HACCPにおける一般衛生管理とは?CCPとの関係や計画書の作成について解説

HACCPにおける一般衛生管理とは?CCPとの関係や計画書の作成について解説 HACCP

一般衛生管理はHACCPやISO22000、FSSC22000でよく耳にする言葉ですが、何の為にあるのか良く分からない方も多いかと思います。

そこで、本記事ではHACCPにおいて重要な一般衛生管理について解説したいと思います。

本記事では以下の方を対象にしています。

・HACCPに必要な一般衛生管理とは何?

・HACCPには既にCCPがあるのに、わざわざ一般衛生管理を構築する必要はあるの?

・CCPと一般衛生管理との違いは何?

以下記事で解説して行きます。

HACCPにおける一般衛生管理とは何か?

一般衛生管理はHACCPの前提となるものです。一般衛生管理がないとHACCPを導入していても安全な食品を製造できるとは言えません。

HACCPシステムは、食品に存在する危害を特定して除去したり、健康被害が起きないレベルまで危害を低減させるためにCritical Control Point(以下略:CCP)を設けて集中的に管理するシステムです。一般衛生管理はHACCPシステムの中で、食品工場としてあるべき行動を定めたものになります。

HACCPにおける一般衛生管理は必要なのか?

安全な食品づくりを目指すのであれば、CCPだけでは不足で、前提条件として一般衛生管理が盤石である必要があります。例えば、HACCPに基づいて温度管理などをしっかりしている食品工場でも、そこの従業員がぼろぼろの作業着を着ていたり、不快害虫が工場内に散見されたら嫌ですよね?

HACCPの管理に加えて、食品工場としてあるべき姿を目指す為に一般衛生管理は必要なのです。

米国コーネル大学食品科学部教授のロバート・B・グラバーニ博士によると、HACCPはあくまで管理システムであり、食品の安全性と衛生管理の土台の上に初めて成り立つものとして、食品安全ピラミッドというものを提言しています。図1.食品安全ピラミッドを参照してください。

食品安全ピラミッド
図1.食品安全ピラミッド

この食品安全ピラミッドでは、HACCPが効果的に機能するために必要な以下の3つの要素を示しています。

  • 経営者は食品安全の推進に積極的に関与する。
  • 食品企業は生物学的、科学的、物理的危害について把握し、理解する。
  • 従業員に対して、食品に対する計画的で適切な教育訓練を行う。

以下で解説していきます。

HACCP構築には、経営者が積極的に食品安全の推進に関与するということが重要です。HACCP管理は従業員にとってプラスアルファの業務になります。忙しい現場であれば次工程に間に合わせる為に製造に集中しなくてはならず、どうしても衛生に関する配慮が疎かになりがちです。特にそれが温度管理に関することであれば食中毒にもつながるので注意が必要です。

温度管理の重要性については以下記事で解説しております。【HACCPに重要な温度管理について解説!温度計校正や記録の残し方のポイントは?

食中毒などの事故を未然に防ぐためには、経営者主体で社内に潜む食品危害を把握することが重要になります。経営者が積極的にHACCPに関与することで、従業員に各食品危害を理解させる外部講習を受講させたり、設備投資すべき部分を一緒に考えることが出来るようになるのです。

食品安全ピラミッドは、食品の温度管理、洗浄と殺菌、個人衛生、およびペストコントロール(ネズミや害虫などの有害生物の防除)を土台にしなければ成立せず、その土台となるのが一般衛生管理です。しっかりとした一般衛生管理の上にHACCPを構築しなければ、HACCPは失敗してしまうのです。

例として、家は固い地盤の上にしっかりとした基礎を施した上で立てられますが、柔らかい地盤の上や基礎工事に問題があれば家本来の役割を果たすことができないのと同じことです。

HACCPは製品ごとに食品の安全性を確保するための管理システムとして構築するものですが、一般衛生管理は工場全体における食品の安全を確保するための取り組みなのです。

HACCPにおける一般衛生管理にはどんなものがあるのか?

顕微鏡による食品検査

HACCPにおける一般衛生管理は、CCPの様に記録を義務付けるものではないですが、CCPの効果を確実にするために必須になります。下記は一般衛生管理の一部分ですが、代表的なものになります。

  • 2次汚染の防止につながるもの
  • 異物混入防止につながるもの
  • 食中毒防止につながるもの

以下で1つずつ解説して行きます。

2次汚染の防止につながるもの

2次汚染防止につながる取り組みについては、以下の内容が挙げられますので解説して行きます。

工場入場時の手洗い

工場入場時の手洗いは、工場に入る段階で可能な限り雑菌を落として、2次汚染を防ぐことに繋がります。手洗いをしないまま製造すると、CCPで危害を取り除いた食品が2次汚染を受ける可能性が高まります。従業員の手洗いにばらつきがないようにマニュアルを作成して遵守することが効果的です。

製造機器の清掃状態

2次汚染の原因として、製造機器の清掃状態も良好にしておく必要があります。事業者によって製造する食品も製造機器も汚れも様々であり、各事業者で効果的な清掃状態を確立しておく必要があります。2次汚染を防止し、微生物的なレベルで衛生管理を行うのであれば、食品残渣を確実に取り除くことは当然ですが、製造機器を殺菌するまでの工程も必要になってきます。作業場現場の方が怪我をしないように、安全で効果的な清掃方法を検討してみることが大事です。

また、その為には事前のデータ採取がポイントになります。清掃後の製造機器をふき取り検査するなどして、どこに菌が多く残るのかを検討して、清掃の妥当性を確認することが重要になります。

従業員の検便

検便は、従業員による食中毒菌の持ち込みを防止する為の一般衛生管理です。特に多いのがサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌などの食中毒菌で、これらが検出された従業員は出社停止にする必要があります。特にサルモネラ菌は従業員の疲労状態や食生活によっても検出されるので注意が必要です。再検査して陰性が確認されれば出社しても問題ありませんが、組合や得意先のガイドラインがある場合などはそれに従って行動しましょう。

交差汚染対策

続いて交差汚染対策の一般衛生管理です。交差汚染は主に危害が取れる前の食品を入れる人と、それを取り出すのが同じ人である製造動線の場合に発生しがちです。例えば生肉を煮る工程であれば、生肉を加熱用の釜に入れる人が、生肉を触った手で加熱後の食材を取り出してしまえば、2次汚染になってしまいます。交差汚染防止対策に有効なのが、衛生用の手袋やエプロンの交換やアルコール噴霧です。交差汚染には、製造レイアウトを変更したり作業を分けることも効果的です。

異物混入防止に繋がるもの

続いて異物混入防止につながる一般衛生管理です。異物は金属検出器で検出できるもの、X線で検出できるもの、両方で検出できないもの、の3種類があります。金属片については小さすぎないものは金属検出器で検出することができますが、細い金属片やテストピースよりも小さいものは検出できません。金属片を製品に混入させない為には、日々の製造機器の始業終業点検で製造機器に欠損がないか確認することが重要になります。

X線は硬質異物を検出することができますが、全てを検出することは出来ないので、予め一般衛生管理で除去することが重要になります。

一般衛生管理はCCPを支える意味で非常に重要なのです。以下でその例を解説していきます。

防虫業者によるインスペクション

防虫業者によるインスペクションは、虫の発生源を特定して対策を立てる一般衛生管理です。どこでどのような虫がどういった原因で発生しているかを把握するきっかけになります。

