛生管理計画の作成や実践が正しく運用されているか監視・指導が行われます。具体的には以下の点を監視・指導されることになります。

・食中毒菌が死滅するまで加熱しているか?

・冷蔵保管が必要なものは冷蔵保管しているか?

・保管温度の順守以外に原料の取り扱い状況は悪くないか?

・営業するにあたり必要な手順を踏んでいるか?

以下で解説していきます。

食中毒菌が死滅するまで加熱しているか?

食中毒防止の観点から、肉などを食中毒菌が死滅する温度まで加熱調理することは最低限抑えておくべきことですが、加熱工程など食品安全上基本となる工程がしっかり出来ているかを確認されます。なぜこのような基本的なことを確認するのかというと、日本に様々な食文化が根付き、調理方法にも変化が出始めたからです。

一昔前までは街の飲食店は、日本人に馴染みのあるメニューが提供されており、メニューにはしっかり火が通されたものが殆どでした。最近は飲食店も欧米の伝統的な調理方法を取り入れており、美味しさを追求する目的で火の通しが弱いメニューも存在します。

美味しさの追及は時として食中毒のリスクを高めてしまうこともあり、肉をレアで食べる国にサルモネラ菌やカンピロバクターの食中毒が多いのはこの為です。

保健所のチェック項目によっても様々ですが、保健所が調理方法に危険を感じた場合には指導が入ることがあります。

冷蔵保管が必要なものは正しく管理されているか?

冷蔵保管が必要な原材料については、適切な温度で冷蔵保管されているのか確認されます。

例えば加熱される前の生肉や魚介類などが長時間常温に放置されていないか、牛乳などの腐敗しやすい食材の取り扱いが適切か否かといった内容です。原材料の温度管理は特に重要で、飲食店でなくとも家庭でも適切な温度で管理しなかった場合に食中毒が発生する可能性があります。自分たちのお店を守る上でも原材料の温度管理はしっかりしましょう。

保管温度の順守以外に原料の取り扱い状況は悪くないか?

原材料は温度管理以外に取り扱い状況も重要になります。

例えば処理前の原材料が床に長時間置かれていたり、加熱調理後の食材が地面に近い位置に置かれている場合は注意が必要です。理由は、作業中の水撥ねや床に落ちたチリや埃が食品に混入して2次汚染や異物混入に繋がるからです。

最近特に怖いのが不快害虫の混入です。飲食店は食品工場と異なり、異物を落下させるためのエアーシャワーもついていなければ、入り口と厨房が同じ空間にあることも多く、不快害虫の混入のリスクが非常に高いので注意が必要です。

過去に不快害虫が商品に混入していたことがSNS拡散されるニュースが報道されましたが、風評被害は大手食品メーカーでも工場閉鎖や倒産に追い込まれるくらいの破壊力を持っていますので注意したいところです。

営業するにあたり必要な手順を踏んでいるか?

次に営業に必要な手順を踏んでいるかという点ですが、営業許可の取得や法律で義務付けられている届出がきちんとされえいれば問題ありません。

営業許可の申請には店内レイアウト図や食品衛生責任者の資格証明書など準備すべき書類があります。また、深夜12時以降にお酒を提供する飲食店であれば、管轄の警察署に深夜酒類提供飲食店営業開始届出書の提出が必要になりますので、こういった法令事項は遵守しましょう。

これまで保健所の確認事項について解説してきましたが、確認に来る保健所の方も様々な方がいます。

過去に食品メーカーや飲食店で経験を積まれた方もわずかにいますが、ほとんどは食品業界で働いたことのない方です。知見の多い保健所の担当者でしたら的確なアドバイスが貰えると思いますが、そうでない場合はお店の衛生管理が脆弱になってしまうというリスクがあります。お店のHACCP運用状態に不安を感じる方は、保健所でも衛生管理に詳しい方を紹介して頂いたり、コンサルタントに相談するなどして盤石な体制を整えておくことをおすすめします。

ISO認証取得支援コンサルタントの相談できる内容、費用感など詳細はこちらをご参考ください。【ISOのコンサル会社がサポートする内容は?コンサルタントを活用してISOを取得・運用する背景

飲食店がHACCP義務化に対応できない場合の罰則について

HACCP義務化に対応できない場合に罰則はあるか否かですが、結論から言うと問題があってもすぐに営業停止にはなりません。HACCP義務化に対応できない場合の営業停止になるまでの流れは、以下の様になります。

