HACCPで使える一般衛生管理チェックシート(リスト)やマニュアルの作成ポイントについて解説!

HACCPで使える一般衛生管理チェックシート(リスト)やマニュアルの作成ポイントについて解説! HACCP

今回は工場で一般衛生管理を運用するにあたって重要なチェックシート(またはチェックリスト、以下チェックシートと略)や作業マニュアルの掲載項目について解説致します。一般衛生管理チェックシートやマニュアルを作成しても重要なのは実際に運用することです。実際に運用できないチェックシートやマニュアルを作成しても意味がないので、本記事で作成のポイントについて解説致します。

本記事は以下の方を対象にしています。

  • 一般衛生管理チェックシートの具体例について知りたい
  • 一般衛生管理チェックシートの作成方法について知りたい
  • 一般衛生管理の作業マニュアルを作成するポイントを知りたい

以下記事で解説していきます。

チェックシート作成時のポイント

チェックシート作成時のポイントは、「誰が、何を、どのように」確認するのかを可能な限りチェックシートに盛り込み、明確にすることです。

施設設備の衛生管理チェックシートに掲載するポイント

施設設備の衛生管理チェックシートには、施設設備洗浄後のあるべき状態をチェックシートに具体的に記入する必要があります。例えば、食品残差が設備や機器に残っていないことや、製造機器に油によるヌメリがないことなどです。また、洗浄方法を具体的にマニュアル化して遵守することも重要になりますので、記事後半で解説する一般衛生管理マニュアル作成方法に準じて作成してみてください。

従業員の衛生管理チェックも重要です。工場入場時に粘着ローラーで衣服についた毛髪やゴミを落として入場することや、受付の手指チェックを行うことは食品安全上重要です。特に手指チェックでは爪が伸びていないか、傷口がないかを確認して必要な処置を講じる必要があります。また衛生管理チェック時に従業員の体調も確認すると良いでしょう。体調が悪かった場合に従業員から食品を介して感染症が拡大したりするリスクもあるからです。

施設設備の保守点検チェックシートに掲載するポイント

施設設備の保守点検チェックシートに掲載するポイントとして、以下の2種類に分類されます。

  • CCP測定に関わるもの
  • 一般衛生管理レベルで必要なもの

CCP測定に関わるもの

施設設備の保守点検チェックシートで、CCP測定に関わるものは以下の例が挙げられます。

  • CCP用温度計
  • 加熱調理機器
  • 金属検出器・X線機器

以下で解説して行きます。

CCP用温度計

施設設備の保守点検の中でCCPに関わるものに、CCP用温度計の校正があります。CCP用温度計は食品用であることと校正された温度計が製造に使用されている必要があり、校正には標準温度計と比較することになります。一ヶ月に一回程度は、沸騰した湯と氷水を準備して標準温度計との比較を行うことで、日々の製造で使用しているCCP用温度計に問題ないことを確認しましょう。また、メーカーによる校正が必要なものは提出しましょう。標準温度計自体にも校正が必要になるので、必ず期限までに校正を済ませておきましょう。

加熱調理機器

施設設備の保守点検の中でCCPに関わるものに、加熱調理機器があります。加熱調理機器では、加熱のための熱源およびコンベアや撹拌機などの駆動部が問題なく作動するかが重要です。

CCPを測定した際に問題なくCLに到達するか確認することも重要ですので、テスト製造時に昇温状況を確認しておくといいでしょう。熱源から熱が問題なく出ていることを確認し、加熱条件や焼成条件でCLに達する条件をテスト製造時に確認しておくのです。例えば、ジェットオーブンで180℃・10秒間焼成するという設定でテストをした際、想定する具材の形状でCLを測定して問題なければその条件で製造できるということです。逆に同じ条件で突然CLに達しなくなった場合は熱源に問題が発生した可能性もあるので必ず製造前に点検しましょう。

そして点検した内容に問題がなければ以下の図1.CCP機器の保守点検チェックリストに結果を入力します。

図1.CCP機器の保守点検チェックリスト

ここには点検の結果問題がなかったか否かをです。冒頭で述べた具体的な点検項目までこのチェックリストに盛り込むとかなりの枚数になってしまいます。チェックシートに掲載するのであれば簡単な動作確認項目のみを入力するか、詳細な点検項目は別途点検マニュアルに記載すると良いでしょう。

施設設備の保守点検の中でCCPに関わるものに秤の校正があります。

秤の保守点検はCCPなどの食品安全だけでなく、事業利益の観点からも重要です。CCPについては加熱調理工程でCLを設定する際に85℃・10分間保持などといった温度条件だけでなく、加熱調理機器への最大投入量も重要になります。つまりHACCPプランで決めた重量以上の食品を釜に入れた場合、その加熱条件ではCLを取れたことにはならないのです。最近の加熱調理機器にはロードセルが内蔵されており、釜に投入した原材料の重量が表示されるので、必ずそれが最大投入量を超えないような製造をすることが重要です。以上の要点からも秤は食品安全上重要なものになります。

金属検出器・X線機器

施設設備の保守点検の中でCCPに関わるものに、金属検出器・X線機器が挙げられます。これらの製造機器は購入時にメンテナンスサービスが付いてくることが多いですが、作動中に違和感があった場合は記録をつけてメーカーに確認してもらいましょう。また定期的に保守点検記録を作成しておくとHACCP審査時にスムーズでしょう。