インスペクションでは工場内のいたるところで防虫用のトラップを仕掛けて、そこで捕獲された虫の種類を調べて外来虫か内部発生虫かを判断します。

毎回のインスペクションにより、商品への虫混入リスクを減らすことができるのです。

野菜などの一次洗浄

次に野菜の一次洗浄の一般衛生管理です。多くの食品メーカーでは、野菜の最終洗浄をCCPに設定して、一次洗浄は一般衛生管理で対応しているところが多いと思います。理由は、一次洗浄である程度野菜の菌数を下げないと、CCPである二次殺菌で菌数を下げることができないからです。

特に葉物野菜には微生物以外にも小さな虫が混入していたり、細かい石や砂が混入していたりするので、これらを一次洗浄により落とす必要があります。X線工程に入る前に、一次洗浄工程を入れておきましょう。

肉や魚の検品(骨など)

次に肉や魚の骨などの硬質異物を取り除く一般衛生管理です。

骨などの硬質異物はX線で検知できるものですが、小さなものや細いものは検知できないことがあります。可能な限り検品で取り除いておきましょう。硬質異物の検品は非常に大変な作業なので、多くのメーカーでは検品が必要ない様に骨なしの原材料を入荷することが多いです。

工場内の陽圧管理

異物混入対策の一般衛生管理として、工場内は常に陽圧に管理しておきましょう。

陰圧であった場合は気圧差により外からの空気と一緒に雑菌やチリや埃も工場内に入り込んでしまいます。空調との兼ね合いもありますが、設計段階で必ず陽圧になる様に設計しておくと良いでしょう。

食中毒防止につながるもの

加熱調理

続いて食中毒防止につながる一般衛生管理を解説して行きます。

CCP直前の予備加熱

食中毒防止の一般衛生管理として、加熱工程の一般衛生管理が挙げられます。

例えば牛肉を煮込んで作るスープの商品があったとしましょう。この商品の場合は、肉の入ったスープ煮込み工程でCritical Limit(以下略:CL)を取ることになりますが、スープ煮込み工程の前に肉や野菜のブロックに確実に火を通しておく必要があります。その為には肉や野菜ブロック単体で予備加熱しておき、スープ煮込みの段階で確実にCLを取れるようにしておく必要があります。この予備加熱がないと、スープ煮込みの段階で肉や野菜のブロックの中心部に火が通らず、CLを取れない可能性があるからです。

室温管理

食中毒防止の一般衛生管理として室温管理も重要です。室温管理に関しては、どこの食品メーカーも一般衛生管理で対応しているかと思います。室温管理はCCPではありませんが非常に重要で、腐りやすい食品の場合は食中毒に繋がってしまうこともあるので定期的に室温を管理する体制を作っておきましょう。

一般衛生管理計画書の作成ポイント

HACCPの一般衛生管理計画書とは、事業所内でどの様な衛生管理をしていくのかをまとめたものになります。具体的な方法としては、大きく図2.一般衛生管理計画書の様に、管理する項目を定めます。

図2.一般衛生管理計画書
図2.一般衛生管理計画書

次に、一般衛生管理計画書に定めた項目の中からチェックすべき項目を定めて点数表を作成します。詳細は以下の図3.一般衛生管理チェックシート従業員の衛生管理と、図4. 一般衛生管理チェックシート原材料の衛生管理を参照してみてください。

図3.一般衛生管理チェックシート①
図3.一般衛生管理チェックシート①
図4.一般衛生管理チェックシート②
図4.一般衛生管理チェックシート②

これらはあくまで一例です。メーカーによって取り扱う原材料も様々であることからチェックする項目も異なるはずなので、自組織の製造環境に合わせて作成してみてください。

まとめ

今回はHACCPの一般衛生管理について解説しました。HACCPで重要なのはCCPと思われがちですが、CCPが効力を発揮するためには一般衛生管理が盤石であることが大前提になります。是非積極的に取り組んでみましょう。

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この記事を書いたライター
久坂精一

品質管理として社内の様々な事業部のISO22000、HACCP取得に向けて取り組みをしてきました。
現在は商品開発を担当。
趣味は学生の頃から継続しているマラソンで、2時間30分台が目標です。

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