・衛生管理計画の提出

・衛生管理計画書に記載した通りに行われているか確認

・衛生管理計画の策定・順守を行わない場合はまずは行政指導

・改善が認められるまで営業停止の行政処分が下される

それでは以下で解説して行きます。

・衛生管理計画の提出

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理が出来ているのかを確認するために、衛生管理計画の提出を要求されます。衛生管理計画とは、事業所内でどの様な衛生管理をしているのかをまとめたものになります。

衛生管理計画書は大きく2つのパートに分かれており、1つは一般衛生管理の部分で、もう1つはHACCPの考え方を取り入れて重点的に管理する部分です。特に提供する食品の種類の多い飲食店については、以下の様に商品グループを分けて管理することで、HACCPの考え方を取り入れ易くなるでしょう。

詳細は図1.食品グループ分けのポイントを参照してください。

図1.食品グループ分けのポイント

どの様に衛生管理計画書を作成すればいいか分からない場合は、厚生労働省のウェブサイトに、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書が入っておりますので、参考にされると良いでしょう。自分の業界に近い手引書を参照し、自組織の管理方法に合わせて活用してみてください。

衛生管理計画書に記載した通りに行われているかの確認

次に衛生管理計画書に記載された通りの運用が行われているかを確認されます。確認されるタイミングは衛生管理計画書を提出した次の保健所立ち入り時に確認されることが多いです。

衛生管理計画書に記載した通りの運用を確認する際のポイントは、計画書の必要事項を埋めるだけでなく、実際に運用できていることが重要になります。

衛生管理計画の策定・順守を行わない場合はまずは行政指導

衛生管理計画の策定と遵守が行われない場合は、まずは行政指導が行われます。 保健所の定期立ち入り検査の他に、消費者が保健所に「この食品食べて体調が悪くなった」などの情報が何度か保健所に入った場合、取り扱う食品の種類に関わらず保健所が立ち入りに来ることはあります。

改善が認められるまで行政処分

行政指導にも従わず、人の健康を損なう食品を提供した場合、もしくは危険な食品を提供する可能性がある場合、改善が認められるまで営業停止などの行政処分が行われることがあります。

飲食店用のHACCPの手引書はあるの?

多くの方が疑問に思われるのは、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を具体的に飲食店でどうやって取り入れるのかということでしょう。これには、上記の衛生管理計画を策定した際に使用した厚生労働省の手引書が参考になります。厚生労働省のHPを参照したり、まだ手引書が完成していない業態は、保健所の方やコンサルタントに相談して情報を集めてみましょう。

HACCP運用は組織を守ることに繋がる

HACCPを運用することは組織を守るためにもおすすめです。例えば、HACCPを運用することはクレーマーの様な悪意のある消費者への対策にもなります。

HACCP運用で取得した温度データなどは、クレーマーに経緯を説明する際の証拠として提示することもできますし、製造ロットを特定しておくことは、実際に同じ時間に製造された商品から同様のクレームが出ていないという証拠にもなります。

大体のクレーマーは組織がデータを持っている事実が分かれば納得することが多いですが、納得せずに商品を保健所に持っていく人もいます。

その場合、事業者は保健所から確認を受けることとなってしまいますが、HACCP運用によりデータ記録を行っていて、また同じロットの内容に問題がないと判断されれば、安全な食品提供を裏付けることができるのです。

この様に、HACCP運営に必要となるデータを持っておくことは食品提供者側にとっても重要になりますので、是非記録しておきましょう。

私自身かつてはクレーム対応の仕事をしていたこともありますが、これまでHACCP用に取ったデータにどれだけ助けられたか分かりません。

まとめ

HACCP義務化に向けて、飲食店の方々も準備を進められているかと思います。

最近ではコロナウイルスの影響で、これまでの営業形態に加えてテイクアウトを始める飲食店も増えており、商品の管理が消費者任せになる機会も増えてきました。

そうなると、店舗内での商品の取り扱いはよりしっかりしておきたいですよね。

今回の義務化を機にHACCPに取り組んでみましょう。

ISOナビでは月額4万円から取得・運用を完全サポートしております。

HACCPやISMS、Pマーク、ISO9001をはじめとする各種規格の新規の認証取得から更新・運用までサポートしております。

業界最安級の月額4万円からご利用いただけ、対応工数のゼロ化を実現します。

まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いたライター
久坂精一

品質管理として社内の様々な事業部のISO22000、HACCP取得に向けて取り組みをしてきました。
現在は商品開発を担当。
趣味は学生の頃から継続しているマラソンで、2時間30分台が目標です。

久坂精一をフォローする
HACCP
ISOナビ
トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました