HACCPとは何か簡単に解説!ISOやGMP、Codex規格との関係は?

HACCPとは何か簡単に解説!ISOやGMP、Codex規格との関係は? HACCP

私たちの生活を豊かにするものに美味しい食事は欠かせません。しかし美味しいと感じる食品でも、安全面で不安を感じるようでは食事を心から楽しむことはできず、安心して食事を楽しむ為には食品の安全が大前提になります。

HACCPは食品安全には欠かせない管理システムで、食品工場から飲食店まで様々な場面で使うことができる便利なシステムです。しかし、必ず守らなくてはならない前提条件もあります。

本記事では以下の方を対象にしています。

  • HACCPとは何かわかりやすく教えてほしい
  • HACCPとISOとの関係はどのようになっているのか?
  • HACCPにおけるGMPとはなにか?
  • HACCPにはどんな種類があるのか?
  • HACCPとCodex委員会の関係は?

以下で解説していきます。

HACCPとは何か?

HACCPとは?

最初に「HACCPとは?」の定義ですが、食品安全のシステムを指します。HACCPとはH(Hazard)A(Analysys)C(Critical)C(Control)P(Point)の略で、日本語では危害分析重要管理点と言います。原材料の栽培・飼育から、加工・出荷に至る一連の工程において人の健康に悪影響を与える食品危害を予測して評価を行い、重要管理点(CCP)を決定して、計画的に監視し、必要に応じて修正・是正処置を実施・記録することです。

HACCPが作られた背景は、アポロ宇宙計画から始まります。宇宙飛行士が宇宙船の中で食中毒を起こしてしまうと対処できないことが大きな課題であった為に対策を打つ必要がありました。そこで食中毒を防止するためにピルズベリー社がNASA(米国航空宇宙局)及び米国陸軍技術開発研究所と発案したのがHACCPでした。その後にHACCPシステムはあまり注目されない時期が続きましたが、クリントン政権時に再度そのシステムの良さが見直されており、現在は食品の輸出入の条件としてHACCP対応の食品か否かが問われる程重要な食品安全規格になっています。

HACCPによる品質管理と従来の品質管理の違い

HACCPによる品質管理と従来の品質管理のは全く発想が異なるものです。従来の品質管理であれば、最終商品の抜き取り検査により問題の有無を判断します。よって仮に抜き取った商品に問題が見つかった場合、全ての商品が不適合になってしまいます。

また、従来の品質管理は全数検査を行うことはできないので、問題があっても見逃してしまう可能性があるのが弱点です。しかしHACCPによる品質管理であれば、使用する原料が入ってくる段階で危害分析を行うので、工程内の管理手法を決めて危害を除去または許容範囲まで低減することにより不適合品を効率的に除去することができます。

HACCPの導入方法

組織にHACCPを導入するには12の手順があります。HACCPを確実に組織に定着させたいのであれば、12手順に沿って導入するのが効率的です。12手順の内容については以下記事で詳細に解説しておりますのでご参照ください。

HACCPの導入手順について解説~具体的な内容や手順の確立方法は?

HACCPを導入するメリット

HACCPを導入するメリット

HACCPを導入するメリットは様々ですが、具体的には以下の内容があります。

  • 社員の食品安全意識が向上する
  • 問題があったロットを速やかに追跡できる
  • 安全な食品を効率的に生産できる
  • クレームが減少する

以下で解説していきます。

社員の食品安全意識が向上する

HACCPを構築すると、社員の食品安全に対する意識が向上します。HACCPは構築しようとすると12の手順に従う必要があり、まずHACCPチームを編成する必要が出てきます。HACCPチームは社内の各部門の代表者が集まる食品安全に特化したチームであり、各部門から業務に精通したメンバーが選抜されることになります。

HACCPを構築するにあたり、定期的に会議で社内の衛生状況やクレーム発生状況のレビューを共有しますが、そこで各部門の代表者が情報を自部門に持ち帰り、改善の情報として使います。その結果、社内全部門にHACCP会議のレビューが行き渡ることになり、各部門の食品安全の課題が明確になるのです。HACCP審査では情報の共有状況も確認されることがありますので、HACCPチームの情報共有は確実に行う必要があります。

