HACCPの具体例について解説!各HACCP基準での運用はどうすればいい?

HACCPの具体例について解説!各HACCP基準での運用はどうすればいい? HACCP

HACCPの具体的な取り組み例は食品工場と飲食店で異なります。この違いは食品工場と飲食店で課される基準が異なることで起きる違いで、食品工場などの大量調理施設には基準Aが適用され、飲食店には基準Bが適用されます。各基準でHACCPの適用手順や必要書類や加熱調理や冷却など重要管理の確認方法に違いがあります。この記事で各基準の違いと具体的ついて解説して参ります。

食品工場などの大量調理施設に適用される基準

HACCPの具体例について解説!各HACCP基準での運用はどうすればいい?

食品工場などの大量調理施設は基準Aが導入されると述べましたが、基準AではHACCPに基づいた衛星管理にを求められます。具体的なHACCP導入の進め方としては7原則12手順に基づいて導入を進めていく形になります。CCPは測定方法や基準を数値で記録することが必要されており、科学的根拠を元にCLを設定する必要があります。

食品工場などの大量調理施設のHACCP具体例

食品工場などの大量調理施設でのHACCP導入方法な7原則12手順に基づいて行いますが、大きく以下の3点がポイントになります。

  • 原材料の受け入れ、下処理段階の管理
  • 加熱工程、冷却工程の管理
  • CCP工程後の温度管理

以上をCODEX基準の一般衛生管理とCCPでコントロールしていく形になります。ポイントについて以下記事で解説していきます。

原材料の受け入れ、下処理段階の管理

新鮮な野菜の原材料

原材料の受け入れから下処理段階の管理は危害を取り除く上で非常に重要になります。原材料の受け入れについては、納入した原材料の状態確認や原材料に問題があった場合の対応を組織で決めておく必要があります。また、入庫した原材料を適切な保管条件で管理してスムーズに先入れ先出しすることもポイントになります。また、日々の生産計画から入庫量をある程度予測する力量も必要になってきます。

原材料の処理については、小石や砂を取り除くための野菜類の洗浄、包丁など処理に必要な調理機器の始業・終業時の欠けの確認などが食品安全上重要になってきます。また、肉や魚など調理段階に入る前に骨やミートスポットなどの異物を取り除いておくことも重要になります。

加熱工程・冷却工程の管理

下処理した具材を加熱・冷却する工程でも各基準で管理方法が異なります。基準AではHACCPに基づいた衛生管理になり、C科学的根拠に基づいてCLを設定し、監視・記録する必要があります。また、CLを逸脱した時の修正処置などを具体的に設定する必要もありますので、HACCPプランをしっかり立てて運用していく必要があります。また食中毒防止の観点から冷却工程にもCLを設定する必要があり、具体的な基準として30分以内に20℃以下かつ1時間以内に10℃以下まで品温を下げる必要があります。

CCP工程後の温度管理

CCP工程後の温度管理も重要です。CCP以降は既に危害が取り除かれた後の仕掛品となるので、温度管理や二次汚染対策が重要になります。温度管理は逸脱がないようにモニタリングする必要がありますし、2次汚染対策には日々の清掃や手指の消毒など従業員の食品安全意識を高くしておく必要があります。また、交差汚染対策については発生しがちな個所を特定して現場で手袋交換、アルコール消毒など具体的な対策を講じておく必要があります。

飲食店などに適用される基準

飲食店に対しては基準Bが適用されるので、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理に取り組むことになります。基準Aとは異なり、7原則12手順に基づいて導入する必要はないですが、食中毒防止のために食材の管理を種類ごとに分類したり、重要管理すべき箇所は確認基準を設ける必要があります。

ハンバーグ店など調理が完了しないまま提供する店舗は注意が必要

ハンバーグ料理

飲食店の管理で難しいのが、ハンバーグなどの最後の調理を消費者に任せる場合です。具体的には熱した鉄板でハンバーグなどを提供して消費者に焼かせる場面です。焼き上がりがレアであった場合は中心部まで火が通っていないので、食中毒菌が死滅しないまま消費者が喫食することになります。また、ナイフやフォークも肉の中心部に触れることで汚染されてしまい、生肉を取り扱う包丁を食卓に並べるのと同じことになり危険です。必ず提供するメニューは食中毒菌が死滅する条件まで加熱しましょう。

飲食店のHACCP具体例

飲食店のHACCPでは基準Aまで細かい管理は要求されません。しかし安全な食品を提供する目的で以下のものが必要になってきます。

  • 衛生管理計画の策定
  • 計画に基づく実施
  • 確認・記録

以下記事で具体例を解説していきます。

レストラン

衛生管理計画の策定

飲食店の衛生管理計画の策定には具体的にCLを設けてCCP管理を行う様なことはしません。その代わりに食品安全の確保のために以下の内容を決めることになります。

  • 一般衛生管理
  • 重要管理ポイントの明確化

以下で解説していきます。

一般衛生管理

飲食店の衛生管理計画の策定では一般衛生管理を決める必要があります。ここは基準Aと同じくルールを明確にする必要があり、従業員がいつ行うか、どうやって行うか、問題があった時の対処方法を決めておく必要があります。つまり一般衛生管理をどうやって行うべきかを誰でも分かるようにしておくということです。具体的に作成するものとして、以下のものが挙げられます。

  • 原材料の受け入れ基準や温度管理基準
  • 交差汚染や二次汚染対策
  • 器具や製造機器の洗浄殺菌
  • トイレの洗浄
  • 従業員の健康、衛生管理
  • 衛生的な手洗いの実施

以下で解説していきます。

原材料の受け入れ基準や温度管理基準

原材料の受け入れ基準や温度管理基準には従業員が確認しやすいような基準を設けると良いでしょう。具体的には受け入れした原材料の確認ポイントと返品基準が分かるようにしておくことや、原材料をどの温度条件で保管するかを明確にすることもポイントです。各原材料が常温・冷蔵・冷凍どの温度帯に保管するのかをしっかり分類しておきましょう。

交差汚染や二次汚染対策

基準BではCLによる管理はありませんが、調理などCCPを取った半製品についてはより衛生的な取り扱いが必要になります。具体的には二次汚染や交差汚染が発生しないように注意する必要があります。具体的な対策としては従業員の手洗いや衣服交換、包丁やまな板の使い分けが挙げられます。特に調理機器は加熱前の処理で使用するものと、加熱後の具材を処理するものを管理する必要があります。

包丁
器具や製造機器の洗浄殺菌

器具や製造機器の洗浄殺菌は食品の二次汚染に大きく関係するので重要です。可能であれば清掃方法を決めた後に、ふき取り検査を行って清掃の妥当性を確認すると良いです。現実的な洗浄殺菌の確認方法は、食品残渣が残っていないか、製造機器から食品のにおいがしないかなどの具体的なチェックが必要になります。また確実に所定の洗剤や消毒液を従業員が使用できるために、ボトルを分かりやすく分けておくなどの工夫が必要になります。

トイレの洗浄
トイレ

食品安全においてトイレを清潔に保つことは非常に重要です。理由はトイレが汚いと大腸菌を工場内に持ち込むリスクが高まるからです。糞尿は私たちが思っている以上に衣服に飛沫しており、その状態で現場に戻れば糞尿も一緒に持ち込むことになり二次汚染につながるのです。二次汚染を防止するために、上着を脱いでトイレに入ることも効果的です。衣服管理だけではなく、人が手を触れそうな場所をアルコールや次亜塩素酸ナトリウムでふき取り殺菌しておくことも有効です。特に次亜塩素酸ナトリウムはノロウイルスなどのウイルスにも有効ですのでふき取りに積極的に利用しましょう。

従業員の健康、衛生管理

従業員の健康や衛生管理にも注意しておく必要があります。従業員が食中毒菌に感染していた場合は手から食品を介して消費者の元まで食中毒菌が行ってしまうからです。ノロウイルスの食中毒は過去に会社の倒産にまで繋がった事例があります。従業員には出社時の体調管理基準を伝えておき、体調がすぐれない時には出社しない様にしましょう。また、衛生管理についても従業員を十分に教育しておく必要があります。交差汚染対策や器具の洗浄殺菌、食材の取り扱い方法など飲食店で決めた方法があればそれを順守させましょう。

衛生的な手洗いの実施
手を洗う衛生管理

二次汚染が最も発生しやすいのは人の手からです。二次汚染を防止するためにも、衛生的な手洗いの具体的方法や、手洗いを行うタイミングを決めておきましょう。一般衛生管理の例が図1.一般衛生管理確認表になります。

図1.一般衛生管理確認表
図1.一般衛生管理確認表

組織の運用に合わせて作成してみてください。

重要管理ポイントの明確化

飲食店での衛生管理計画の策定には重要管理ポイントの明確化があります。基準Aのように具体的な数値まで設ける必要はありませんが、食材を以下の3種類に分けて考えることで食品の安全を確保しようとするものです。

非加熱のもの(食品を冷たいまま提供)
サラダ

非加熱のものに分類される食品には、前菜で使用するサラダや刺身など、冷たい状態で提供するメニューが該当します。提供方法としては作った段階ですぐに提供するか、予め作ったものを冷蔵庫に保管して提供するものが具体例です。この食品の注意点は専用の冷蔵庫で保管し、清潔なもののみが入っている冷蔵庫で保管するというものです。清潔品専用とすることで、二次汚染を防ぐことができるのです。

加熱するもの(食品を加熱し、あついまま提供)

加熱するものに分類される食品には、加熱調理してそのまま提供するメニューが該当します。具体例としてはハンバーグやステーキ、ぶりの照り焼きなどが挙げられます。これらは中心までしっかり熱がかかるまで加熱する必要があります。食中毒菌は75℃で1分間以上の加熱で死滅するので、それ以上の熱がかかるように調理しましょう。温度計で実際に測定するのが一番確実ですが、多くの小鉢を提供する定食屋さんなどではあまり現実的ではないです。対策として食品の中心部の見た目や肉汁の色、焼き上がりの感触など具体的な目安を設けて管理ポイントとする必要があります。

加熱調理
加熱後に冷却して提供するもの、もしくは再加熱して提供するもの

加熱後に冷却して提供するもの、もしくは再加熱して提供するものには、カレーやソースなどの煮込み系のメニューが挙げられます。食中毒は加熱不足でも発生しますが、緩慢冷却によっても発生します。ウェルシュ菌などの食中毒菌が仕出し弁当や、家庭のカレーで発生するニュースがよくあるのはご存じでしょう。加熱後は早急な冷却が必要になり、具体的には30分以内に20℃以下、もしくは1時間以内に10℃以下まで温度を下げる必要があります。設備がある飲食店は急速冷却できる機器に食品を入れることで対策となりますが、設備がない飲食店は冷却効率が上がるように食材を小分けにして温度が下がりやすくなるような工夫をすると良いでしょう。

計画に基づく実施

マニュアルなど従業員が作業方法を分かる様にしたものを作成して、それを順守させるまでの仕組みを作りましょう。ポイントは新人にも分かる様なマニュアルを作成するのがポイントで複雑すぎないものが良いです。また計画を立てて実行しても、測定する機器が故障していては意味がないので、温度計の校正なども1ヵ月に1回程度行うと良いでしょう。

確認・記録

1日の最後に製造で気が付いたことを記録しましょう。特に始業・終業時の調理機器の状態などは重要なので、製造機器などに欠けがないかを確認することも重要です。問題があった場合はその場で共有するか毎日の点検表に記載すると良いでしょう。

まとめ

今回はHACCPの具体例について解説しました。食品工場であれば7原則12手順に沿って、飲食店であれば簡易的な基準で導入することになりますが、その中で具体的にどのようなポイントに気を付けると実運用でうまくいくかを試行錯誤することが重要です。

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この記事を書いたライター
久坂精一

品質管理として社内の様々な事業部のISO22000、HACCP取得に向けて取り組みをしてきました。
現在は商品開発を担当しながら、ISOコンサルティング会社の研究会に所属しています。
趣味は学生の頃から継続しているマラソンで、2時間30分台が目標です。

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