一般衛生管理レベルで必要なもの

施設設備の保守点検の中において一般衛生管理レベルで必要なものには以下の例が挙げられます。

  • 冷蔵庫の温度管理
  • 工場内の陽圧・陰圧管理
  • スライサーの刃点検

以下で解説していきます。

冷蔵庫の温度管理

食品業務用冷蔵庫

施設設備の保守点検の中で一般衛生管理に必要なものに、冷蔵庫の温度管理があります。冷蔵機器が問題なく作動しているか必ず確認するようにしましょう。冷蔵庫の台数が多いのであれば全ての冷蔵庫の温度を一括管理できるように工夫し、温度逸脱したらアラートが鳴る様にするといいでしょう。具体的な冷蔵庫の温度管理チェックシートは図2.冷蔵庫の温度管理チェックシートを参考にしてみてください。

図2.冷蔵庫の温度管理チェックシート

食品工場の設備によりますが、遠隔で温度管理をしてセンサーの故障がないか担当者が定期的に巡回確認するのが一般的です。

工場内の陽圧・陰圧管理

施設設備の保守点検の中で一般衛生管理に必要なものに、工場内の陽圧・陰圧管理があります。工場内で7Sを徹底することは重要ですが、工場の外部からチリや埃が入ってこないことも重要です。その為に必要なのが工場内の陽圧管理です。工場内を陽圧に保つことで工場の内から外に空気が流れるようになります。いい加減な業者だと陽圧管理の設計を怠る可能性があるので、工場の設計段階で確認しましょう。

スライサーの刃点検

施設設備の保守点検の中で、一般衛生管理に必要なものにスライサーの刃点検があります。欠損した刃物は物理的危害になり大きな事故に繋がるものです。保守点検のポイントとしては始業終業時の点検が重要です。必ず刃こぼれや作業中に機器の異音がないか毎日の確認を怠らないようにし、異変を感じたら早い段階で製造を止めて管理責任者に報告しましょう。金属片にも金属検出機で検知できる形状や大きさがありますので、金属検出機に頼るのではなく金属欠損が起きないように注意しましょう。

従業員の衛生教育に掲載するポイント

一般衛生管理には機器の清掃方法だけでなく、その清掃や行動が食品衛生を守る意味でどうして重要なのかを従業員に説明する必要があります。最近は外国人の留学生を集めて製造にあたるメーカーも多く、日本では常識だと思っていることが通じないことは多々あります。少人数で製造する場合であれば管理も行き届きますが、多くの人員で製造にあたる場合は全員に食品衛生で重要な点を押さえてもらう必要があるのです。従業員の衛生教育では、実際にしてはいけない作業を可能な限り絞って効果的に伝えることがポイントです。

例えば手洗いの方法であれば写真を使って解説したり、工場の手洗い口で正しい手洗いの映像を流すことも効果的です。私がかつて働いていた工場では最初の段階の従業員教育で衛生管理に関するビデオを見てもらい、その後に簡単な試験を行っていました。衛生教育を行うことで、従業員がしてはいけない作業を把握できるようになります。

一般衛生管理マニュアル作成時のポイント

一般衛生管理の作業マニュアルを作成する際には押さえておくポイントがあります。

以下の図3.一般衛生管理マニュアルの例をご参照ください。このマニュアルを作成する場合を例にとって解説していきます。

図3.一般衛生管理マニュアルの例

この場合は麺をまとめて茹でる茹で機の洗浄マニュアルです。マニュアルを作成するにあたって重要なのが最も清掃時間の取れない繁忙期に清掃時間をどれだけ確保できるのか確認するところからです。仮に清掃に充てられる時間が1時間とした場合、1時間でできる有効な清掃マニュアルを作成することになります。

清掃方法を決める際は、ルールを決める人がまず清掃をやってみるといいでしょう。理由は作業上危険なものや、労働環境的に過酷か否かがそこで判断できるからです。次にできると判断した場合、実際の担当者に作業をやってもらうことで作業可能かどうかを確認してみましょう。そこで問題ないと判断できて初めて、実際に運用できるマニュアルとなります。

清掃で使用する薬剤とその使用方法について決めておくのも重要です。薬剤によっては製造機器が溶けたり、錆びついてしまう可能性もあるので注意が必要です。必ず製造機器の材質と薬剤の相性や薬剤の希釈倍率について確認しておきましょう。

また使用する薬剤を工場のMSDSに掲載しておくことも重要です。工場内で決められた薬剤は決められていますので、HACCP会議で使用すると決めた薬剤以外を使用してはいけません。逆に言えば、薬剤採用を決める際はその有効性などをよく検証する必要があります。

加えて、マニュアルに掲載した清掃方法で衛生面が保たれているのかの有効性を評価することも重要です。清掃しても結果的に衛生面が保たれないと効果的なマニュアルとは言えないので必ず有効性の確認も併せて行いましょう。

そのほかマニュアルには逸脱時や緊急時の対応、危険が伴う作業の注意点があればその内容も掲載しておくと良いでしょう。

まとめ

今回は実際の一般衛生管理チェックシートやマニュアルを元に、実運用に適した作成方法について解説しました。ルールを作っても実際に運用できることが前提となりますので、本記事のポイントを抑えた上で作成すると良いでしょう。

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この記事を書いたライター
久坂精一

品質管理として社内の様々な事業部のISO22000、HACCP取得に向けて取り組みをしてきました。
現在は商品開発を担当しながら、ISOコンサルティング会社の研究会に所属しています。
趣味は学生の頃から継続しているマラソンで、2時間30分台が目標です。

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