HACCP構築により従業員の食品衛生の意識が向上するのは、共有された情報を元に食品安全について組織で考える機会が増えるためです。

問題があったロットを速やかに追跡・特定できる

HACCPのメリットとして、問題があったロットを速やかに追跡できることも挙げられます。理由は商品を製造するにあたり、仕掛品のロットごとに温度を測定・記録し、出荷まで管理するからです。どの仕掛品のロットが何時に出荷した商品に使用されているかを追跡することができるので、結果的に問題が発生した時にも該当ロットを特定することができるのです。

例えばカレーラースを製造している工場があったとした場合、1日のカレーソースの製造は複数ロット製造することになります。仮にとある製品でカレーソースから異臭がするという事態があった場合に、製品のラベルに記載された製造時間を見ればその商品に使用されたカレーソースを日報から追跡してロットを特定し、回収・調査することができるのです。

安全な食品を効率的に生産できる

HACCPを運用すれば、製造工程で危害を除去することになるので、出荷の段階で問題ない商品であると主張できます。逆に仕掛品でもCLに達していない商品はその段階で商品として使用できないものになるので、修正もしくは廃棄の判断をする必要があります。

また、CLに達した商品であっても工場内の一般衛生管理が脆弱であった場合は2次汚染につながることになり、食中毒のリスクが発生してしまいます。HACCPは安全な商品を効率的に生産できるシステムではありますが、一般衛生管理は盤石にしておきましょう。

クレームが減少する

HACCPを運用すると、社内でPDCAサイクルを回すことが求められます。それは顧客からのクレームを改善に活用することも含まれています。よって、クレームが発生した段階で原因を放置することは許されず、その原因を分析して改善する必要があります。

うまくHACCPを運用出来ているのであればクレームは減少していくはずですので、一向に改善しない場合はどこに原因があるのかをよく深堀りしてみましょう。

HACCPには様々な種類がある

色々な種類のベリー

HACCPには様々な規格が存在します。本来であれば規格は統一されていた方がいいのですが、日本でも海外でも何種類か規格が混在しています。国内では主に以下のHACCPがあります。

  • Codex HACCP
  • 総合衛生管理製造過程
  • 地域認定HACCP
  • 業界団体HACCP

以下で解説していきます。

Codex HACCP

様々な種類があるHACCPですが、世界的に通用するHACCPはCodex規格のみになります。Codex規格で規定されているHACCP構築で重要な点は以下の2つになります。

  • HACCPシステムとその適用に関する指針
  • 食品衛生の一般原則

以下で解説していきます。

HACCPシステムとその適用に関する指針

Codex HACCPは1993年にCodex委員会により発行された「HACCPシステムとその適用に関する指針」が基準となっています。以下にHACCPシステムとその適用に関する指針の構成を記載しておきます。

1.序文

2.定義(16用語)

3.HACCPシステムの原則(7原則)

4.HACCPシステム適用の指針

4-1.導入

4-2.適用(7原則、12手順)

4-3.教育訓練

Codex委員会発行「HACCPシステムとその適用に関する指針」

各規格のばらつきから、Codex規格以外のHACCPを運用しても効果的に機能しないという問題点があり、現在はCodex規格に標準化しようとうする動きがあります。Codex規格は1962年に国連食糧農業機構(FAO)と世界保健機構(WHO)が協力して作った国際的な食品規格です。

国内の地方自治体で運用されている地域認定HACCPはCodex規格では必須となる項目が抜けていますし、厚生労働省の総合衛生管理製造過程は7原則12手順に基づいてHACCPが構築されていないのが現状です。これから先にHACCPの効力を確実に発揮したいのであればCodex HACCPを導入するのが最も効率的でしょう。

食品衛生の一般原則

また、HACCPの一般衛生管理はCodex委員会が発行している「食品衛生の一般原則」にその具体的な記載があります。HACCPとISO9001の合体規格と言えるISO22000も「食品衛生の一般原則」が基本となっており、Codex規格の内容に沿った運用が求められています。

総合衛生管理製造過程

総合衛生管理製造過程はHACCP普及の為に厚生労働省が開始した承認制度のことです。HACCPと異なり承認の対象が、乳、乳製品、食肉製品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品、魚肉練り製品、清涼飲料水の6食品と限定されています。HACCP義務化に当たって、総合衛生管理製造過程に取り組むことは企業にとってプラスになりますが、デメリットもあります。

