HACCPにおける厚生労働省の役割について解説!各種規制や農林水産省との関係は?

HACCPにおける厚生労働省の役割について解説!各種規制や農林水産省との関係は? HACCP

厚生労働省はHACCPなどの食品安全に関わる行政機関である

厚生労働省は食品安全システムの推進に限らず、国民の生活に関わる様々な仕組みを作っている行政機関です。その中でも今回は食品安全システムであるHACCPとの関係についてまとめます。

本記事では以下の方を対象にしています。

・HACCPにおける厚生労働省の役割はどの様なものがあるのか?

・HACCPでは厚生労働省のデータや手引書をどう活用するの?

・HACCPは農林水産省とはどのような関りがあるのか?

以下で解説して行きます。

HACCPと厚生労働省の関係を解説する上で欠かせないのが食品衛生法です。厚生労働省が消費者庁と規定している食品衛生法ですが、これを遵守することはHACCPを構築する上で大前提となります。食品衛生法は1947年に制定され、これまで26次に及ぶ改正がありましたが、その中でも2003年の26回目の改正は法の目的を改定する大改訂でした。背景としてはこの時期に世界を震撼させたBSE問題がきっかけで、食品の安全性に対する国民の不安や不信が高まった時期でした。食品衛生法の2003年の改正時に法の目的が変わったと解説しましたが、改定前までは安全な食品を作ることのみにフォーカスされていました。しかし食品衛生法は改定後、国民の健康の保護を目的とするものに変わったのです。

国民の健康を保護するためには安全な食品の製造は大前提となり、HACCPによる管理が義務化されることは自然な流れです。HACCPは食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制を講じて飲食の衛生上の危害の発生を防止するものですが、大前提として法令順守があります。

法令順守に加えて国民の健康の保護するために、厚生労働省では以下の表1.厚生労働省組織図で監視・指導体制を行っています。

表1.厚生労働省組織図

厚生労働省の役割

HACCPをつかさどる厚生労働省の役割

HACCPを推進している厚生労働省ですが、具体的な役割は以下の様になります。

・食品事業者に対する規制

・食品や添加物等の規制

・食品や添加物等の表示の規制

以上の3つはHACCP構築では前提となる内容です。危害分析を行い、適切な管理を行うことで食品安全を守るのがHACCPですが、規制をクリアした上で食品を作る必要があります。例え食品事業者でCCP管理を確実に出来たとしても、法律で禁止されている食材の使用や基準外の製造方法や保存方法など取ることは禁止されています。

食品事業者に対する規制

厚生労働省は食品事業者に対して厳しい規則と義務を課しています。食品営業の許可制度がその例で、練り物を生産している工場は許可を受けなければ営業することができません。

また、厚生労働省は食品事業者の自主管理体制についても強化を義務付けており、食品事業者内に食品衛生管理者や食品衛生責任者の設置義務を課しています。規制がなく誰もが自由に食品を提供できてしまった場合、適切な管理が出来ない食品事業者が増えることから国内の食中毒発生件数が増加してしまうリスクがあるのです。

食品の規制

厚生労働省の役割として食品の規制があります。食品は厚生労働大臣により基準や規格が定められており、それに適合したものでなければ使用が禁止されています。食品を加熱調理するという理由で全ての食材を使って良いわけではなく、製造、加工、使用、調理、保存の方法について適切な工程を経てきた食材でないと使用が許可されません。この様に厚生労働大臣が指定による制度を指定制度またはポジティブ・リスト方式と言います。天然香料など安全性に問題のないものはその対象外とされていますが、ポジティブ・リストには様々な食品が登録されています。

製造基準

飲料製造工場

次に厚生労働省の役割として製造基準があります。厚生労働省の定めた基準の中でもHACCPに馴染みがあるのが製造基準であり、食品の正しい製造方法を表2.製造基準一覧で7つに分けて定義しています。

表2.製造基準一覧

また、製造基準は大きく以下の2つに分けられています。

・全ての食品に共通する製造基準

・食品別の製造基準

厚生労働省が設けている製造基準には、全ての食品において共通の製造基準と、食品別の製造基準があります。全ての食品に共通する製造基準は上記の表1の内容を元に作成されていますが、食品別の製造基準については種類ごとに詳細に製造基準が定められています。

食品別の製造基準の例としては食肉製品などが挙げられます。食肉製品は非加熱肉と加熱肉で分けられ、製造基準の一例として処理する場所の条件や使用する水の基準、使用する香辛料などの調味料の一般生菌数、加熱調理条件、冷却方法などが挙げられ、細かい項目で管理がされています。

保存基準

保存タンク

厚生労働省が規定している保存基準には大きく分けて以下の2種類があります。

・全ての食品に共通する保存基準

・食品別の保存基準

全ての食品に共通する保存基準には、保存温度を規定したもの、保存のための器具、容器包装の衛生的管理と保存中の衛生的な取り扱いを規定したものがあります。

また厚生労働省は食品の保存基準も規定しています。全ての食品に対しては一般的な保存基準を設けていますが、以下に記載されている食品に対しては別途詳細な基準を設けています。

・清涼飲料水

・コップ販売式自動販売機に収める粉末清涼飲料水

・氷菓

・食肉及び鯨肉

・血液、血球及び血漿

・食肉製品

・鯨肉製品

・魚肉練り製品

・ゆでだこ

・生食用かき

・豆腐

・即席めん類

・冷凍食品

・ゆでがに

・生鮮用魚介類

・鶏の液卵

以上の食品は食品衛生法第11条に基づいて保存基準が定められています。

衛生規範と指導基準

厚生労働省が食品事業者に定めているものに衛生規範と指導基準があります。これらはHACCPだと一般衛生管理やCLの根拠になりうるものです。厚生労働省が衛生規範と指導基準を定めているのは、安全な食品のための具体的な基準を設けることで、食品事業者の自主管理体制を底上げすることが狙いです。厚生労働省が食品安全を管理する行政であるとはいえ、実際に安全な食品を提供するには食品事業者の努力が重要になります。食品事業者が精度の高い自主管理を行うには衛生規範と指導基準が明確になっていた方が目標も課題も明確です。その為厚生労働省は食中毒事件が多く、微生物制御が極めて重要な食品を対象に衛生規範と指導基準を定めているのです。

厚生労働省が定めている衛生規範の記載事項には以下の内容があります。

・目的

・適用の範囲

・用語の定義

・施設・設備及びその管理

・食品などの取り扱い

・検査

・営業者及び従業者の衛生管理体制

これらの項目により食品事業者が管理すべき項目が明確になるので、効率的に運用することができます。お金のかかる設備投資や人的資本の投資にも優先順位がつけられるので、よく確認しておくべきことです。また、指導基準の記載事項には管理の目標値が記載されており、商品の衛生状態を管理するのに重要な一般生菌数や大腸菌群の基準や、使用する原材料や容器の基準も記載されています。食品事業者はこの基準を目標にすることで安全な食品を効率的に製造することができるのです。

食品の表示方法

食品表示ラベル

厚生労働省には食品や添加物の表示についても規制しています。これはHACCPだと法令順守に該当するもので、製品説明書を作成する際に影響してくる部分です。食品には表示基準が定められ、消費期限または賞味期限年月日、使用する食品添加物の表示等の表示方法が法律により定められています。具体的に食品表示に関わる法律には以下の4つがあります。

・食品衛生法

・農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)

・不当景品類及び不当表示防止法(景表法)

・健康増進法

以上の中でもHACCPに大きくかかわるものが食品衛生法ですが、この表示方法には具体的に以下のような点が挙げられます。

・食肉包装品は、容器を開かなくても簡単に見える位置に表示事項を記載する

・表示は日本語で明瞭に判読できるもので、消費者が読みやすく理解しやすい様にする

・文字の大きさは7.5ポイント以上(面積の狭いものでも7ポイント以上)で記載する

・表示を免除される食品もあり、容器包装の面積が30㎠以下のものとばら売りのもの

などのルールがあり、食品ごとに表示する基準が分かれています。

厚生労働省のデータをHACCPに活用する

HACCPの導入手順に危害分析がありますが、食中毒菌の分析を行う際に厚生労働省の病因物質別食中毒発生状況のデータを使用する食品事業者は多いと思います。病因物質別食中毒発生状況は、厚生労働省が国内で発生した食中毒のデータを集めたものであり、原因となった食品や食中毒菌、食中毒発生の原因などをまとめたものになります。食品事業者はこのデータを確認することで、食中毒危害の重篤性と発生頻度を割り出してHACCPプランを構築することができるのです。HACCPの審査でも厚生労働省の通達や文献などは危害分析の情報源として認められている場合が多く、私が受けた審査では厚生労働省の文献やデータであれば危害分析の根拠として信頼できるとのことでした。

また、厚生労働省が発行している手引書は国内で発生した食中毒事例などの食品事故の経験をもとに作成されており、食中毒菌をコントロールできるように加熱殺菌条件や冷却後の管理ポイント、次亜塩素酸ナトリウムでの洗浄条件など具体的な条件まで記載してくれています。

HACCPと農林水産省の関係

農林水産省

HACCPに対応した食品であることは取引でも有利に働き、特に農林水産省が管轄する輸出入においては大きく関係してきます。HACCPは厚生労働省が中心となって進めていますが、農林水産省も関わっており、輸出用食品を製造するメーカーを支援する仕組みを設けています。

農林水産省は輸出入を管轄する行政機関であるがHACCPの支援も行う

農林水産省は輸出入を管轄する行政機関であり、日本から輸出する商品は安全であると世界にアピールしたいのです。それには世界で食品安全の認知度の高いHACCPで管理された食品を流通させる必要があり、農林水産省は輸出用の食品を製造しているメーカーには様々な面で支援をしています。

農林水産省が行っている食品事業者への具体的な支援内容は、輸出用食品を製造するメーカーへのHACCP取得コンサルティングや認証取得などに必要な費用を出すなどが挙げられます。また農林水産省が推進する内容には食品事業者のHACCPだけではなく、鳥インフルエンザなど家畜の伝染病を未然に防ぐための仕組みづくりも含まれます。具体的には家畜の所有者が遵守すべき飼育衛生基準の普及・啓発に努める為、畜産農場における教育や農場HACCP取得を推進しており、輸出に適した食品の仕組みづくりを支援しているのです。

まとめ

本記事ではHACCP取得と厚生労働省についてその関りについて解説しました。国で決められたルールは手引書に落とし込まれてで分かりやすく解説されています。また、HACCP取得に向けて国から受けられる様々な支援体制もありますので是非活用してみてください。

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この記事を書いたライター
久坂精一

品質管理として社内の様々な事業部のISO22000、HACCP取得に向けて取り組みをしてきました。
現在は商品開発を担当しながら、ISOコンサルティング会社の研究会に所属しています。
趣味は学生の頃から継続しているマラソンで、2時間30分台が目標です。

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