具体的には、HACCPの手順の一部である7原則の要求事項と内容が異なったり、設備基準のハードルが高いという点が挙げられます。HACCP導入は大変でお金がかかるという印象を日本の事業者に植え付けてしまったのも総合衛生管理製造過程の印象があるためです。今後、厚生労働省ではHACCP義務化のタイミングで総合衛生管理製造過程を廃止する方向です。

地域認定HACCP

地域認定HACCPも複数あるそれのうちの1つです。2003年に食品安全基本法が制定され、それに伴い多くの自治体が食品安全のための条例を出して様々な取り組みが行われてきました。その中の重要施策の1つに地方認定HACCPがあります。

中小企業で将来的にCodex HACCPやISOなどの国際認証取得を予定している事業者は、業界団体HACCPからスタートされると良いかと思います。理由は中小企業でも取得しやすい特徴があり、これまで一般衛生管理も行ってこなかった食品メーカーがHACCPに着手するのに最もハードルの低いものだからです。

また、業界団体HACCPでも認証のロゴマークを設けることで信頼性が向上して販路の拡大や消費者へのアピールにも繋がります。また、ISO22000やFSSC22000などの民間認証と比較してコスト的にも低く抑えられるというメリットもあります。

大手小売業者によるHACCP

次に大手小売業者によるHACCPです。これにはコンビニチェーンなどが食品製造業者に対して取得を義務化しているHACCPであり、オリジナルではありますがCodex規格準じた内容のHACCPになります。

HACCPとISOの関係について

HACCPとISOは非常に深いつながりになっており、ISO規格の中でもISO22000はシステムの要求事項の運用項目はHACCPの内容が組み込まれています。下記にHACCPとISOを表現した図1.HACCPとISOの概念図がありますが、HACCPはISOの一部であることが分かります。

HACCPとISO9001
図1.HACCPとISOの概念図

ISO22000が作られる前は、HACCPは危害の発生を防止するためのシステムとして独立し、大変優れたシステムといわれていました。しかし、組織立てた改善が回せないなどのマネジメント面で指摘がされており、課題となっていました。

具体的には経営トップの責任が明確にされていなかったり、組織間、部署間の連携の重要性が明確にされていない点などが挙げられ、PDCAサイクルを円滑に回して機能させるには不十分でした。そこでISO9001の要求事項にHACCPを融合させることでISO22000が完成しました。HACCPは食品の安全を確保するための手法であるのに対し、ISO9001は品質保証を円滑に行うための仕組みなので、より盤石な食品安全システムであると言えます。

ISO9001の詳細については以下記事で解説しております。【ISO9001の要求事項とは?規格の一覧とポイントを徹底解説

HACCPとGMPの関係について

HACCPとGMPの関係について解説します。GMPはGood Manufacturing Practice(適正製造規範)のことで、日本では薬事法には組み込まれていますが、食品については法律に基づいた策定はされていません。

Codex HACCPにはCCP以外に工場の衛生管理で重要な食品衛生の一般原則がありますが、これがGMPにあたります。HACCP運用がされている工場でもその製造環境が悪い場合、安全な食品を世の中に提供できているとは言えないので、製造環境を整えることが大切です。HACCPの前提である食品安全の一般原則を順守することはGMPを守っていることと同じだと言えるのです。

まとめ

今回はHACCPとはどんなものかについて解説しました。数種類あるHACCP規格やISOとの関係について全体像を把握するのは難しいと思いますが、本記事で概要を掴んで頂き、HACCP構築に役立てていただけたら幸いです。

ISOナビでは月額4万円から取得・運用を完全サポートしております。

HACCPやISMS、Pマーク、ISO9001をはじめとする各種規格の新規の認証取得から更新・運用までサポートしております。

業界最安級の月額4万円からご利用いただけ、対応工数のゼロ化を実現します。

まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いたライター
久坂精一

品質管理として社内の様々な事業部のISO22000、HACCP取得に向けて取り組みをしてきました。
現在は商品開発を担当しながら、ISOコンサルティング会社の研究会に所属しています。
趣味は学生の頃から継続しているマラソンで、2時間30分台が目標です。

久坂精一をフォローする
HACCP
ISOナビ
トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました